伊藤ひであきの視察報告

●派遣団(2)トリード市の産業・教育・文化●99.09.29

●9月29日
<<ジープ工場>>
 トリード市はあいにくの雨。それでも予定されている行事をハードにこなす一日。
 午前中はダイムラー・クライス社のトリード工場を見学。毎日1200台のジープを作り、世界110ヶ国に輸出しているクライスラー社の中でもその6割、770台の生産を誇っているトリード工場。1900年に作られた全米でも最も古い工場でもある。おおよそ年代ものを感じさせる建物設備の中でも、生産ラインはかなり入り組んで入るがさまざまな工夫が凝らしてあって、ラインに携わる約5000人の従業員が各パートをスムーズにこなしていく。ロボットはほとんど採用されておらず、右ハンドル・左ハンドル、四輪駆動・二輪駆動、各排気量をコンピュータによる仕分けで、ユーザーのカスタマーや各国の使用にあわせ生産ラインが流れていく。さまざまな品質チェックもなされ、いくつかのチェックポイントを通過しながらジープが完成されていく。

 日本の工場と違って、ヘルメットをつけているわけでもなく、服装も様々であり、半数以上が女性でもある。従業員の年収は約500万円くらいで、様々な契約で雇用は成り立っている。
 業界はプラットホームの統合化が進み、各社のボディなどは共通化が進んでいて、その事がベンツ社との提携も可能にしている。
 豊橋のベンツ社の陸揚げセンターに2000年型の新しいモデルも発送したとのこと。トリード市郊外には新型工場も建設中で、世界のジープの生産メーカーの威容を誇っている。

<<バンディル中学校>>
 午後からは、市内のバンディル中学校を訪問。生徒数674人の広い敷地の平屋の学校である。女性校長が笑顔で迎えてくれ、元気な中学生たちの数学、体育、社会などの授業も見学した。
 どの教室でも笑顔で迎えてくれた。アメリカでは日本のように国が教育の一貫した制度を作っているのでなく、地域の税収(住民の資産価格の51/1000が教育費)に応じて教育レベルがちがうということ。この学校では規律を重んじ、親の参加や登校率のアップを目標にしていて、登校拒否は共通の課題であるようだ。クラスは22人編成を基本として、日本の「40人学級」には大変な驚きであった。

 放課後、図書館というより図書スペースで全教職員が集まって我々派遣団との熱心な懇談が続いた。来月の豊橋の中学生を迎え入れる計画も進んでいて、「我々の仕組みの中で日本の中学生がどのような反応を示すか、大変心待ちにしている。いろんな企画を用意しています」と女性校長。

<<トリード美術館>>
 ガラス工場をトリードに建設したリベイ夫婦により1901年に建設された美術館。全米で40位くらいのトリード市が誇る全米でも10指に入る美術館である。特に古代エジプトのミイラや石碑、美術作品、世界中から集められた貴重なガラス作品、ギリシャの花瓶、エル・グレコ、ルーベンス、ゴッホ、モネ、ピカソ、ミロなどとてつもない収蔵品である。ガラスコレクションだけでも5000点。創立者の意向を得て、トリード市民や1万人に及ぶ子供たちの寄付もなされ、多くのボランティアにより運営されている。

 ぎっしりのスケジュールの中でも世界の美術に接することができ、しばしの気分転換

派遣団一行、体調もよく順調にスケジュールをこなしています。


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