伊藤ひであきの視察報告

●北の国から(2)● 紋別視察報告 98・07・22

 北見からJR釧路線で約1時間、遠軽駅へ。そこからさらにバスで1時間半。オホーツク海を望む人口3万人のまちーー紋別市。

 重要港湾紋別港が国際貿易港としての整備が進み、我が国唯一の氷海域であるオホーツク海の特性を生かし、流氷を学術的に研究するとともに流氷を主役とする観光開発に力を入れている。今まではやっかいものだった流氷を資源として、まち作りの核に据えて、めざすは「流氷研究国際都市」

 その象徴なのがガリヤゾーン。ガリヤというのは流氷を「見たがりや」「触わりたがりや」からきているというのも面白い。平成8年に完成した高さ46m(海中部7.5m)の氷海展望塔「オホーツクタワー」と515mの海面散歩道「クリオネプロムナード」それをつなぐ「海洋交流館」、そして流氷の中をガリガリ進むガ リンコ号。

 その一つ一つの建物を運輸省の港湾補助事業、科学技術庁のアクアマリン計画、北海道のオホーツクプログラムを巧みに(?)組み合わせ、様々な補助金を実に見事なくらい有効活用している。生き残りにかける小さな自治体の必至の知恵が伺える。

 背後には「流氷科学センター(ギザ)」やあ「健康プール(ステア)」などの流氷公園も整備されている。

 この7月20日の海の日に仮オープンした人工海水浴場は3億7千万円の事業費で市費はその半分。半分は国の港湾補助事業で行なっている。北海道の港湾の管理者は市町村であり「港湾計画の軽易な変更」が可能なのだという。ベトナムのカムラン地区から船舶輸送した硅砂の白い砂浜が印象的。この海水浴場が開かれ るのはほぼ1ヶ月間。しかしこの海水浴場の中心部は「あざらしランド」にして年中楽しめる海洋レジャーゾーンにするという。

 シベリヤ降ろしが吹き抜け、オホーツク海は急速に冷え込み、オホーツク海の約8割が流氷野となる壮大な自然のドラマ。そこに生きる人達の地域活性化への飽くなき挑戦の姿を紋別で教えられた。


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