伊藤ひであきの市政報告

99年6月定例市議会一般質問 「行財政改革について(1)」 99.06.09

 さる、6月9日に行った6月定例市議会一般質問で取り上げた項目のうち、「行財政改革について」 の財政・土地問題部分をお伝えします。これはホームページ用に流れに沿って構成し直しています。
第一問質問要旨

1.新たなる豊橋に向けての行財政改革への取り組みについて

(1)債務返済能力指数(使い道に制限のない収入をすべて借金返済に当てたとして、何年で債務を解消できるかを表わす指標)から本市財政をどう分析し、展望しておられますかお伺いいたします。

(2)本市、及び豊橋市土地開発公社が抱える未利用地や普通財産の土地の実態と有効利用についての認識と対応をお聞かせください。

  第一問 答弁 財務部長

(1)まず一間目の債務返済能力指数に関してのご質問でありますが、この指数につきましては、日本経済新聞社が独自に算出し、全国都市のランキングを公表したもので、地方債残高の大きさに対して、収入の強さとの兼ね合いを表した指標でありまして、この指数が高いということは、新たな元金償還の開始など、将来の償還負担が高くなる可能性があることを示しているものと思われます。

 本市の平成9年度決算における数値は、2.70でありますが、全国都市平均は2.46で、本市は670市中432番となっております。また、県庁所在都市の平均は2.93,政令指定都市は3.51と大都市になるほど数値は高くなっておりますので、同規模の類似都市からいけば、平均より上位にランクされていることになります。これまで使われております公債費比率につきましては、その年度におきます公債費負担の重さを表しており、本市の数値をみてみますと、12.5%であり15%の危険ラインを下回り、健全であると認識しておりますが、債務返済能力指数を含め、多方面から財政状況を捉えながら、計画的な財政運営に心掛け、歳入確保に積極的に取り組むとともに、地方債の借入れについても、将来の財政見通しを十分踏まえた計画的な借入れに努めていかなくてはならないと考えております。

(2)普通財産と公社所有地の実態と有効利用の件でございますが、普通財の土地につきましては、平成10年度末で約80万6千uを所有しています。その実態といたしましては、貸付や行政財産的な使用、また、リサーチパークとして売却を進めている土地などが約28万u、山林が約45万1千u、その他の代替用地等として利用可能な土地が4万5千u、更に狭小地など利用が困難難の土地が約3万uとなっております。

 従いまして、未利用地につきましては、狭小地など利用が困難な土地を除き、将来的に利用をしていく土地としての位置付けをしていますが、財政状況の厳しいおりから、今後はこれらの土地有効利用について、売却や貸付を含めて精査していく考えでございます。

 次に、土地開発企社にかかる所有地の状況は、平成10年度末で495,847uを所有しています。

この内容といたしましては、市が先行取得依頼により取得したものが9ケ所35,178u、代替地として取得したものが7ケ所14,020u、これ以外に市民病院跡地が14,940u、更に、国及び市の分割引取りが決定しているものが251,817u、それに公社独自の住宅開発事業用地が179,892uというものでございます。

公社の土地につきましては、早期引取りが前提でございますが、先行用地取得依頼したもの、更には代替地で取得したもので一部利用されていない、いはゆる未利用地でございますが全体で9ヶ所・21,157uでございます。この用地の利用につきましては、取得時の状況が大きく変化している今日、目的どおり使用するもの、他に転用できるもの、どうしても使用できないものなどを整理し売却処分も視野に入れて、検討をしているところでございます。

第二問 質問

(1)今、自治省では2000年度を目処に、地方自治体の財政健全化を図るため新たなる指標を策定しようとしている動きがあります。これは取りも直さず、自治体の財政が急速に悪化しているにもかかわらず、歳出削減などのリストラ努力が不十分と判断したためとも言われています。その中で、昨年秋、日経が試みたこの債務返済能力指数は、答弁にあったように債務残高の大きさと収入力の強さとの兼ね合いで評価する手法で、従来の公債費比率や経常収支比率とはまた違った次元での財政指数と考える。

 分子は地方債残高から基金残高と累積財政負担額を引いたもの。分母は歳出総額から経常経費充当の一般財源と特定自主財源さらには国県支出金、地方債を引いたものという計算から豊橋の場合は2,70という数字で全国670市の平均が2.46で432番目である。大都市の多くは下位に低迷していると言う結果。この指数がトップだった東京・武蔵村山市は△0.35.同市は税収の水準はトップクラスではないにしても借金が少ない。「あまり事業をやってこなかった」と言うことの裏返しにもなりますから都市経営と言う面からはどうなのかという事にもなりますが、豊橋の2.70をどうみるかという事です。

 それで、豊橋の財政を取り巻く環境は当然ながら右肩下がりの経済の流れの中で厳しいものがあるのではないか、財政非常事態宣言の県の動向もある、恒久減税がもたらす税収不足も顕著になる、制度が変わってくるわけで、返していけると思って借りたもの=前年度末で1055億円の借金が、本当に豊橋は、産業にさしたる特徴もなく、企業集積度も低く、新産業創出といってもまだ緒についたばかりの我が豊橋が返していける見込みがあるのか、返しながら、行政を停滞させずに、地域活性化にどう向かうのか、がポイントだと思います。

(2)この問題は3月議会で我が公明党の引退された小野田議員が、また清志会の清水議員がまた過日は朝日新聞がこの事について報道しておりますので、これらとは少し視点を変えて絞った形で具体的に質問させていただきます。

 総じて、現在、豊橋市が100%出資して「公拡法」(公有地の拡大の推進に関する法律)に基づき土地開発公社が豊橋市の依頼に応じて土地の先行取得をしている土地が495,847u、総額で28,878百万円ある。
 その内、市が議会の承認を経て分割引き取り、及び引き取り済みの土地は23号バイパス、総合スポーツ公園とそのアクセス道路、現市民病院用地の合計は251,816u、12.582百万円ある。それ以外にも豊橋・豊橋東バイパスの用地などがあり、また代替え地として確保している土地もあり、問題は残りますが開発機構に委託販売させる杉山住宅開発事業用地もある。これらはそれでまた都市経営の立場からも一定、理解できる。  そうすると5年間手付かずの5件の教育施設用地の27000u、36億5700万円が問題になります。支払利息と経費で3500万円が毎年消えていっています。

 それと松葉商業用地即ち旧市民病院跡地の14,940u(4519坪)、6,837百万円の土地が一番問題という事になります。坪単価に直せば151万円です。右肩下がりの経済動向の中で年々地価がダウンしている事はご承知の通り、公示価格では市民病院跡地に近い大橋通2丁目133の土地はH10年からH11年にかけて実に28%ダウンしています。平成7年の公示価格が135万円、H8年=115万円、H9年=100万円、H10年=93万円、H11=67万円と4年前の半分です。近隣の最近の、この5月の取り引き事例からみればカリオンビルの横の売買価格は坪108万円という事です。そのまま当てはめても坪当たりざっと42万円の逆鞘です。4519坪に換算すれば18億9000万円の逆鞘です。

 それで市は企画部で、今年からは都心計画推進事業として跡地活用検討をしている。
 そこでまとめて質問です。

@土地開発公社が持っている土地の中で、特に教育施設用地として目的を持って先行取得したのに引き取られる事もなく5年以上が経過し、そのままになって金利が膨らんでいる土地は26,930u、3,657百万円あります。これらは目的を変更するならする、目的に添ってやるならやる。いずれにしても市が引き取らなければ本市財政を圧迫する大きな要因になると考えますが、どうか

A市民病院跡地の実態からみても、 この市民病院跡地を民間に売却するにしても、  公共施設に使うために市が引き取るにしても極めて大きな財政上の問題を含んでいると考えますが市長の認識をお聞かせください。

Bその上で、土地開発公社の金利負担だけでも年間6339万円負担しているわけで3年かけて検討するという事は、それだけでも1億9000万円です。その厳しい実態を鑑みる時、年度末に出された「市民病院跡地活用調査中間報告」は3月議会最終日の討論でも申し上げましたが、従来の考え方、論議の枠を出ていません。とても年間6300万円の授業料(金利)と1040万円の調査検討費をかけたものとは思えません。否、土地利用の可能性についてはなかなか公表できない事もあるのかもしれませんが、当局は一体、どのような覚悟で取り組んで、どこまでの調査検討が進んでいるのか、民間活力導入の可能性はあるのか、公的施設導入の可能性はあるのかお伺いいたします。

C以上の観点からみても本市財政は大丈夫と本当に言い切れるのかどうかという事です。

そこで豊橋市が抱える資産・負債を明確にする貸借対照表(バランスシート)を作成し、市民共有の情報として公開すべきと考えますが、どうでしょうか。年度ごとに帳尻を合わせる予算では財政状況がハッキリしない。それを企業会計に習って、どれだけの資産があり、借金があるかを明確にして次の戦略を打ち立てていく。こういう具体的な経営感覚で市民本位の行政を確立していく事が肝要と考えますが、ご所見を伺いたい。すでに三重県は公表している。東京の石原知事も作成と公表を公約している。武蔵野市なども導入の本格検討を開始している。市長の考え方を聞きたい。

  第二問 答弁趣旨 財務部長 企画部次長

@A(財務部長)公社所有の中で特に指摘がありました教育施設用地に限らず、公有地の取得は基本計画に計上されている事業、今後、計画的に進めていくべき事業の用地として、先行的に取得してきた経過があり、一定の期間が過ぎている土地がある事も事実。その上、金利負担の問題につきましては低金利の資金調達に努めているが、長期に保有すれば金利負担が膨らみ引き取りの土地価格に跳ね返ってくる事になり、本市財政への影響は免れない。今後、基本計画・基本構想の検討の中で、目的通りに使用するのか、社会情勢の変化の中で目的の変更にすべきか検討し、出来うる限り早い時期に引き取れるように意を尽くしていきたい。

B(企画部次長)市民病院跡地につきましては、公社において、商業用地として保有しておりますが、今日のように地価の下落や企業進出意欲が減退している中で、跡地を巡る環境が大きく変化しているのが現状であり、ご指摘の金利負担等の問題は財政上の大きな課題であると認識いたしております。

活用策の検討につきましては、現在企画部を中心に調整検討中でございますが、昨年度行いました調査に つきましては、都市計画的な視点や中心市街地活性化からの観点、民間需要などの問題を踏まえ幅広い調査を行ったところであります。その中で、一定の例示の検討も行いましたが一人歩きする危惧もありましたので中間報告でお示しした形になっています。

また一方、財務処理につきましても、ある程度の方向付けを念頭に置いて勉強してきたところでございます。今年度は、昨年度の調査内容を基本に、市民の多くのご意見を聞く中で、予定されておりますスケジュールで進めてまいります。

C(財務部長)貸借対照表の作成については、財政状況の透明度を高めるために、先行する自治体で実施している。行政改革の一環として、コスト意識を高める、財政健全化の方策として取り組んでいる。しかし、その手法については確立されたものがなく、独自の手法で行っているために課題はあるが。自治省においても研究が進んであり、検討が進めている。財政の健全度を包括的に数値化する手法が開発されていく中で、市長からの指示もありますので、導入に向け真剣に取り組んでいく。

3回目質問

 今回、土地開発公社に豊橋東口駅南地区6721uを取得した経過もある、これからの都市経営、財政改革、行政改革はこうした土地問題にどう取り組むかであるといってもいいすぎではないと考えます。

 市民病院跡地がどうする、桜が丘分院跡地はどうする、総合スポーツ公園構想はどうなる、国立病院統合問題も二つの現国立病院の土地をどうするか、次の墓地用地をどうするかなど課題は引きずったままです。

景気対策も含め即断即決で政治力で手を打たなければ効果が出ない事業も多く、中心市街地が空洞化してからでは遅すぎる問題でもありますし、時勢の変化で計画そのものが無意味になってしまう可能性があります。これらの緊急課題は早川市政1期の正念場の課題であり、「21世紀ビジョン」もこれら緊急課題をどのように展開するかにかかってきます。市長のこの土地問題に取り組む考え方を伺いたい。

答弁(市長)

 土地の問題ですが、確かにたくさん抱えており、振り分けが大事と思っている。その精査を通じて有効に対応していく。しかしまた、現在の形態は市民の財産であるという認識が大事。


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