第二問 質問
「原因等について正式な発表がされていない」といいながら「本市の焼却炉
導入に直接影響を及ぼすのでない」という。ところが「情報収集に努力し、導
入予定プラントに把握した情報を生かして、万全を期したい」という。「安心
だ」「やはり心配だ」とベクトルが右に左に動いているご苦労がにじみ出てい
るお答えをいただきました。
(2)フィルトのシーメンス炉と豊橋の三井炉とはどのように違うのか改めて
聞きました。
8月12日のガス漏れ以来、盛んに違いを説明して、別物、別物という。
・ならば、今年2月の特別委員会でフィルトプラントの試運転総合評価を調査研究し、豊 橋が導入する事の拠り所とした事の意義が、
・その経過で3月議会で事業化予算を審議し、議決した経過や、
・ また昨年12月議会での「安全稼動の確認と担保の設定のために職員派遣補正予算を上程した」事実や、
・ もっといえば昨年秋の豊橋市議会海外視察団が日程をとってフィルトプラントへ出向き、様々な質問を特別委員会もお願いし、まとめていただいた意義も、微妙に違ってきませんか。これはこの1年半の議会と行政の信頼関係への重大な問題になりませんか。
事実、今年1月30日、特別委員会で市原へお邪魔した時に三井の原田技術部長に私は聞いた。
「今までの話の中で注意しなければならないのは、シーメンス方式と三井方式があって、三井は1991年にシーメンスと技術提携し、一定のスケールアップを図りながら新たな開発を加え、技術的には完成の域に達したというように理解していいか」と聞いた。
「横浜で実際にプラントを動かし、その中から出てきたいろんなアイデアを特許申請している。特許の中身をかいつまんでいうと炉とドラムに関する所はほとんどなく、大半は周辺機器だ。特に分別設備に関する所が大多数を占めている」と答えた。
また「シーメンスが最初に経験したプラントは70トンであり、このプラントから120トンのフィルト炉を作り上げた。今日、彼らは設計標準を330トンまで引き上げ、スケールアップを図っている。我々のほうはその設計思想をそのまま受け継いでおり、フィルトの120トンを下に200トンにした」
あるいは「シーメンスのプロセスを三井が使うという提携で、それに三井独自の200ヶ所の改良をし、特許申請している。それをシーメンスも使えるという関係、すなわち相互乗り入れの関係」とも答えている。
この認識があるから、私は職員派遣の中止にはこだわったし、5月に小出助役がドイツに5日間滞在するなら「フィルトプラントへ寄ってくるべきだ」とこだわった。事故が起きて直ちにドイツへ向かう事には文句なく賛成した。
発表された事故は回転ドラムの残さ室で起きたという。そして、その構造は全く違うから、三井炉は安全だという。比較表の19項目のうちドラムと炉に関する部分はほとんどないどころか約3分の一の6ヶ所もある。何がなんだか解らない。
もう一つ、答弁にあったが、ドイツフィルトのシステムでは熱分解ドラムが1系列に2基となっていますが、三井炉は1系列に1基となっている。だから三井炉は安全だという。 しかし、ドイツで市議会海外視察団が「なぜ分割したのか」と聞いた時、シーメンス側はこう答えている。「240トンの回転キルンを120トンづつ2基にわけ、2系統の計480トンにしたのはスケールアップに対するリスクを小さくするために分割したんだ」と回答している。
頭は粉々に分解してガス化しそうです。騙した誰かが悪いのか、信じた私が悪いのか
(3)ガス化溶融処理技術そのものの完成度についての認識をお聞きした。
完成度を証明するために、廃棄物研究財団、指針外施設の認定そして補助の決定という公的機関を使う。
フィルト事故の原因究明にはドイツの公的機関(環境局、検察庁、鑑定人)の発表を待たない。それほど完成度が高いどころか、「完成されたもの」と断言しながら、次々と特別担保を設定する。今また追加しようとする。まったく解りません。
(4)「立ち止まる勇気」については
私は「焼却炉更新事業を先延ばしせよ」といっているのではない、「ドイツの公的機関が調査をしている、外務省も外交ルートで事実関係を確認中である。ここまでは正確な情報。だからドイツの許可局、鑑定人、検察庁による総括情報が確認できるまで待てないのかといっている。助役が訪問したミッテルフランケン行政府は言っている。「現時点では具体的調査結果が出ないと意見は言えない」と、事が起こった時に、「司法の調査が入っており、コメントはできない」これが事が起った時の常識ではないか。
昨日、夕方5時、再び厚生省環境整備課の高橋康夫課長補佐との面談結果を荒木議員が伝えてくれた。3月議会の小田幹事長の討論で申し上げましたが公明は党本部の中に「ダイオキシン対策本部」を設置し、その中心的役割を荒木議員が担っていますので、既に人間関係はできているようです。
調査してもらった事は「厚生省は外交ルートで事実関係を確認中である」ということですが、以降の情報はありませんか。また環境局、検察庁、鑑定人により、なされる調査報告はいつ頃、発表される予定かぜひとも情報がありましたら、つかんでください
返ってきた情報は「厚生省としては、外交ルートの手続は終わっており、ドイツからの回答を待つばかりである。事故の様態等からして、原因究明にそれほど時間を要するとは思えない(例えば越年するなど)」(同課長補佐)。なお、ドイツでの調査は、州政府のレベルで行っているようです。
また、このような文章もありました。
厚生省は、現地調査をした豊橋市およびメーカーからの報告を聞いた現段階において、「問題がある」つまり構造的欠陥に由来する問題だとの認識は有していないようです。(もちろん公式には表明しませんが。)
以上をまとめて素朴な基本的な質問をさせていただきます。
(1) 市長はドイツフィルトプラントを見られた事がありますか。三井の実証プラントを横浜でも、市原でもいい、見られた事がありますか。筑後市の建設現場にたたれた事がありますか。あるならその感想をお聞かせください。
(2)事故報告ではワイヤの固まりが残さ室に発見されたという。全長13.5m。太さ20cmから50cmという。これはどういうワイヤですか。こんな太くて、長いワイヤがくねくねと約1時間も蒸し焼きになって、その上、残さ室までは入り込む。まるで大蛇のようなワイヤという事ですか。これは単位のまちがいではないですか、教えてください。大体、そんなワイヤをなぜ燃やさなければならないのですか。
(3) 三井の焼却炉については公的機関の評価書や指針外認定で完璧という。シーメンス炉の事故原因は内輪で推測し、断定してしまう。なぜ、ドイツの公的機関の調査結果を尊重しないんですか。
・検察庁と鑑定人によるコンポーネントのオープンと鑑定
・ 許可局を通じての将来の故障防止のための条件を出す
・ 社外の鑑定人を含めた下での条件を出す
これらの結果が公表されて、現在、勝手に断定されている事故原因がその通りとなれば、ことこの事故については忌憚なく取り組めるではありませんか。
荒木情報に寄れば、「年を越す事はないという見込み」。早ければ早いほうが良い。よしんばその事で補助金がおかしくなっても、責められるのは国の硬直した補助金の仕組みではありませんか。
そこで質問は
a.なぜ公的機関の調査を尊重しないのか
b.再度聞きます。それまで待つ勇気はないんですか。
(4)昨年、11月と12月の2回ガス漏れ事故があったという事が今回明らかになった。その直後に、正確に情報が伝わっておれば、この1年間の議論や当局の対応はかなり違っていたものになったと考えます。盆前からこんなにガタガタする事はなかったかも知れません。職員を常駐させている三井も知らなかったという。すると、もう地球の裏側のドイツの国民性・企業風土の違いとなれば、何にもつかむ事はできない。
こういう状態で180億円からのプロジェクトを判断できると考えられますか。
(5)その上で、シーメンスが15年、日本でも石油ショックの時(1970年代)に廃棄物から熱分解ガスを獲得する目的で研究された事がある。開発にかけているコストと時間は膨大な物になる。そしてやっと実機ができて、試運転が開始されたが、昨年末の2回のガス漏れ事故、度々の中断。やはり、この次世代型という熱分解高温燃焼溶融炉は原理は確立されても、実機として具体化させようとすると無理があるのではないのですか。特に回転キルンでやろうとするとどうしても、ごみを入れる入り口とガスを出す出口を作らなければならない。すなわち密閉できない。なかなか難しいシステムではないのか。