2.東三河の各地域の合併への取組みと市長の三河市構想について
(1)渥美三町、豊川宝飯、新城南北設楽など近隣の合併への動きについて
(2)市長が公約に掲げた三河市をめざした取り組みについて
同じ東三河の市町村の事であっても、こと各地域の合併問題について、こうした場で軽々に論ずる事は避けなければならないと思います。何よりもそれぞれの地域には固有の歴史があり、地域に根ざした生活があり、そこに住民のかけがいのない人生が刻まれているからです。
その上で、周辺市町村の首長の最近の例えば産学官交流サロンなどで、この「三河市」構想への取り組みについては、かなり、踏み込んだ発言があります。設楽ダム建設予定地の後藤設楽町長は「豊橋市が中心となって、東三河市をつくっていくくらいの一体感がなければ、下流の受益地においても、上流の受益地においても水問題は解決しないのではないか。それにより、一つの方向が生まれるのではないか」
あるいは、下江鳳来町長は「南北設楽でも合併への取組みがあるが、南北設楽では財政状況は赤字であり、高齢化率も高い。その意味で自立できる、元気が出てくる合併でないと意味がない。過疎・高齢化・少子化の奥だけの合併は広域合併の一里塚であり、むしろ、私たちは合併に加わらせてもらえる、いい街づくりに励まなければならない」
また、金原蒲郡市長は「蒲郡市が他市町村と合併するケースは、東三河の全市町村が一体となって三河市構想が動き出すときである。自分としては三河市のネーミングはいいと思う」
また、白井田原町長は「渥美半島の製造品出荷額は1兆5000億円で、長崎県と同等だが、東三河や湖西市がまとまれば5兆円、農業祖生産高も大きく、山間地域も港も個性的な文化も持つ。豊橋中心のネックレスのような市ができる。いきなりでは無理でも豊田市や浜松市も政令都市構想を持ち、当地域もダイナミックな合併検討を進めるべきだ」
豊橋市議会において、この三河市構想について論議されたのは、平成12年12月議会−すなわち二期目の早川市長の最初の本会議でありました。その時のお答は「住民意識の醸成が必要不可欠であり、また長期的な課題である。水問題も含め一体となって広域的な行政を行っていくことが大切である」
「市町村合併は時代の流れであり、いずれその時期が来る、規模的には政令指定都市に準じた規模になる」など発言されています。
また昨年6月議会では「地域の実情を充分踏まえる中で対応していく事が欠かせない。豊橋渥美広域交流圏、東三河広域交流圏さらには三遠南信広域交流圏など多様な広域連携の中で、地方全体のレベルアップに向け本市の役割と責任を果たし、地方分権をより実るあるものにするために政令指定都市−三河市をめざしていきたい。そのための内部的な研究組織を始めた」というやりとりでした。
@それで、あれから1年経過しているわけで、地方財政改革と地方自治体の行政能力の強化と合理化は必然の課題であり、先程申し上げた周辺市町村からの熱いメッセージも届けられています。そのことに東三河の中核都市−豊橋市長がどう考え、どう説明責任を果たすかは極めて重要です。
豊田市の鈴木公平市長は8月30日の記者会見で「豊田市の中核市の役割と責任を考えると周辺市町村との合併は必要であり、周辺7町村の首長間で合併についての方向性をまとめる。市民に理解を得るために9月に合併についてのアンケートを皮切りに作業を進める」と一歩踏み出す考えを明確にしています。
勿論、豊田市とその周辺とは同列の次元で捉えてはいけませんが、「住民の声が大事」「民間のあるいは周辺市町村の動きを注意深く見守っていきたい」という答弁ですが、市長「時は作らなければなりません」「住民意識の醸成も道筋をつけなければ湧き上がってきません」
東三河の人口76万人は鳥取県より大きく、島根県と同等であります。この夢の実現に向けて、夢で終わらせないために、市長の一歩突っ込んだリーダーシップが必用と考えますが、意図する事があれば伺いたい。
Aさらに、その上で、広域行政の取り組みであります。何よりも東三河地方拠点都市地域整備推進協議会がもう10年目を迎える、また東三河縦貫道路建設促進期成同盟会など、水・道路・産業・観光などの東三河各地域が参画する機関も目白おしなわけで、そのリーダー都市としての機能を更に発揮されるように望むわけですが、2005年万国博にあわせた「森林祭」そしてそのメイン行事である「インターナショナル・ユースアカデミー事業」の取組みなどは長年の広域行政の大きな集大成として期待されるわけで、その取組みは東三河の一体感を更に醸成していくのではないかと考えられます。
今後の東三河一帯の広域行政への取り組みについて市長の意図するところを伺いたい。
Bもう一点、県域を超えた湖西市への見方であります。湖西市が地勢上、あるいは文化・経済、交流上の重要な地であることに異論はないと思います。何よりも工業出荷額1兆円、湖という自然の宝庫も有しているわけで、浜松市とは、浜名湖をはさんで隔たりがあるわけで、豊川水系の水を利用し、三河湾浄化、三河港、三遠南信というキーワードで豊橋との結びつきも深いわけです。
すでに静岡市と清水市が来春に合併するという動きに連動し、浜松市を中心とした周辺3市6町による「政令指定都市研究会」も発足しているわけです。
市長は三河市構想の中にこの魅力ある県域を超えた湖西市をどう捉えておられるのか、伺っておきたい。
3.地域経済活性化への新たな動きについて
(1)構造改革特区「三河港」提案について
この「構造改革特区」の設置は現在、法案設置の段階であり、今後、かなり早いスピードで関係法令が整備され、改めて地方公共団体から正式な申請を受付、指定していくという段取り。
従来型の地域指定でなく、地方公共団体や民間の「知恵と工夫の競争による活性化」のために特定地域での成功事例を示す事により、全国的な規制改革へと波及させ、わが国全体の経済を活性化させようとするものであり、従来型の国の財政資金に頼らないという点でも特筆すべき取組みであり、それに手を挙げる意義は大きい。
三河港における自動車荷役仮ナンバー利用要件の緩和や、ナンバープレートの登録規制の緩和、許可制になっている車両認証の簡素化などの規制緩和により、国際競争力の強化を図ろうとするだけに、自立した創意工夫、知恵、人材が不可欠です。またこの国際自動車特区プロジェクトは、広域行政でもあり、民の結集も不可欠です。今後、このプロジェクトの推進をどのような体制で行っていく考えなのか、お聞かせ下さい。
(2)都市エリア産学官連携促進事業の取り組みについて
知的クラスター事業には採択されなかったが、それに準ずる形で都市エリア(中核的な都市とその周辺)の個性発揮を重視し、産学官連携で新技術を生み出し、新規事業の創出や研究開発型の地域育成などをめざす都市エリア産学官連携促進事業。
採択になった19地域の事業のなかには米ぬかを利用したセラミック材料の開発(山形・米沢=山形)やサツマイモの糖類などを使った健康食品の開発(鹿児島市)、浄水装置の開発(宍道湖・中海=島根)など、地域性に富んだユニークな事業が並んだなかで、「スマートセンシングシステムの開発」というのはなかなか解りにくい。
この地域の地域資源にどのように結びつき、具体的にどのような新規事業が期待され、地域経済活性化にはどのような形で結びついていくのか、伺いたい。