市民の皆さんからのご質問にお答えします

焼却炉問題 今までの経過で何が問題なのか

Q:ドイツ、フィルトプラントでのガス流出事故が起きて、重大な局面を迎えた焼却炉問題。どうしてこれだけもたもたもめるのですか。何が問題で、どこに無理があるのですか。


A: 豊橋市で世界で3番目(ドイツフィルト 110トン炉*4、福岡八女西部清掃組合 100トン炉*2で建設中)日本で2番目、規模としては世界最大(200トン炉*2)の次世代型焼却炉(熱分解高温燃焼溶融炉)が様々な経過をたどりながらも、同炉の建設に動き出していた中で、技術提携先であるシーメン ス社製の同型炉がガス漏れ事故を起こしたわけで、三井造船炉がまったく同一炉ではないものの、衝撃が走った。「凍結か」「延期か」「継続審議か」「進も地獄、退くも地獄」の様相を見せ始めた。何が問題なのか、どこに無理があるのか。今までの経過の中でポイントを整理してみる。

1.急遽なされた機種選定

 それまで実績がなく、既存施設との整合性が取れないと評価していた次世代型と呼ばれる新型炉(熱分解高温燃焼溶融炉)が市長判断で選定された。(97年2月)

2.三井との単独契約しかなかったのに

 この機種を選んだことは、他のメーカーの開発が始まったばかりで、今年秋の契約時にはそのまま三井造船と随意契約する以外になかったのに、「入札は競争入札で行いたい」と7ヶ月間あいまいにして、やっと明言(97年11月)

3.実験炉のみで、稼動実績なし。

「21世紀のための画期的なごみ処理技術−三井造船の次世代型炉」といっても、実機はなく、同社が横浜・市原で実験している20トン炉のみ。これを10倍にスケールアップするという。それでもいいというのが「廃棄物研究財団」の「技術評価書」というお墨付き。これがあるから国県の補助金もすんなり。

4.トラブル続きの開発元のシーメンスプラト

 中心技術の開発元であり、三井と提携先の世界でただ一つの実機であるドイツ・フィルト市のシーメンスの120トン炉(4基2系統)がトラブル続きでフィルト市への引渡しが延び延びとなり、その上での今回の事故。

 昨年12月、この炉を安定稼動の確認と契約のための研究に市の職員を派遣すると補正予算を組んだが、動いていないのでやっぱり止めると3月議会で予算を減額。 5月に小出助役がドイツに5日間滞在していたのに「かえって混乱を招く材料提供になってしまう」(7月1日の特別委員会での答弁)と目と耳で確かめることもせず素通り。

5.与党不在、根回しなし

 豊橋市長は、一昨年9月の談合汚職事件で前市長が逮捕され、大混乱。そこへ急遽、衆議院選挙で小選挙区の1議席を争うはずだった元社会党の代議士、早川現市長が立候補、当選。「清潔で、市民に開かれた市政を!」と早川市政が始まった。当然、市議会に社会党系市議は2人。与党も野党も不明確のまま。

 重要案件に対する積極的なレクチャーも、水面下の根回しもなされぬまま

6.市会議員に化学??、物理??

 そもそも、提案された新型炉が果たしてどう判断していいのか、議員に理解しようとしても、とてもとても??。議員になるには選挙はあっても、科目試験はない。

 例えば性能保証事項

排ガス基準(O2 12%換算)
処理能力200t/日*2炉
燃焼溶融温度約1300度C
溶融炉出口温度約1100度C
溶融スラグの熱灼減量0.5%以下(600度C 3時間の熱灼減量)
ばいじん0.02g/N立方メートル以下
硫黄酸化物25 PPM以下
塩化水素40 PPM以下
窒素酸化物50 PPM以下
一酸化炭素30 PPM以下
ダイオキシン類0.01ng-TEQ/N立方メートル以下
 書いてあることの意味を理解するのに精一杯で、これでいいのか悪いのか。解らないことを審議し、採決 に臨まなければならない。

7.それでも近づく様々なタイムリミット。

(1)建替えようとする1,2号炉は18年を経過し、機能低下、老朽化の進行は止め用もなく、毎年4〜5億円の改修費がかかっていて限界にきている。その上で建替えに5年の工期が要するとなると一刻の猶予もない。

(2)平成14年12月以降も現在の炉を稼動させようとすると約70億円の費用でダイオキシン対策をしなければならない。

(3)約1年半に渡って、国・県と補助金の打ち合わせをしてきて事業費の5割近くの約81億円の補助の内示を得ているが、ここにきて事業が遅れれば、国県の信頼を失いかねない。再度の補助金獲得は無理となるだろう。

(4)現在毎日60トンの焼却灰が埋め立てられていて、その処分場もあと2年。焼却灰を新型炉で大幅に減らすことも重要課題。何よりも日平均370トンの市民のごみをきちんと処理しなければならない行政の責任も厳然とある。(当局の弁)


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