伊藤ひであきの市政報告

2002年3月 ●一般質問の第二問のポイント

1.激変期の中で将来を見据えた街づくりについて

1. 激変期、激動期の深刻なデフレ状態が続く中で、第4次基本構想・基本計画に掲げた主要施策の推進を基本に新年度予算が編成されましたが、改めて街づくりの基本的な認識と対応を伺いたい。


(1)農工商のバランスが取れた産業発展が豊橋産業の特徴であったが、地域産業は元気をなくし、顔が曇り下向いてきた。その中で市民の「笑顔」がつながる「緑とひとのまち豊橋」へどのように取り組んでいくのか伺いたい。

 ***第二問要約***
 @国で行う知的クラスターの地方版・豊橋版の仕組み、中小企業サポートセンターで中小企業に的確に経営・技術指導する仕組みづくりの提案について考え方を聞きたい。

 A「緑と人のまち」を標榜するが環境省の巨樹・巨木林調査(http://map.biodic.go.jp/javamap/bigmain_j.html)には登録されるような情報提供を豊橋は行っていない。この事の反省と早急な対応を聞きたい。


(2)中心市街地活性化に向けて、市民病院跡地のこども関連施設、豊橋東口駅南地区市街地再開発事業への取り組みについて。

 ***第二問要約***
 @渥美線の新豊橋駅のセットバック、ペレストリアンデッキの横への延長などで結局、中心市街地活性化はペレストリアンデッキで回遊できる駅周辺に集約される可能性がある。「中心市街地は230haで設定されていて、豊橋の都市形態からは広すぎるのでないか」という指摘をさせていただいた経過かもあるが、その中の更に駅周辺を中心市街地の中心市街地として、ここだけでも活性化しようという戦略と理解していいか。そうすれば約10万人の乗降客も含めて、ヒト・モノ・カネ・情報は広小路商店街などの東西の動きでなく、南北の動きに集約されていくが、これも「商店街が立ち上がらなければやむなし」と理解していいか。

 A駅南地区に民間投資ではあるが商業施設を配置するという。第一問で申した百貨店のリストラやカルミアのこの5年間のテナントの入れ替わりなどを踏まえても、極めて理解に苦しむ計画である。いかなる商業調査、市場調査の結果で裏づけされているのか。

 B駅周辺に若者が集う街づくりの具体例として生涯学習センターへの市立高校の移転を提案した経過があるが、17.18.19歳の青春真っ只中の高校生をあの高いフェンスで囲まれた狭い運動場に閉じ込めている実態は問題であり、単位制高校、生涯学習のための社会人・高齢者への公開授業など21世紀の市立高校像を考えての提案でもあった。
 どう検討されたのか。それに替わるもの、例えば予備校、専門学校、短大の誘致、3大学の駅前教室などは検討されたか。

 C商店街の自立の先進例を福山市大黒商店街で学んだ。ここでは補助金は一切当てにしない、自立・自前の街づくりの成功例である。激動期の今、逆転発想を持って、”街づくり”活性化に挑戦する基本条件として作られた「街づくり10ヶ条」の冒頭には3Do Do it now! Do it yourself! Do something! すなわち、企画書や議論する時代は終わった、これからは実行の時代だ。できる事からやるべきだ。福山は観光地でも、特別な企業城下町でもない。都市形態は豊橋と酷似している。この「金はなくとも健康と気力があれば”街づくりはできる”というこの街のコンセプトに意図する事があれば伺いたい。

 D昨年秋視察した大分市のコンパルホールは大分駅から徒歩5分の地にあり、都市規模も立地も豊橋と酷似しており大いに参考になった。  この「コンパルホール」、大分市を中心に周辺市町村も包含した文字通りの総合コミュニティセンターである。
 鉄筋コンクリート7階建ての威容を誇り、500人収容の文化ホール、35万冊の蔵書の市民図書館、中央公民館、市民体育館、市民武道館、多目的ホール、天体観測ドーム、喫茶室、勤労青少年ホーム、婦人の家、市民ギャラリー、茶室まで揃えた多機能な複合施設である。「子供も利用できる。親子で利用できる。高齢者も利用できる。あらゆる人々が広く交流し、新しいコミュニュケーションを生み出す場ですから」館長の安東保氏が穏やかに語って下さった。
 一日平均4000人が利用し、複合施設の特性を生かし、スポーツイベントや文化イベントが様々に開催され、その機会に図書館も利用できる。多岐な市民ニーズを吸収し、市民の自主参加を促し、市民と共に感動と共感を生み出していくための様々なプログラムが展開されている。囲碁、写真、絵画、書道から、各種語学講座、各種音楽講座、各種スポーツ講座が多岐に用意され、それらに参加した市民が、更に一歩上の講座を自主的に開催していく。
 そして、特筆されるのは「コンパルホールまつり」。「子どもの日フェスティバル」、「夏まつり」、「春まつり」を筆頭にビッグイベントが開催されていて、それらは「コンパル主催」行事なのである。嘱託職員を含め約30人の職員が、「プロデューサとなり、スタッフとなり汗をかくのです」安東館長の瞳が輝く。「貸し業務でなく、情報発信基地ですから」。
 一方通行でなく、市民と双方向で運営されているのである。そのために、他市での取組みや、市民ニーズ調査、アンケート調査を何度も繰り返し、時代の変化にどう対応していくか、どう反映していくか。絶えず追い求める努力を怠らない。館長は言う「多機能だから動いて汗をかかないと進まない、人材を育成していかないと時代に連いていけない」。この人ありての「コンパルホール」の意を強くした。
 ともすれば、こうした施設の責任者は役所OBの再就職先と用意され、無難に役目を果たすタイプの方が多いが、いつまでも挑戦者なのである。その気概が若い職員を動かし、館内にピーんと張り詰めた緊張感をもたらし、開設して15年の歳月を経ても、「新たなコンパルホールへ成長させていく」ための労苦を惜しまないのである。

 市長、あなたが作ろうとしている子供関連施設等や総合文化学習センターの先進モデルにふさわしいと思うがどうか。ハードもともかく、マネージメントする人がポイントであることも確認したい。考え方を聞きたい。


(3)転換期にある路線バスの今後と路面電車活性化への取組みなど、まちなかモビリティについて。

(4)プール棟の建設など総合スポーツ公園構想への取り組み、豊橋公園整備とのリンクについて。

 ***第二問要約***
 @路線バスの検討組織を設けて検討中であるということですが、その検討の一定の結論に期待しますが、昨年12月議会にすでに地方バス路線維持費補助金を決定される前にやらなければならなかった事ではないのかというプロセスの問題点は指摘させていただく。
 すでに大阪の「赤バス」、泉南市の「コミュニティバス」、江南市の「いこまいカー」など英知にあふれた取組みもあり、大いに学んでいただきたい。

 A路面電車については今日まで様々な取組みがなされてきた事は評価する。
 路面電車は民間鉄道事業者の経営に託されているのが豊橋の特徴。昭和38年の一日28,219人 年間957万人をピークに今では約8000人 年間290万人と1/3になり、経営的には人件費を切り詰め、それでも4500万円の赤字。これが実態。「何とか1日1000人乗降客が増えなければ将来にわたる存続は難しい」という。
 そこへ朗報がある。阪神×中日戦におしかける阪神フアンをどう岩田の市民球場へ運ぶか。当日は3両編成で250人を一気に運ぼうとするが、20分間隔でしか運行できないという。ならば競輪場の駐車場を借りてパーク&ライドでなど考えられているという。今年の乗降客は一気に膨れ上がるでしょう。プロ野球の二軍戦を1試合でも誘致すれば、また増えるでしょう。その可能性についてお聞きしたい。

 Bまた、回遊性という事を考えれば、当然であるが現在の豊橋駅前の電停と新川駅電停の間に電停を設置し、南街区をはじめ回遊性の仕組みをつくるために供しなければいけないと思うが、長年の課題でもある新駅設置の見通しについて伺う

 Cこの路面電車を生かすためには公共の援助はどこまで可能かという問題である。補助金にも一定の限界があるとすれば、公共施設の配置と路面電車を生かしたイベントしか道はない。桜ケ岡跡地は新総合福祉センターが具体化に動き出す。ここでのイベントも大事な要素。次に静岡銀行跡地の使い方、何よりも豊橋公園が問題。
 その豊橋公園を「歴史と文化の風格ある静の公園」にしようとする計画がある。私はこの計画は路面電車を生かすという観点から甚だ疑問を持つ。
 市民オリンピック、小中学生の競技会、テニス愛好家の練習など森に囲まれてワイワイガヤガヤと都心の公園らしく賑わいを見せる。この公園からスポーツ施設を交通アクセスの悪い神野新田に移設させる事は本当にいいのか。路面電車の寿命を縮め、ライフポートと同じようにバス補助金で足を確保していく事になろうかと思うが、それでいいのか
 中心市街地に人を集約しようとする戦略からも疑問である。

 大体、豊橋公園構想の全体が未だ示されずプールだけが突出して具体化していいのか。何のためのPDCA=行政評価なのか解らない。またこの地には沖野地区開発計画も見え隠れする。ステップを間違えていないか。当局の考え方を聞きたい。

 D不況にあえぐ市民が今望んでいるのは約52億円もかけてのプール棟の建設だろうか、その上、冬場はアイススケート場にするという。若者を初め市民は本当にアイススケートに興味を注ぎ待ち望んでいるのだろうか。いかなる裏づけと分析で考えられたのか改めて伺いたい。少子高齢化時代、50年のスパンで考えてどうなのか。これからの豊橋に必要なのか


(5)530の街で、いよいよ稼動する次世代型焼却炉とエコビレッジ構想、そして環境文化都市への取り組みについて。

 ***第二問質問要旨***
 @いよいよ180億円−市民一人当たり約5万円の負担をねがっての大プロジェクトが稼動し始める画期的な年が今年2002年である。私はその意味で「広報とよはし」新年号に期待して市長のメッセージを読んだが、残念ながらこの事に具体的に触れられていなかった。
 180億の重み、あれだけの議会論議、そしていよいよの世界初の稼動−これだけのプロジェクトをなぜ世界に向かって発信しないのか。私はこの一年、監査委員として大いに勉強させていただいた。1月には大阪技術士会所属の機械や電気、金属などの専門家4人の方とともにこの焼却炉施設の工事監査に同行させていただいた。すでにこの監査結果は公表されていますが、そのプロたちは異口同音にこのシステムの先進性と導入を決めた市長と市議会の勇気に感嘆していた事をお伝えし、市長のこの次世代型焼却炉にかける思いを、その決意の程を聞きたい。

 A30年続いた530は「自分のゴミは自分で持ち帰ろうというゴミの移動」がコンセプトで今日まで来た。しかし、「真の530のまち」にするために市民、行政、企業が取り組まなければならない事は何かがポイントだと思う。昭和54年に30万都市としては画期的な5分別が始まり、農村施設との融合を図ったユーレックス事業は画期的な循環型社会への試みであったと先人の見識と勇気に感謝したい。
 あれから四半世紀。今、次世代型焼却炉と併せてのエコビレッジ構想、これを21世紀に豊橋が後世に残す一大環境プロジェクトにしなければならない。次世代型焼却炉に呼応した次世代型530運動を提唱するものです。
 今や、日本各地で先駆的な試みが行われています。神戸ポートアイランドでは街全体で生ゴミをバイオガス化してそのエネルギーで発電し一帯の住宅に供給している具体例がある。京都府八木町では家畜糞尿を主体とするバイオマス発電装置が98年から稼動している。この二つの事例に呼応して農水省が年間2000万dの食品ゴミ、1億dともいわれる家畜糞尿からメタンガスを取り出しバイオマス発電を行う普及に動き出し、本格的な取組みを始めた。

 そこで提案、エコビレッジの目玉として農業都市−豊橋が、530発祥の地−豊橋が、次世代型530運動としてこの自然エネルギーを使った試みに挑戦して行ったらどうか。伺いたい。


(6)ITを活用した市民サービスの向上に向けた電子市役所への取組みについて。

 ***第二問要旨***
 @地域情報化の先導的役割としての市役所の情報化への具体化が進んでいるが、あまりにも情報リティラシーすぎないか。特別な庁内システムの運用のためならばともかく、マウスの動かし方から、キーボードの配列、基本的なメール、インターネットの動かし方までなぜ勤務中に講習会が開かれるのか。そんな事は、自分で休日返上でマスターすべき事ではないのか。至れる尽くせりのは配慮がこの情報リティラシーを生んでいないか。

 AIT化による地域情報化の高度なサービスを住民・企業が享受できることが目的のはずが、あまりにも内向きシステムに終始していないか。
 2001年度e都市NO.1の岐阜県可児市ではHP上で市民参加ページを充実させ電子会議室や掲示板を運用し、行政と市民の情報交流を具体化している。
 同じく岐阜県各務ヶ原市ではテレビ会議室機能を使って市内6ヶ所のサービスセンターと結んで、市民の問い合わせにデスプレイを通じてですがフェイスtoフェイスを具体化した「ワンストップ総合窓口」を開設して、ぬくもりのある情報化に取り組んでいる。街づくりとITコミュニュケーションを合体させる「まちコミ」がすでに動き出している。

 豊橋は遅れている、それ以外にも岡崎市、大垣市など各地を回ってきて、これが実感です。その地域間格差が将来大きなハンディになるという認識と危機感があるのか、伺いたい。

 Bその上で、本市の「地域情報化基本計画」は平成6年3月に作ったままで移行している。この時代にはITという言葉はなかった。この間、情報環境は飛躍的な進化を遂げている。豊橋はWindows3.1で止まっている。パソコン通信で止まっている。
 この計画の見直し、新たな基本計画の必要性を訴えたい。当局の考え方を伺いたい。


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