伊藤ひであきの視察報告

●北の国から(3)● 網走視察報告 98・07・24

 人口43,000人、オホーツク海に面し比較的温暖なこの街−網走刑務所で小さな街ながら知名度は全国的。その網走市が目指すのは「活力あるオホーツクの人間都市」。

 そのための5つの戦略構想のトップにあげているのがオホーツク・アカデミア構想。網走の魅力を最大限に活用し、都会では臨むことができない恵まれた自然環境の中で、自然と親しみ、学び、身体を鍛え、総合的な「人づくりの場」をイメージしたもの。

 特筆すべきはスポーツトレーニングゾーン。網走スポーツトレーニングフィールドとして市民のスポーツ・レクレーションを始め、国内外で活躍するスポーツ選手の合宿にも応えられる「北のスポーツ強化基地」をめざして整備された。

 ふる里創生特別事業債、道振興補助金などを利用し、総事業費34億56百万円。38.7haの広大な芝生広場にはラグビー場・サッカー場・テニスコート・野球場・北海道で盛んなパークゴルフ場などが整備されている。今年、6月にオープンしたばかりのオホーツクドームは多目的屋内施設として好評である。

 年間220万人の観光客が訪れる網走の街。宿泊する人は三分の一。監獄イメージからの脱皮を求める声が強まる中で、通過型観光客をいかに宿泊に結びつけるかという課題を一歩進め、「合宿できるスポーツ基地に」という発想はおもしろい。開設以来、ソウルオリンピック直前合宿、ラグビー全日本代表候補強化合 宿、Jリーグチームの合宿など毎年14,000人前後が合宿し、汗を流している。

 公債費比率が21.5と赤信号の財政状況の中で、下水道普及率も90%を超え、「都市基盤整備を前倒しで行っている」なかでのアカデミア構想。小さなまちが豊かな大地に根を下ろして「スポーツ」をキーワードに挑戦する姿はすがすがしい。

 女満別空港から名古屋へ帰る機中で「小渕総裁、決定」のニュースを知る。相変わらずの永田町字国会村の小島の政治が続く。

 北の国のさわやかな行政努力の方がはるかにおもしろい。ひたむきな人間の心が大地に息づいているから・・・


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