市民の皆さんからのご質問にお答えします

大阪豊能郡における三井造船製の焼却炉のトラブルと豊橋のその後の焼却炉問題について

Q:豊橋市が決めた国内初の次世代型焼却炉のメーカーである三井造船は大阪府能勢町の「豊能郡美化センター」や兵庫県宍粟郡の「宍粟環境美化センター」であいついで高濃度のダイオキシンが検出され住民との間で大変なトラブルになっていますが、このことについて特別委員会での論議とその後の焼却炉問題の推移を教えて下さい。


A:この3年間、「廃棄物処理調査特別委員会」のメンバーとして積極的に勉強し、調査し、論議してきました。

 市長は「現在の焼却炉は老朽化も著しく、増加するゴミ量の問題から更新は待ったなしであり、環境にやさしい、そして、より、リサイクル機能の充実した熱分解・高温燃焼溶融炉といわれる三井造船が開発した次世代型焼却炉を導入する。特にダイオキシン対策では厚生省基準の十分の一の0.01ナノグラムにし、全責任を持って安定稼動に努める」と明言し、3月議会では事業化予算(総事業費 184億円)が計上され、この予算が「可決」されました。

 この次世代型焼却炉(熱分解高温燃焼溶融炉)については稼動実績がなく国内初の試みですが、国の補助基準の認定という一定の裏づけがあり、時には自治体も「挑戦すべき」事を確認し、あとは「失敗させない仕組み作り(担保設定)」がポイントとなってきました。

  また、今春、大阪豊能郡のごみ焼却施設周辺で高濃度のダイオキシン汚染土壌が検出され問題になりました。その焼却炉が豊橋が随意契約しようとする三井造船製であることから特別委員会でも三井造船へ25項目にわたる質問項目を送り、それに対する回答をもとに、三井との勉強会も行いました。

 この件について三井側は「弊社としては報道されたような工作行為は行っていない。契約上、法律上の責任は果たしていると考えていますが、土壌汚染濃度が結果的に高かったという事実は厳粛に受け止めている。汚染の原因はともあれ、住民の皆様にご心配をおかけしましたことは誠に申し訳ない。今後とも日本のごみ処理行政のお役に立ってまいりたい」と終始した。

 厚生省の調査においても三井の焼却炉そのものよりも、むしろ、それを管理する組合の対応に問題があったことが明確になってきた。

 契約については7月末に入札を行い、
@主な機器のかし担保期間を5年間とする。
A設備が停止した場合は三井の責任においてごみを処理する。
B施設稼動期間中に万が一の災害が発生した場合には必要な対策を施して復旧を行うものとする。
 などの確認事項覚書を付して仮契約が行われています。9月議会にはこの契約案件が審議され、可決されれば本契約となり、工事着工となります。

 審議は大詰めです。将来に禍根を残さぬよう、また結果として市民の皆様にそのつけが回らないようこのプロジェクトの成功のために論議に参加していく決意です。

 **参考**

 豊橋市が導入しようとしている熱分解高温燃焼溶融炉は「環境に優しい次世代型焼却炉」といわれる。

 このシステムは15年の歳月をかけて、ドイツシーメンス社によってその技術が確立され、ドイツ・フィルト市に建設した1号機が、今秋の本格稼動を控え、試運転や改造が行われている。日本ではプラントメーカーや自治体などが参画した「廃棄物研究財団」が中心となって研究開発が始まったばかり。

 その中でも先陣を切っているのがシーメンス社と技術提携した三井造船。三井は横浜市との共同研究で、日20トン処理の実証プラントを建設。94年8月から95年12月まで運転し、96年に唯一「技術評価書」を取得し、厚生省の補助金対象設備のお墨付きを得た。商品名は「三井リサイクリング21」(以下、R21と記す)

 一方、次期焼却炉の選定を迫られている豊橋市はこの次世代型を採用することを決めた。その理由は厚生省の2つの新たな指針。それは
(1)焼却灰は今までは最終処分場で埋め立てられていたが、溶融し固化し再利用することを義務づけたこと
(2)新設炉は0.1ナノグラム以下というダイオキシン規制。

従来炉に溶融固化技術やダイオキシン対策をするよりも、それらをガス化と溶融の一体化で熱量のロスをなくし、溶融炉の高温燃焼でダイオキシン類の発生を低減、熱回収による発電効率も上げる。またスラグの有効利用で減量化率を高め、飛灰の無害化も可能にする。その上、建設コストが安価でそれはごみ処理コストに連動する。この熱分解高温燃焼炉こそ21世紀の主流になると判断して、豊橋市は、昨年2月末、市長の政治判断で決定はなされた。


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