伊藤ひであきの視察報告

高松の水飢饉への挑戦 97・07・18

 記憶に新しい4年前の平成6年の高松の渇水。139日間に渡って、高松では 水圧調整に始まって、洗車栓・散水栓の閉鎖、公営プールの閉鎖、夜間断水、1 4時間給水、から5時間給水が実施され「讃岐砂漠」といわれた。あの時、高松 にいる高校の同級生にペットボトルのふるさと養老の水を送った。

 その時だけではない、高松の歴史はそのまま水不足との戦いの歴史。昭和48 年には3時間給水、完全断水が行われるなどの異常渇水。昭和49年には香川用 水が通水し高松の水問題も解決したかに見えたが、この10年間は平成3年と5 年を除いて毎年給水制限が行われている。

 高松の水資源はその65%を早明浦ダムに貯水される香川用水からの県水に頼 っている。貯水量が50%近くになると香川用水の取水制限が行われることにな る。そこへ日本一雨の少ない香川県という条件が重なる。近年では温暖化などの 影響で少雨傾向が拍車をかける。高松の年間雨量は約1000mm全国平均は1 700mmである。

 そこに重なるのが高松市周辺には大きな川がなく、貯水量の大きなダムを造る のは難しいという地理的条件が重なる。
 もう一つ、水洗トイレの普及や井戸の減少、ライフスタイルの変化などで年々 増え続ける水の使用量が重なる。昭和40年には一人一日使用料は162リットルで あったのが平成7年では337リットルと2倍以上になっている。

 ゆえに高松は市民総ぐるみで「新たな水源確保」と「節水」を二つの柱に、 「渇水に強いまちづくり」を行っている。

 その主な取り組みは
・市民の約8割に普及している節水こまの無料配布。
・風呂の残り水を洗濯機に送るなどのミニポンプ購入費の助成
・用を足すとき水が流れているような音を出す擬音装置の設置。
・下水処理水を浄化し、再生水を利用。すでに1日500立法メートルを利用。
・77施設の公共施設での井戸整備。
・雨水の利用のための貯水タンクへの補助などを通じての普及促進。
と枚挙にいとまがない。

 「衣食足りて礼節を知る」という、礼節を知った人間が、水が足らない生活の 中でどんな社会を築くのだろう。あるのにないものを想像するのは観念になる。 無い物をないとして、無くても生きれる社会は本物を生みだす。
 懸命な水問題対策室の皆さんの必死さにふとそんなことを考えた。

   高松の水飢饉への挑戦は、自然と共生する街づくりそのものである。

5日間の四国視察を終え久しぶりの我が家で


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