伊藤ひであきの地方からの提言

時代は政治に何を求めているか 99.08.25

 99夏、クライマックスの夏。「運転したい」と操縦室に乗り込んだ若者がいた。「早くヘリを」と叫びながら力尽きたキャンプ場の悲劇があった。「大敗した僕たちに甲子園は優しかった」と泣きじゃくった球児達がいた・・。三大銀行が統合するというビッグバンの嵐、一方でリストラの風は弱者を暑い街に放り出している。

 時代が音を立てて崩れ、音を立てて新世紀へ向っている。

 混沌とした時代の流れの中で我が公明党が自民党との連立政権に踏み出そうとしている。賛否両論である。世論調査は厳しい結果を示している。しかし、賛否の応酬の中で真実が見えてくる。以下は8月21日、岐阜での議員研修会での我が党の草川副代表(国会対策委員長)の講演及び伊藤ひであきの質問とそれに対する同氏の答の要旨です。

連立に踏み切った時代背景

●第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の三行が共同持ち株会社を設立するという、いわゆるビッグバンに対応した金融再編成の始まりです。ビッグバン後の全国銀行は四つで十分といわれる。東京三菱、住友が生き残るといわれるので残りは一つだ。名門の銀行の有り様からは考えられない事が次々と起ってくる。また、この事は産業界の再編にもつながる。大手の鉄鋼メーカーも一つそっくり潰してしまおうという計画もある。一方で朝のテレビには円、ドルと並んでユーロという欧州共通通貨が表示され、日産はフランスのルノーから、マツダはフォードから社長がやってきて、会議は衛星放送で本国の時間帯に合わせて夕方から英語でやっている。急テンポなグローバルな時代。

経済安定へ懸命の努力

●こうした中で一番ボケッとしているのは永田町ではないのかという危機感があった。何よりも景気が悪く、失業率も過去最悪を記録する中で、予算を早期に成立させて景気を刺激し、雇用の安定を確保するという基本的な命題がありました。そういう中で、三月中に予算を成立させたことは従来の野党の対応と大きく違う所です。従来なら政府に対抗し、少しでも予算成立を遅らせれば野党の得点になりましたが、公明党は予算の年度内成立に協力しました。私達は従来と違う経済の背景があるからこそ、そうした対応をし、それが日本経済の安定につながったと確信しています。マスコミは公明党の協力を「自公」とか「自自公」という言い方で論評しましたが、関係者からは高く評価された点だと思います。

●さらに言えば、昨年秋の金融国会で公明党(当事は平和・改革)などの推進で、銀行が潰れたら国有化する、潰れそうな銀行は集約して(金融再生法)、そこに資本を注入する仕組みを作りました(金融早期健全化法)。ここで盛り込まれた資本注入は一部野党などが批判した「銀行を助けるため」というより、貯金者や健全な借り手である中小企業を救う事が最大の目的でした。今でも株式欄に100円前後で推移している建設会社などは、あの時一気に倒産に追い込まれたといっても過言ではない。また国会の一瞬、一瞬の対応が日本経済を左右するため、何よりも法案成立までのスピードが大事であると判断し、9日間で成立させた。

●この時の対応を"ミスター円"と呼ばれる当時の大蔵省財務官、榊原英資氏は7月18日放映のサンデープロジェクトで「昨年秋の金融国会で、公明党(当時は平和・改革)の政策判断が金融危機による破綻から日本を救った。あれがなければ、日本はあそこで、ドーンと恐慌に近い状況におっこっていたと思います」と評価した。

時代を拓く真剣勝負

●三行の統合でも6000人がクビになる予定。失業率5%というのは100人のうち5人が仕事がないという事態。現在10人いる職場は10人のまま経営を維持しようとすれば潰れてしまう。半分にしなければ生き残れない状況。こういう事に歯止めをしなければいかん。

 グローバル化は言い換えれば自由競争と効率主義の世界。日本も我々も否応なくその渦中に身を置く事になる。そうした社会経済構造は深刻な歪みも生み出している。競争と効率というシステムに入れない層の人達に、どんな政治の網をかぶせたらいいのかという課題がそこにある。我々が政権に参加しようとする大きな責務はここにある。

 しかし、公明の参加を良しとしない勢力もある。自民党の中にもある。何が起ってもおかしくない。そうした主張の一部が週刊誌や新聞にためにする記事としておもしろ、おかしく出てくる。そうした、様々な力関係の中で我々は新しい時代に突っ込んでいく。チャンスだから頭をつかわなあかん。政治は数だけではない。

Q1.選挙制度と定数削減について

ひであき:政権を政策で争う選挙制度として小選挙区比例並立制に踏み出したのではなかったか。それが3年前の一度の選挙だけで中選挙区制度に戻せというのは理解できない。
草川:96年秋の小選挙区比例並立制での選挙後、49%が死票となり、民意が反映されていないという声が上がり、日本の政治風土の中では二大政党制への移行はなじまなく時期早尚だという総括に至った。その上で、現行の制度で議員定数を削減するのなら比例部分だけ50減らすのでなく、小選挙区で30、比例で20減らすべきで、我々は議員定数削減には賛成であり、推進する側である。

Q2.企業献金廃止こそ貫くべし

ひであき:自民党との連立で公明党が譲ってはいけないものの一つは企業献金の廃止である。政党助成金も制度化されており、政治資金規正法で明示の通り来年3月で禁止すべきであると考えるが、この点があいまいになっていないか。
草川:自自公政策協議の中でも極めて大きな問題と認識している。その方向で踏ん張っていく決意だ。

Q3.時代の波に弱者は追い出されている

ひであき:長引く不況と、リストラの嵐の中で就職に困っている、会社を突然解雇された、仕事をやったのに金がもらえない。といった相談が相次いでいる。雇用促進は待ったなしだ。
草川:雇用給付特例交付金なども手を打たなければいかんと思っている。また自助、共助、そして公助の仕組みを確立し、生活安全保障の網をしっかりかぶせていくのが、政治の責任だと決意している。理解と支援をお願いしたい。


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