伊藤ひであきの視察報告

●派遣団(3)暖かいトリード市の人々●99.09.30

●9月30日
<<デーナ社>>
 雨も上がり、すっきりとした秋空が広がる。見渡せば晩秋の気配。

 午前中はトリード市を代表するもう一つの企業DANA社を訪問。ロブ・ボルク小型車車両部部長と4年間、豊田市にいてトヨタ自動車に勤務していたこともあるマーク・ブランセル氏が丁寧に迎えてくれた。
 デーナ社は全世界32ヶ国に9000人、ドライブシャフト、エンジン部品、などの部品メーカーとしては世界第三位、売上高135億ドルという途方もない会社である。100年の歴史を重ね、独自の商品開発と数々の受賞に輝く品質管理により揺るぎ無い経営基盤を確立している。

 日本ではデーナジャパンとして展開中で、豊橋のリサーチパークの一角に研究センターの用地も取得し、2001年1月に稼動させる予定。部品の強度、耐久性、ねじれ、がたつきなどを様々なテストを繰り返し、世界自動車市場に挑戦している。最近では鉄とアルミの合体・溶接に成功し商品開発の目処が立ったという。何でもロシアの解体により得た技術者がそのノウハウで世界で始めて可能にしたという。

 工場から、再び車で30分、案内されたDANA本社がまたすごい。敷地面積が200エーカー(1エーカーは1200坪)の広大な緑の芝生に囲まれた、ホテルを思わせるような建物である。1970年に完成した本社の中にデーナ社の中枢機能をもち、本社社員は160人。ロビー、応接室、会議室、食堂などすべてがアットホームな雰囲気でハイグレードそのもの。ヘリポート、テレビ会議、情報システム、企業内大学、研修カリキュラムも兼ね備えたハイテクオフイスでもある。

 世界に誇るダイムラー・クライス社とデーナ社、この二つをかかえるトリード市が豊橋と同規模とはとても思えない。

<<トリード動物園と都市公園>>
 午後からは、市内のトリード動物園を訪問。広大な敷地に600種類、4000以上の動物。225人の職員、内半数以上はボランティアで運営されている民間の動物園で、年間入場者は85万人。熱心に説明してくれる職員に案内され歩き回った。

 また、トリード市にを始めルーカス郡には9ヶ所の都市公園(90ha〜1500ha)があり、その内の一つメトロパークを訪問。自然区域そのままに遊歩道や自転車道が用意されジョッキングに励んでいた。中心にある管理施設は昔の洋館を市が買い取ったもので、コンサートなどが自由に行えるようになっている。

<<お別れカクテルパーティ>>
 4日間のトリード滞在を締めくくる意味で港湾局のロビーで楽しく開かれた。マウミー川とそれにかかる大きな橋が窓越しに見渡せる絶好のロケーションである。「豊橋とトリードの共通の環境の橋と川の見渡せる場所を選んだ」という真心が嬉しい。
 今回の派遣団受け入れに奔走してくれたジョン・ヘンリー国際姉妹都市協会専務理事を始め、現地の通訳も交え、多くの人たちが豊橋との末長い交流を願いながらのほのぼのとしたパーティで寿司や日本酒も用意された。エスコバル市会議員も同席し、座をにぎわしてくれた。
 エスコバル議員によれば市議会議員12人の半数の6人は市内6ブロックから、残り6人は全域から予備選挙を経て選出されるという。報酬は年間約200万円で、市議としての責務をまっとうするために自立した生活ができるように待遇改善を働きかけているという。

 多様な顔を見せるオハイオ州の中都市ートリード。豊橋との共通点も多く、姉妹都市提携には最適な都市であり、その気運はあまりにも高まっている。

 水鳥団長の万歳三唱がホールに響き渡り、暖かいトリードの人々との別れを惜しんだ。


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