伊藤ひであきの視察報告

●豊橋市議会派遣団 オハイオ州の中都市ートリード(1) ● 99.09.28

●9月27日
<<トリード派遣団>>
 水鳥団長以下市議団9人、同行する牧野課長、JR東海ツワーズの早川添乗員の計11人の豊橋市議会トリード市等調査派遣団は9月27日、豊橋市役所を午前9時に出発。名古屋空港を午後1時に離陸、ノースウェスト航空にて約12時間、デトロイト空港へ。日付変更線の関係で9月27日昼に降り立った。想像以上に暖かく、快適な青空が広がる。

<<トリード市と姉妹都市交流>>
 デトロイトから更に専用バスで南へ100キロ・約1時間。オハイオ州の北西部、エリー湖の西岸、ゆったりと流れるマウミー川の河口にあるのがトリード市。人口33万人・面積210kuと豊橋よりはやや小さい。何よりの印象は静かな美しい街である。

 このトリード市と豊橋市が民間レベルで交流が始まったのが4年前、昨年秋には豊橋市国際交流協会の交流団がトリードを訪問し、大きな盛り上がりを見せ、一気に姉妹都市提携の動きになってきた。市も国際交流の新たな展開として、来春には提携の考え方を議会で示し、今回の市議会派遣となったもの。
トリード市にある世界第三位の自動車部品メーカー・デーナ社のエンジニアセンターの豊橋サイエンスコアへの進出も決まっている。また8月には教育交流で豊橋の中学校教師が派遣され、来月は市内中学生代表21人がこのトリードでホームスティの計画も煮詰まっている。そうした意味から小出助役と秘書課国際交流室、市国際交流協会の事務職メンバーも同行している。
 マウミー川のほとりのウィンダム・トリードホテルが4日間の常宿である。

●9月28日
<<トリード港>>
 最初に訪れたのはトリード・ルーカス郡港湾管理局。取締役ディビード・シャピロー氏が熱心に説明、質問に答えてくれた。
 トリード港は5大湖で最大の多種貨物を扱う港で、コーン、大豆、小麦粉、鉄鉱石、金属製品などを扱っている。広大な穀倉地帯を背景に穀物をヨーロッパ各国へ、そして世界各国からの金属類の集積地で、鉄鉱石はオハイオ州の製鉄会社へ貨物輸送で運ばれていて、500億円を超える貨物を扱っている。これは全米約200の港の中では40位くらいにランクされている。
 ディビード氏は言う。「我々は日本・イギリス・フランス・ドイツなどの企業誘致に取り組んでおり、豊橋とトリードは文化的には近い。製造業の基盤は共通性がある。豊橋港が自動車の輸入で日本一であることも認識している。豊橋との交流を通じて日系企業の進出を望んでいる」と。
トリード港の特徴は
 @ニーズに応えうる規模を持っている
 A800kmの範囲内に北米50%の企業集積がある
 B空港・貨物・鉄道・ハイウェイ輸送に十分な交通網の完備
で何よりも市民生活を送るには安全な街であり、大きすぎるわけでなく程々の規模がトリード市の特徴である事を強調する。

<<トリード市議会>>
 午前から、午後にかけて市役所を訪問した。トリード市役所は23階建てのスッキリとした建物である。市議会議員は12人で、2週間に1度、火曜日に開かれ、ちょうどこの日が議会開催日である。多忙な中でガバーラ、ブラウンの両議員が対応してくれた。
 ちょうど「トリードから銃を減らすための議案」の採決の日だという。野放しの拳銃の実態に連邦政府も州政府も何も手を下さないので市長が2年前に提案し、論議してきたのだという。これはすべての国民が身を守るために武装できるというアメリカ憲法にも触れる問題で難しい判断で、票決は半々であり、最後は市長が断を下す予定。夕方、4時からの議会はエキサイティングな論議が行われるとのこと。
 急きょ、予定を変更し、午後4時からの議会を傍聴することになった。市議会は1階のロビー横にあり、誰でも出入り自由なのが象徴的である。さらに傍聴席は約200席ぐらいあり、正面ステージに半円系に12人の議員席があり、身近なオープンな議場である。アメリカにおける市議会と市民の関係が思い知らされる。
 冒頭、議長から豊橋市議会メンバーが訪問していることが紹介され、代表して市川副議長と小出助役がスピーチ。盛んな拍手を浴びた。また議長から一人一人にトリードの記念品とトリード市議会訪問の認証状が渡されたのには感激した。議会は沢山の議題が次々と裁決されていく。議員一人一人がYes、Noの態度を明言していく。傍聴者は150人くらいで、「銃を減らすための法案」が審議されるということで、周辺各地からもそれに反対する人たちも集まり、小さなプラカードも掲げ、緊張した雰囲気。肝心の「銃に関する法案」は施行猶予期間が延長される形でまとまったようだ。

<<フィンクベイナー市長>>
 議会開催日であり、重要法案が審議されるということでその準備のため、市長の時間がなかなか取れなかったが、二人の副市長が対応してくれた。「市長は豊橋市との姉妹提携に強い熱意を持っている。市長の任期はあと2年であり、来年、4月をめどに提携の第一歩を踏み出したいとの意向である。経済的・文化的交流を大切に思っている。質の高い交流を通じて互いのメリットを生かしたい」との考え方が示された。
 市長に会うことになったのは、銃法案の目処が立った段階で急きょのタイミングであった。
 大変エネルギッシュな精悍な政治家という印象。一人一人を心から迎えてくれた。「来年、2月には州知事と日本に行く予定があり、できたらその時に豊橋市と姉妹都市提携したい。トリードの発展のために自分は飛びまわっている。今日も夕方から、飛行機で飛ぶ予定。トリードの発展のために互いに交流を通じて人材やノウハウを得たいと思っている」と決意は固い。一人一人の議員の元職を聞きながら会話が弾んだ。市長自らは、元教育者で、現在もフットボールチームのコーチもしているという。提携の促進と再会を何度も何度も熱く語る姿が印象的であった。


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