地方政治クリエイト 14/06新城市議会傍聴記

人口減少の長い影は深刻

■産廃業者進出

 南部企業団地への産廃業者進出に当たり、「市長は市民の心配に寄り添い、市民の信頼を得る努力をしているか」と切り込んだのは白井倫啓氏。
「許認可権がない新城市は県企業庁の説明責任を求めるべきであり、買い戻し特約行使のタイミングを逸している事も含めて、責任を果たしていないのは誰か」と、「民法585条の共有持分の買戻特約付売買の規定」を盾に追求したが行政側の対応が後手になっている印象はぬぐえなかった。

■就農支援

 柴田賢冶郎氏は「農業経営基盤強化促進法」に基づき「新城で農業をやりたい」という若者を応援する施策について質問した。
 トマトやホウレンソウ栽培に8名の研修生を受け入れるなど関係機関と連携して担い手確保に努めていることなどが答弁されたが、自らも参加した四谷の棚田地域が行っている就農体験機会などを拡大するよう要請したが、若者らしい質問だった。

■交通弱者対策

 下江洋行氏は高齢者・障害者の外出支援サービスについて取り上げた。市内でも山間部や中心部では病院や公共交通、協力事業者などの違いを考慮した利便性の向上を要請した。
 地域包括ケアも、中学校区ぐらいの地域を想定しており、下江氏のように地域実情を把握したうえでの質問の組立ては説得力があった。

■広域連合

 丸山隆弘氏は広域連合について、特に穂積市長が主張し続けている「広域連合の長や議会の直接選挙」について議論した。
 企画部長は「新たな地方行政のトップランナーを目指す東三河広域連合は、地域住民の信託を明確にするためにも直接選挙を主張している」としたが、その実現性については今後の議論であるとした。

■山間地域対策

 人口減少対策として作手のような中山間地域では基幹産業の農業にどれだけ新規就業者をむかえることができるのかがポイントだと主張したのは菊地勝昭氏。
 今まで14人の受け入れがあるように、名古屋などでの「就農フェアー」では受け入れ態勢がしっかりしている作手地区などは人気があることを背景に、空き家や空き校舎の有効利用などの施策と結びつけた総合的な取り組みを要請した。地域密着の重みのある議論だった。

■跡施設・跡地

 鈴木達雄氏は教育施設の統廃合が進む中で、その跡地・跡施設は地域活力維持のために早急に活用すべきであるが、緩慢ではないかと問題視した。
 穂積市長は「市長就任後10校を閉鎖してきたが、その跡地活用には態勢を作って総力を挙げて取り組んでいきたい」と答弁したが、人口減少が落とす影が地域の活力を奪い取っていく様を思い知らされた質問だった。

■産廃業者問題

 中西宏彰氏は産廃施設の進出に当たり、住民の思いに寄り添って市長をはじめ関係者が努力している姿を評価しながら、地域の教育環境を守るために最大限の努力を果たすべきことを要請した。
 こうした問題はしばしば「人間として、法律以前の問題として」と論じられるが、法に従う以外に着地点はなく、よりよい共存の道を冷静に模索すべきである。

■教育委員会

 最後に登壇した滝川健司氏は、今国会で成立した「地方教育行政法改正」が来年4月から施行されることから、今後の対応を聞いた。
 教育長は「首長に権限が強化されたが、人が変わっても新城市の教育が変わらないよう、教育の中立性、継続性に取り組んでいく」とした。
 市長は「新城の教育が守られるよう教育憲章のようなものを作っていきたい」とし、教育委員の役割や事務局体制、予算編成権限なども検討しているとした。


 会派制をとらない新城市議会では、一般質問は議員としての最大の政治の場であるが、何を主張したいのかを明確にしないと存在感がぼやけてしまう。そのためにも勉強を!

(愛大地域政策学センター研究員)


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