伊藤ひであきの市政報告

98年3月定例市議会 「行財政改革について」98.03.09

 さる、3月9日に行った3月定例市議会代表質問で取り上げた項目のうち、「行財政改革」の項目について、その質問と答弁の経過をお伝えします。
第一問質問要旨

景気後退が続き、税収の伸びが期待できない中で、介護保険、中核市移行などで 財政需要が増大する見通しもあり、今後の財政運営の考え方について伺いたい。 特に義務的経費が増大し、投資的経費が落ち込む新年度予算の中で繰り上げ償 還に踏み切った考え方と今後の地域経済の振興策とのバランスについて

<<**解説**>>
 豊橋市の来年度=平成10年度予算は総額100,920百万円で昨年度より2,130百万 円増え、1000億円の大台に戻ったが、義務的経費が昨年度の48.3%(構成比)か ら50.7%と金額で3,469百万円、増減率で7.3%増えた。これとは逆に投資的経費は 20,886百万円から18,099百万円となり、構成比は21.2%から18.0%と減り、金額で 2,787百万、増減率で7.3%減った。その結果、21年ぶりに民生費が款別では構成 比でトップとなり、土木費を抜いた。そしてまた、昭和54年から57年時の7.1〜 7.5%の高率の市債を12億円、繰上げ償還し、後年度支払う利息1.8億円を節減で きたとする。総じて「新時代に向かって躍進する市民福祉型予算」と市長は言う。

第一問 答弁 市長

 不透明な景気動向など厳しい財政環境のもと、変化する社会経済情勢に柔 軟に対応し、活力に溢れた豊かな都市づくりを進めるためには、将来にわた って安定的な財政運営を進めることが必要だと認識しております。

そのためには、市税の安定的な確保はもとより、行政改革を着実に実施し 効率的な行政執行に努めるなど、時代の要請に的確に対応できる財政体質の 確立に努めるとともに市民要望に沿った適切な事業適訳に努めていく。

また、本市財政は、現時点では、数値的には良好であると認識しておりま すが、21世紀を目前にして、着実に発展を続けるためには、今まで以上に安 定的で弾力的な財政運営を進めることが必要だと考えている。

 続きまして、新年度において地方債の繰り上げ償還を行おうとしておりま すが、中核市への移行、介養保険実施などに伴う財政需要の増大などが予測 されるなか、少しでも財政面での体力を維持し、新たな事業展開へ向けての 体制づくりとしたいものでございます。

 また、投資的経費は、豊橋駅総合開発事業など大型事業が一段落したこと や施行中の土地区画整理事業が終局を迎えたことなどが重なり、前年度と比 較して減となってはおりますが、地域経済の活性化へ向け、一般土木事業な ど市民生活に密着したキメ細かな企共事業へ重点的に予算配分するほか、融 資枠の拡充等の金融施策の充実などに努めたところであり、今後とも健全財 政を堅持しながら様々な方策により地域振興に努めていきたいと考えており ます。

 

第二問の1 質問趣旨

 財政面の体力を維持するために今回、繰上げ償還に踏み切った意味は理解させ て頂きますが、一方で果たして12億円の繰上げ償還しなければならないほど、 投資的経費を落ち込ませてまでそうしなければならなかったのかという見方もあ るわけで、それほど豊橋の財政は危機的状況にあったのかという側面もあります。

 国の公共事業削減の動きと本市の大型事業の区切りとが重なっているという側 面もありますが、今後、景気後退が続き、税収が厳しい中で地域経済をどう活性 化させ、結果として税収をどう増やしていくかという課題が課せられているわけ で、土木費が大きく落ち込んだが、産業集積の低い豊橋において、公共事業の市 民経済に果たす役割は大きい。また下請から孫請、ひ孫請、関連の業種まで含め れば、関係する市民は市民の半分近くになると認識していますが、豊橋の公共投 資は国、県も含めてどうなっているのか、伺っておきたい。

第二問の1 答弁 (市長)
国県の直轄事業を含めた公共事業につきましては、財政構造改革の推進に 伴い、厳しい状況にありますが、補助金の獲得を始めとしてその確保には、 全力を傾けてまいりたいと考えております。そして、本市として出来る内容 につきましても、可能な限り対応することとし、企共事業の確保に努めてま いります。一間目でも答えましたとおり、大型事業が一段落したことなどに より、トータルの投資的事業については、減となりますが、市民生活に直結 する一般土木夢業など、きめ細かな投資的事業につきまして、国県補助事業 の確保を姶めとしまして、単独事業におきましても重点的な配分を行うなど、 出き得る限りの対応を図ったところでございます。
そうすることにより、市民福祉の向上と合わせまして、地域経済の活性化 にも寄与してまいりたいとするものであります。

 

第二問の2 質問趣旨

 さらに伺いたいのは、昨年は財政調整基金に手をつけない、今年はそれに手を つけ、繰上げ償還をする。やはりこうしたことはきちんとした財政計画と共に示 されるべきで、私どもの手元にある平成6年末の「一般会計中期財政見通し」と は大きく狂ってきていて、み直すべきだ。よって今までの財政計画を総括し、中 期財政計画を作り、市民に示すべきだと考えるがどうか


第二問の2 答弁 (市長)

 現財政計画は、後期基本計画の見直しにあわせ、平成6年12月に策定した。 この間、大型減税の継続的な実施や長期間にわたる景気の低迷、さらに国、 地方を通じた財政構造改革の推進など社会経済情勢はめまぐるしく変化して きております。こうした状況変化の影響を受け、収入面において、計画と実 績のはく離が生じてきており、予定しておりましたもののうち、今だ未着手 の事業があるのも確かでございます。そこで、新年度においては、新たに制 度化された地方消費税交付金が平年度化されますことなどとあわせ、現基本 計画の総括、次期基本構想・基本計画の策定準備作業に着手することとして おりますことから、これらとの整合牲を十分保つなかで財政計画の見直し作 業も行ってまいりたいと考えております。


 

第二問の3 質問趣旨

 民生、福祉と言う名の扶助費の構成比が増大し、結果として「福祉」「教育」 「環境」が強調されているとするのなら、見方を変えれば投資的経費が低下し、 義務的経費が増大した硬直した予算ともとれます。結局、財政状況のますます厳 しい中で、増大する行政需要に的確に対応し、都市基盤を整備し、情報化、高度 化の地域振興を図り、新しい企業を創出していく、企業誘致もしていく、そして 市税収入を増やしていく以外にないわけでに、そのために義務的経費を押さえ、 投資的経費をいかに増やしていくか、ここに都市経営のポイントであることは言 うまでもない事です。さすれば、義務的経費、特に人件費をいかに押え込んでい くかの問題です。中途半端なリストラでは乗り切れない

 市長の答弁に「行政改革を着実に実施し効率的な行政執行に努めるなど、時代 の養成に的確に努める」とありました。本市は平成12年度を目指し、行政改革を 断行中でその効果として人的効果140人、経費的効果として37億円を試算され発 表されているのは大いに期待するところ

 また、地方行革の文献の中に時折、我が豊橋の民間活力導入の具体例が紹介さ れていたりして、その先進的な取り組みには一定評価するものです。また今年か ら人事管理制度の研究に入るということですが、その上に立って、民間委託もし くは嘱託で賄えるようなものを拾い出し、本市が行っている事業とコストの比較 を行いました。勿論コストがダウンできるからといって仕事の性格、サービスの 質などを考えて民間委託や嘱託になじまないものもあると思います。しかし、官 民の役割を分担し、役所のスリム化を図っていくというのが義務的経費を押さえ ていく最大のポイントです。参考になるかと思って発表させて頂きます。

環境事業部ごみ処理、資源化センター、埋立て処理など248人
土木部道路、河川、公園などの維持、修繕など 67人
市民病院病棟助手、病院給食調理、中央材料など 89人
水道局水道施設維持修繕など34人
下水道局ポンプ場維持管理、下水道施設修繕ほか 43人
学校教育部学校用務員、学校給食ほか189人
計 670人

 上記の全員を職員から嘱託化・委託化した場合の単純計算
   前提 市職員1人当たりの人件費(給与、共済費など) 900万円
      委託化、嘱託化の人件費を市職員人件費の6割程度とする
   900万円*670人=60億3000万円*▲40%=約24億円

 極めて単純な、乱暴な試算かもしれませんが、今後はこのようなコストを積極 的に公開して頂き、税金を効率よく使うという観点から、どういう方式がよいか を納税者である市民によく考えて頂く必要もあります。

 私が調べただけでも年間約24億円が義務的経費から浮いてくるわけで、この お金を投資的経費に回せば、新たな財政需要に向ければ、大きく活性化に寄与で きるわけで、10年経ったら240億円という膨大な金額が生み出される事にな ります。よしんば、その8割を行ったとしても、年間20億円、10年で200 億円と言う数字です。コストが安いと言っても、サービスが低下したら意味があ りませんし、民間委託や嘱託になじまないものもあると言う事は十分理解してい るつもりですし、だからといって直ちに民間に任せろという事ではありません。 現在いる職員の処遇は十分配慮しつつ、退職者の補充は極力控えながら、徐々に 民間に任せていくべきであります。そうした長期計画を創るべきであります。こ れが市民からいただいた税金を2倍、3倍にも有効に使う、すなわち納税者、市 民の側に立った行政と思います。

 そこで市長にお伺いいたしたい。行政改革推進本部長としてこの試算にどのよ うな感想を持たれるか、また行政改革大綱ができて1年、財政環境は更に悪くな ってきているわけで、もう一歩突っ込んだ官民の役割分担、嘱託化、委託化をな される考えはないかお尋ねしておきたい。

第二問の3の答弁 市長

 行政改革本部長としての感想ということでありますが、伊藤議員の試算は、 本市の現業職場の主だったものを拾い、それを全て委託化した場合の単純な 試算ということだと思いますが、先ほど伊藤議員も触れられたように、本市 は従来から委託化については大変先進的な取り組みを行ってきております.  例えば市内に70館あります地区・校区市民館の地元への委託を姑め、体育 施設、学校給食、公共駐車場、また保育園での児童の措置など、外郭団体や 公益法人を有効に活用して、効率的な行政運営に積極的に取り組んでいるこ ろでごぎいます.

 今回の行政改革におきましても、事務事業を全般的に見直し、委託化・  嘱託化が適当な分野については積極的に堆進を図ることとしているところで ございますし、現在行政改革の見直しを進めておりますが、その中でも、新 たな委託化・嘱託化にも取り組んでいるところでございます。 委託化の堆進にあたっては、行政責任の確保と秘密保持、また市民サービ スの維持向上も図られるものでなければならない。
 そうした観点から常に事務事業を見直し、効率的な行政運営を図るととも に、委託化が適当なものについては積極的にその堆進を因って参りたい。

 

第二問の4 質問趣旨

 また、本庁の事務職においても同様な事がいえます。思い切ったリストラをす る。その分業務効率を上げるには、徹底してOA化して、組織をフラットにすべ きと考えます。「今だにたくさんの人が判を押し、書類の山に囲まれて、ワープ ロで仕事をしているのは役所ぐらいだ」と痛感します。庁舎の中には財務会計系 と住民基本台帳関係あわせてパソコンが約200台、OAパソコンが250台、 市民病院の病院システム、水道局、図書館などに330台など780台が動いて いる事になり、ほぼ職員5人に1台とパソコンが普及しています。

 しかし、これだけの職員規模の民間事業所と比較すればまだまだです。また、 福祉業務支援支援システムの開発中でもあり、一定の成果を収めている事は評価 させて頂いた上で、お尋ねしますが、OA化の一層の推進によってより効率的な 戦略的なネットワークシステムで市民サービスに効果を発揮するのとあわせ、職 員の意識改革をしたらどうかと考えますがお答え下さい。

  第二問の4 答弁 市長

本市は昭和61年から住民情報システムや財務会計システムの構築に取り組 んで、能率的、効率的な業務改革に取り組んでまいり、一定の成果を収めて きた。今後とも、新しいシステムの開発に取り組み、庁内LANの構築などを 通じ、業務改革に取り組み、職員の意識改革にも取り組んでいきたい。


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