伊藤ひであきの市政報告

97年9月定例市議会 「焼却炉問題への対応」97.09.08
 さる、9月8日に行った「豊橋は再生に向かっているか」の一般質問で取り上げた9項目のうち、「焼却炉問題への対応について」、その質問と答弁の経過をお伝えします。
第一問質問要旨

市長就任直後に判断された資源化センターの「次世代型焼却炉」の決 断以後、ダイオキシン、産廃問題が大きくクローズアップされてきた。豊橋のゴミの現状、焼却炉選定の経過さらには豊橋のリサイクル社会の構築の面からもこの判断は「早急すぎたのでないか」という疑念を持つ。市長の見解を改めて伺いたい。

 (第一問答弁要約 環境事業部長)
今回の焼却炉の更新に伴い炉形式の決定が「早急すぎたのではないか」 というご指摘ですが、むしろ逆で、焼却炉の老朽化やゴミ量の問題から 更新は待ったなしの状況である。リサイクル社会構築の取り組みも急務 の課題でありますが、それにもましてダイオキシン類対策など環境問題 への対応は、行政として緊急の最重要課題である。
そうしたことから、環境に優しい、そして、より、リサイクル機能の 充実した、この次世代型を選んだ訳である。理解いただきたい。
第二問 質問要旨
 むしろ逆で「遅すぎる」という答弁があったが、何故遅れてきたのですか。あ なた方が炉の更新ばかり検討し、肝心の「豊橋のリサイクル計画」に説得力がな かったから議会は予算案の提出すら許さなかったのではありませんか。

 「焼却炉はもう寿命がきている」という。しかし、全国の同じクラスの焼却炉 の寿命は平均21年というではありませんか。豊橋の焼却炉は技術者も優秀で 「別名金さん銀さん焼却炉」と呼ばれていますという程、努力したらどうですか。

 「ゴミで溢れ出しているという」貴方達はその事に危機感を持っていますが、 36万市民は誰がその深刻さに気づいていますか。いや、市民にもっとPRした らどうですか。「今月は国民健康保険の納期月です」などという空からの宣伝は 聞いたことがありますが「今、資源化センターにはゴミがあふれています」「市 民の皆さん、ゴミは出さないで、ゴミを買ってこないで」と宣伝したらどうです か。水道局の宣伝カーは見かけたことがありますが、環境事業部の宣伝カーは見 たことがありません。
  「宇連ダムの水位を示すグラフ」は1階ロビーにありますが、資源化センターの ゴミの量を示すグラフはみたことがありません。

 3月議会、いや6月議会以降でも毎日のようにゴミそして廃棄物については情 報が次々と出てくる。

 たとえば、御嵩町の住民投票が提起した問題は何か。私のインターネットのホ ームページ「小さな町の大きなノー」に御嵩を走り回ってまとめたルポが乗って いるので詳細は避けるが。「ゴミを出さないことが肝心だ。でるゴミは再利用する。どうしてもできない ものだけを、無害にして処分するのがこの問題の基本だ」と言い続ける柳川町長。 住民投票の結果は、都会のゴミを地方に押しつけ、後手後手になってきた国や県 の産廃行政への大きな抵抗である。

 またダイオキシンに対する厚生省、そして環境庁の動きも風雲急で次々と規制 がかかってくる。「廃棄物処理法」も改正された。「大気汚染防止法の政令」も 改正された。豊橋が計画している200t炉の場合0,1ナノグラムが排出抑制 基準値となった。来年度から「ダイオキシン総合対策5ヶ年計画」をスタートす ることにもなった。

 また今後10年から20年の間に中小炉を廃止し、100トン以上、24時間 運転型の大型炉の方針も出してきた。これに対し、大型炉にすれば無理にでもゴ ミを集めてきて燃やしつづける必要がある。コストも高くつく。「むしろ小型炉 でいかに発生しないかを模索することこそ優先すべきでないか」という声もある。 近隣では渥美町が5T 赤羽根町が5T田原町はセメント工場と連携し固形燃料 化して、燃やし、あとは埋め立てている。
今後どうするか、豊橋の動きを勉強し始めた。

 また、再三申し上げているが、ダイオキシン対策でもっとも効果的なことはゴ ミの減量とリサイクル、分別の徹底だ。塩化ビニールを燃えるゴミとして出さな ければダイオキシンは発生しない。当然のことだ。

 「集めて燃やす、集めて埋める」ことから脱却する時が来ているのでないか。

 秋田県大館市と周辺2町では塩化ビニール製品やプラスチック類の分別収集を 始めた。集めて専門業者に処理を依頼している。

   こうした動きに呼応して東京都では23区すべてに作る予定であった清掃工場 の建設計画を見直しを始めた。東京東村山市では文字どおり脱ゴミ焼却、脱埋め 立ての町づくりが始まった。

 豊橋でも来年からペットボトルを回収する、あるいはビニール袋の透明化に取 り組む。プラスチック類、塩化ビニール類の回収だって始めなければならない。 ゴミの有料化だって検討しなければならない。これらは何のためかゴミを減らす ためだ。ゴミを出さないゼロミッション企業団地の計画もサイエンスコアで始ま った。

 だから、現在の3つの炉で440トンの焼却能力を、200トン炉を2基にし て550トンと150トンも増やさなければならない必然性に説得力がなくなっ てきている。

 そして肝心の熱分解焼却炉。原理はその通り次世代の方式だと思う。権威ある という技術評価書にも一応理解した。福岡の自治体が発注した。ドイツのシーメ ンスが春から実稼動を始めるという情報もあった。故に特別委員会の動きもあり、 慎重な対応をされるよう条件をつけて、3月の新年度予算を決める本会議では賛 成した。

 しかし、何事も事実は後からついてくる。

 権威ある技術評価書を作った「財団法人 廃棄物研究財団」とはどういう団体 か。国会議員を通じて調べたら、出資者と出資比率を調べたら、プラントメーカーが 72%出資しているという。何のことはない、内輪の研究所で、公平で公正な厳 しい技術判定ができるわけがない。

 「福岡の自治体が発注した」という。確かに発注している。八女西部広域事務 組合。しかし、今どうなっているか、筑後市や八女市の我が公明議員団と連絡をとり あっていますが、その三井の次世代型焼却炉の導入の中心的役割を果たした筑後 市議会の議長の怪文書が出回っていて混乱して、組合も議会もどうしたものか困 り果てているという。

 もうこうなったらと「ドイツのシーメンスの稼動現場へ行こう」ということに なった。ところが、「春から稼動しているはずの肝心の施設が動いていない」と いう情報もあれば、「試運転中」という情報もある。「試運転ということは実稼 動ではないから、やっぱり動いていないということではないか」と苦茶苦茶。

 それでも30人づつ2班に別れていくという。「発注したのに、なぜ今更、金 かけてドイツへ行くのか」と市民からは批判が出ている。「動いていなかったら 行っても無駄だ」「それを確かめに行く」という。「確かめるだけならいかんで もいい」とまた批判の声が上がっている。とどのつまりは「ドイツへ行きたいだ けなのはドイツだ」と言うことになる。

 ついでながら、八女西部事務組合に三井が示した担保の中には、スラグはトン 10円で運搬費も負担して引き取るという。
 また熱分解工程を経て分別された鉄、アルミは運搬費まで負担して三井物産金 属原料株式会社が引き取るという。

 豊橋に示された担保とは比べ物にならない大サービス。豊橋は八女の2倍の規 模の焼却炉なのに、金額に換算すれば、担保は八女の半分にもならない。

 こうなってくると、こういう情報が積み重なってくると
、 「もう一度、豊橋のリサイクル社会構築の将来計画をしっかり立てて、その間に ドイツのシーメンスの実稼動データもまた各メーカーの次世代型焼却炉の取り組 み状況も出揃ってくるまで待ったらどうかといわざるを得ない。

 私たちのこういう判断は無理がありますか。
 もう既定事実のように来年度の予算化、事業化に走っている当局の動きはこの ままでいいのですか。 納得のいくお答えをお願いいたします。

(第二問答弁要約 環境事業部長)

確かに私どもの取り組みの甘さから、2年前の特別委員会で当時の環境 事業部長がお詫び申し上げた経過があり、議会に大変迷惑をおかけした 経過があります。

 また、伊藤議員からは多角的な角度から廃棄物行政を取り巻く、 社会的環境が日々刻々と変化しているとのお話がありました。ご指摘い ただきました諸問題につきましては早急に取り組むべき問題もあります が、また広域化など時間的に長期の調整を要する難しい問題もある。

 再三申し上げるように、焼却炉の更新は一刻の猶予もない状況にある。 従いまして、諸課題への対応と並行いたしまして、更新に取り組んで参 りたい。

 また、技術評価書の信憑性についてお話がありましたが、私は日本の企 業の高い技術力を信頼いたしております。その高度な技術力を誇る企業、 プラントメーカーが出資して財団法人 廃棄物研究財団の技術評価書は 私どもが信頼に値する信憑性のあるものだと革新しています。


第三問 質問要旨
いつのまにやら環境事業部長という市民のゴミを預かる大事な立場を 放棄して企業の代弁者になってしまっている部長とはこれ以上論議できません。 あなたは企業の側に立っておられるが、私は市民の側に立っています。

 市長、焼却炉設備だけで200億円を超すという大きな投資をこのまま進めて いいのですか。優先されなければならないのは、豊橋のリサイクル社会の構築を どうするか、「集めて燃やす」ごみ行政をいつまで続けるつもりか。こんな状況 で進める責任も含めて考え方を聞かせてもらいたい。

(答弁要旨 市長)
ご指摘のことは十分配慮しながら、平成14年稼働をめざし、次世代 型の新しい炉方式で豊橋のゴミ行政を一歩前進させ、リサイクル社会 を構築して参りたい。


ホームページに戻る 議会メニュー