伊藤ひであきの市政報告

97年9月定例市議会 「議員定数改正 答弁要約」97.09.24

  豊橋市議会最終日の9月24日、豊橋市議会議員定数が44から40に改正され ました。以下はその議員提案による「議員定数減少条例」に対する質問のうち、 提案者の一人として答弁を行ったやりとりを要約して掲載させていただきます。
渡辺則子議員の質問 第一問要旨

 市民の声を代弁しながらお尋ねします。

1、「議員定数を削減を臨む大多数の声がある」と提案理由にあったが定数の削 減は市民とともに作り上げる議会制民主主義の根幹である。議員に自決を迫るよ うな声がなぜ市民の中から上がってきたのでしょうか。

2、「社会状況に的確に対応すると定数は減少できる」と提案理由にあったが議 会の本来の役割は市民とのパイプ役であり、市政のチェック機能であると思う。 そこで質問

 1)44名の議員が十分に責務を果たしていると考えているから減少してもいいと考えられたかと思いますが、十分責務を果たしていると考えられた根拠を教えて下さい。
 2)減少することで議会の機能を高めるためには、今まで以上に市民の市政参加が必要と考えるがその点について。

3、昭和57年当時、人口が30万人を超えた時、48人にすべきときに、減員してそ のままにとどめた経過がある。諸先輩のなかには当時と今回の2回、この議論に 参加された経過があると思う。本市では昨年秋の不祥事という議会改革の最大の チャンスがあったのですが、議会の歴史を作り上げてこられた諸先輩はどのよう な意見を持っておられたのか、条例案を作るときに生かされたのか。

4、提案理由には「議会自らが他に先駆けて行政改革の範を示す」とあるが、こ れを「議員自らが他に先駆けて定数削減の範を示す」と読み替えてよいか。

5、議員になって2年半の私は勉強の必要性とその困難さを感じている毎日だが、 市民は議員に「資質を高めることを望んでおられる」と思うが、定数削減をすれ ば一層このようなことが進むとお考えでしょうか。

(伊藤秀昭 答弁要旨)
1、議員定数減少の条例案は5会派39名の議員によって提案されているこ とが何よりも定数削減を望む市民の声であり、社会状況に的確に対応したも のであると思っています。

2、市議会議員の使命については全くその通りだと思います。 そのうえで2問の質問がありましたが、定数を減少してからも市民負託に答 えて活発な議会運営によって可能であると考えます。

3、このご質問は、上程している条例案の本義とはかなりかけ離れている、 と考えますのでお答えする必要はないかと思います。

4、提案理由は提案理由でありますので、読み替えていただく必要はないか と思います。

5、豊橋市議会の議員は市民の負託に答えるために個性、背景の違いはあっ ても、日々努力を続けていると確信していますし、減員されてからもその姿 勢は変わらないと確信しています。

渡辺則子議員の質問 第二問要旨

質問の本意が十分伝わらなかったと感じています。「定数削減の声がなぜおこ ってきたのか」と質問させていただいたつもりです。そこで更に二つにまとめて お尋ねします。

1、答弁にあったようにそれほど議員が努力しているならば、もっと早い段階で 率先して削減の動きがあってしかるべきでないか、去年の不祥事を経て、市民の 大多数の声に突き動かされてしか削減の動きがおこってこなかったのか、市民の 生の声も含めてお聞かせください。

2、それから、2度の削減をされてきた訳ですから、本義から外れていると言わ ずに、なぜ15年前に据え置く削減をしてその後、いかに議員としての活動を続 けてこられて、なおかつ4名減員されようとしているわけですからきちんと答え て下さい。

(伊藤秀昭 答弁要旨)
 1、昨年の不祥事の中で、もっと市民の批判を率直に受け止め、早い段階で削 減に取り組まなかったのかと質問されていますが、当然、減数条例に取り組む には多くの皆さんの声が形となって、まとまってこなければなりません。何事 も時が大切です。
時にかなって、今日を迎えたわけで、むしろ早い取り組みであったと思って います。

 また私事ですが、毎月月初めに「FAXレポート」で約300人の皆様に考 えをお伝えし、返信していただくようにしていますが、議員定数削減について は、たくさんの返信をいただいた。
 その中に「談合問題が市民の噂に上っていたのに、監視し、質すことができ なかった議会は解散せよ」
 「役に立たない議員なら20人でも多すぎる」
 「1人や2人しか落選しない生ぬるい選挙で当選しているから議員自身に甘え があるのではないか」という指摘がありました。
 そういう言葉を真摯に受け止めそれらを自らの行動根幹にしてきた経過もあ ります。
 こうした経過を踏まえ、市民の負託に答える議会改革の多くの課題に取り組 みながら、自発的な形で多くの皆様方とともに条例をださせていただく所まで こぎつけたことを誇りと責任を感じています。

 2、昭和57年当時と現在は15年の時代の開きがある。地方自治法では30 万人で区切っている。299,999人と300,000人とは区別されるわけですから、57 年当時の議事録を読ませていただいても、先輩諸氏が時代の流れの中で高度経 済成長に区切りがついて、人口増にも歯止めがかかった段階で論議の末に40に 据え置かれた。

 そして15年の歳月を経て、その据え置かれた44が今回40に減員される。これ もまた時代の大きな要請であろう、民意の反映であろうと思っています。

渡辺則子議員の質問要旨 第三問
 私は定数減に最初から反対ではなく、昨年の不祥事を考えますと、定数減は自 らの体に刃をつきつける重さを感じながら、この半年間、十分な議論はなされな かったという思いから削減に走るのは早いのではないかという思いで質問させて いただいています。

 また、削減問題に真剣に取り組むのはこの時だけのためではない。その意味で 市長の不祥事を質せなかった議会、どうしてこの数年間そういう働きがなかった のかという市民の答えにはならないと思う。

 削減をすると決めた以上は、行政とのいい意味での緊張関係にあると考えてい るのか。情報公開も始まって一年が経つ、またオンブズマンの制度をあえて取り 入れているような市町村もあるこの点に関してはどのように考えておられるのか、 関連があればお尋ねしておきます。

 また削減したことによって大変よくなった市町村の例を具体的にお聞きしたい。

(伊藤秀昭 答弁要旨)
 昨年の不祥事の中で議会、議員に向けられた市民の皆様の様々なご意見は、 率直にぶつけられましたが、議員に与えられた権能とは何かということまで含 めて整理しておく必要があると思っています。「捜査権はあるのか」、「議会 は取調室か」ということを考えますと、三権分立という民主主義の根幹の問題 ではないかと思っています。
 市長の不祥事は司法によって明らかにされた。このことは議会が何をやって いたかということとは別の問題で、市長個人の収賄容疑が司法によって立件さ れた事は健全な三権分立機能が発動されたと思っています。

  削減することによって民意の反映は狭まるのではないか危惧される向きがあ  りますが、情報公開とか住民監査請求などによって、地方自治そのものも住民  側に立って大きく変化してきた。この事により住民の皆さんが自分の町の市政  を手に取れるようになってきたと確信しています。
  よって40人になっても議員自らの努力で市民の負託に答える努力が続けられ  ていくものと思います。

 また私ども公明議員のネットワークで48の条例定数の同規模の議会の皆様と 情報交換させていただきましたが、例えば38に減員している福山市議会、36の 所沢市議会などの皆様と連携取らせていただきましたが、「減数によって議会 に民意が反映しにくくなった」とか、「議会が停滞した」とか、「議会が住民 と離れていった」とかという意見は聞いていません。

 むしろ「少数精鋭になってみんな頑張っていますよ」という声が跳ね返って くる。
 「大変によくなった」という表現には当たらないかもしれないが、改正案が成 立以降、豊橋の議会の活性化につながり、街づくりにつなげていくためには、 議員自らが更なる努力をしていかなければならないのではないかとお答えさせ ていただきます。

(渡辺議員)  私は一人の会派で議会に席を置いていますが、発言の機会を始め、色々な機会 を与えていただいて、豊橋市議会は大変開かれた議会であると、他の都市の皆様 との交流を通じて感じております。その上で44引く4だけを問題にしているの ではありません、答弁を聞いている限り、削減が及ぼす波及効果がいい形に表れ るとは思えません。
 数の上では削減案を通すことができても、本当に削減案を生かした形で議会運 営ができるのかどうか心にしていきたいことだと思っています。
 以上で終わります。

 渡辺則子議員は一人で会派「豊橋市民会議」を名乗ってその代表。平成7年当選の1期生議員。私は公明市議団幹事長で3期ですが、実は岐阜県養老郡養老町立高田中学校の同級生。
彼女は御主人の勤務の関係で昭和53年に豊橋へ、私は転勤で昭和54年に豊橋へ。
 そして期しくも、2年前から、故郷を約200キロ離れた豊橋市議会に席を置き、今回は同級生での議会論議となりました。


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