豊橋の経済界(産)と愛知大学、国立豊橋技術科学大学などの英知(学)、そ
して豊橋市を中心とした東三河(官)が相互に知恵を出し合い、壁を越えて豊橋
に新しい産業を興そうという、豊橋サイエンスクリエイト構想、その実現のため
に、「産学官交流サロン」が始まったのが昭和59年11月。以来、毎月第一月
曜日を定例に回を重ねて、143回の「交流サロン」が9月2日(月)約120
名の参加を得て行われた。
毎回、技科大などの学者先生のアカデミックな話と地域に根ざした身近な話し
の組み合わせ。一杯飲みながら、中華料理の食事をし、名刺交換しながらの2時
間。それを行政関係者は2000円で参加できるありがたーい、また有益な集
い。
昨夜の会合で邦楽集団「志多ら(しだら)」の代表である古田 偉佐美氏のお
話「「志多ら」の心」に衝撃的な感動。以下は私のメモから紹介します。
私は現在、富士宮市で仲間とともに農業をやっています。野菜を作り、山羊を
飼い、ウサギも飼っています。毎日好きな事(農業)をやって人生を生きていま
す。好きなことをやって生活していますから、毎日が休みです。お金なんてあり
ませんし、入りません。サラリーマンがイヤだったし、組織が嫌いな人間は気ま
まに生きれて、好きな百姓をやって、生活していければいいのです。
皆さんは毎日、ストレスがたまるほど、組織の一員として働き、神経をすり減
らしておられる。日本経済を引っ張っておられる。しかし皆さん、今日本経済
で、一番売上を上げているのは、30兆円のパチンコ産業です。その次が自動車
産業、その次が医療産業の27兆円。そうなんです「景気がよくなる、よくな
る」と努力されていて、刻苦勉励されてきて日本の経済は、パチンコと医療。ス
トレス発散と病気がトップクラス。何かおかしくありませんか。
そういう日本のシステムに背を向けた生き方もあることを知って欲しいんで
す。その私が邦楽集団「志多ら」の代表を務めるのも、同じように物でもない、
金でもない、「心」こそ大切だという選択をした人間集団なんです。
8年前、愛知県小牧市で結成準備を始めて、吉村城太郎社中として、名古屋を
中心に公演活動を始めて、本拠地を愛知県北設楽郡東栄町にある廃校になった小
学校を稽古場として、共に暮らしています。
「志多ら」は平安時代に広く民間で信仰された神の名=「設楽(しだら)神」
からとりました。宿舎としている小学校は、芸能の神を祀った神社の境内にあり、
この神社では毎年11月、国の重要無形文化財である「花祭り」が行われていま
す。毎年の「花祭り」には「志多ら舞」を奉納しています。
集った若者たちは、金や物が一番ほしがる世代。しかし、そんなものより「太
鼓」を叩きたい、「三味線」を引きたい、「笛」を吹きたいという人生を選んだ
若者たち。中には今年の津軽三味線の全国コンクールで優勝した人もいます。そ
んな箔がつけば弟子をとって優雅な生活が送れるのに、廃校で生活しているので
す。初めは、男は5000円、女性は3000円の小遣いしか劇団としては払え
ませんでしたが、今ではやっと、それでも10万円の給与しか払えません。「そ
れ以上は入らない」と言うんです。
大地や自然に感謝する心によって祭りが生まれたように、人の和が広まってい
ったように、私達は、これからも、この地で多くの村人と手を取り、助け合い、
励ましながら公演活動を続けていきたいと思っています。
与えられた30分が少々過ぎました。なぜ時間が経つか?地球が太陽の周りを
回っているからです。地球が28200回転すると人生80年です。新しい世紀
が近づいています。大切なのは、やっぱり「心」だよ。