伊藤ひであきの地方からの提言

新潟巻町の住民投票(VOL13) 96.08.06

人口3万人、日本海に面し、水キラキラ、町いきいき、角田山(かくだやま) の麓には「ほたるの里」があり、美しい緑と清らかな水の町ー新潟県西蒲原郡巻 町(にしかんばらぐんまきまち)
http://www.bsnnet.co.jp/102c/ity/maki/index.htmlより)

この町で、8月4日、東北電力巻原発建設の賛否を問う全国初の住民投票が行 われた。そして、住民は「国の政策にノー」をつきつけた。町長も「主権者で ある町民の判断は絶対であり、国といえども無視することはできない。町有地 は売らない」と会見。

一方、原発推進派が多数を占める町議会は「建設同意の決議」をしたり、「早 期着工に関する意見書」を採択して国と県に提出した。町長と新潟県知事も同意 をした。これらはいずれも住民代表である議会と町長が、正規の手続きの元に行 った自治体としての意志決定だったはず。そして電源開発調整審議会は計画を承 認し、遂に1981年、国の電源開発基本計画に組み入れた。東北電力が建設計画を 正式に発表してから10年目のこと。が、土地取得の遅れなどでこの10年は中断し たままである。

そして、計画発表から20年、運命の8月4日、この町の有権者の88%が、投 票に参加し、6割が原発建設反対の意志表示をした。東北電力が予定地内の町有 地を取得するには、強制収容か町長交代以外にない。民意を無視した強制収容は 余程のことがない限り不可能だ(読売新聞)。

住民投票の是非については、5日付の各紙が「間接民主制の否定にもつながり かねない」と幾つかの角度から論じているが、地方自治は住民自治と団体自治の 2つの要素から構成されていて,住民自治とは一定の地域社会の公的事務を,そ の地域社会の住民が自らの意志に基づいて自主的に処理することを意味する(基 本法コンメンタール)ことから,この決定の意味することは重い。さらに、この 問題を地方議会から率直にとらえると、巻町の住民投票が意味することは厳しい。

住民(市民・町民・村民)の代表である議員により構成されている議会が,住 民の意志を充分反映していないことになり,今後の混乱が予想される。

「皆様の声を反映させるために,私を議会壇上におくって下さい」と選挙の度 に訴える。そして住民もおらが地域の代表として議会に送ろうと地域ぐるみ,会 社ぐるみで激しい,時には国政選挙より厳しい選挙戦が地域や親戚や同窓会や企 業・団体を細かく分裂させて、全国津々浦々で展開される。

しかし,当選すると一度も発言しないまま4年の任期を終える人は,残念なが ら我が豊橋市議会においても3分の1はいる。行政をチェックすべき議会が,当 局と一緒になって「甘い汁」を吸っているのでないかと,我が愛知県の中でも, 県議会のカラ出張問題や名古屋市議会の調査部会のあり方がオンブズマンにより 告発され,窮地に追い込まれている・・・・。

「太平のまどろみの中で惰眠をむさぼっている」小島の主どもの国政の退廃 が、「地方自治はデモクラシーの最良の学校であり、その成功の最良の保証であ る」(ジェームス・ブライス)地方政治まで蔓延し、むしばみ、今や住民と最も 身近で、最も敏感でなければならない地方政治”空洞化”の危機である。

己の非力と不明を恥じながら、再び書く!
全国の地方議員よ!立ち上がれ!党派を越えて
そして、住民の中へ 人間の中へ 大衆の中へ
 生活に汗し 体を痛め 足を棒にして 走り抜けよ!

日本の民主主義の危機を救えるのは草の根の地方議員しかない・・


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