伊藤ひであきの市政報告

98年3月定例市議会 「公明市議団の予算案、賛成討論」98.03.26

  さる、3月26日の3月定例市議会最終日での公明議員団の予算案などの賛成討論をお伝えします。
 公明豊橋市議団を代表し、討論に参加させて頂きます。

私どもは全議案に賛成でありますのでポイントを絞って重要案件について所見を述べさせて頂きます。

  何よりも、今議会の最重要議案は総事業費184億円の次世代型焼却炉の事業化予算であります。我々はこの事業化予算を「是」とします。ダイオキシン対策、エネルギーの有効利用、焼却灰の溶融・個化、経済性から次世代型焼却炉(熱分解高温燃焼溶融炉)は導入すべしとします。

 「廃棄物処理法」「大気汚染防止法」の改正もあり、既設炉は平成14年12月1日よりは、ダイオキシンを1.0ナノグラム以下にすることが求められいます。各メーカーが次世代型焼却炉については研究開発中であり、各社の開発結果がでるまで待って、競争性も確保されることができればベストだと思います。しかし、そのために1年ないし2年遅らせれば、1,2号炉については総合的なダイオキシン対策が必要となります。と同時に延命化対策も必要となってきます。このための概算費用は70億円程度が必要になることも明確になりました。1、2年遅らせるために、70億円使う事に、果たして市民の理解を得られでしょうか。

 また2年間の工事期間中のごみ処理をどうするかという問題もでてきます。この問題の打開策も見出せません。1ないし2年まっても実証炉による技術評価書は出てきても、実機によるデータ、実績は出てきません。建設に5年間かかるというスケジュールから見ても、待つなら10年待つべきであります。そうすれば70億円の10年分、年7億円の継続負担となります。

 しかし、精密機能検査で老朽化が進み、維持管理については切迫した状況と判断された経過から、それでもなおどこまで機能回復ができるでしょうか。四日市は80億円かけて日450トンの炉が現在320トンの能力しかないので、380トンの能力、すなわち20%能力を回復させると言います。豊橋の場合に当てはめると、現在364トンの能力を20%アップすなわち430トンまで機能回復すると言う事になります。現在ですら、日平均360トンの処理実績であり、今後、増加していくごみへの対応は不可能です。

そして、また相変わらず毎日60トン出てくる焼却灰を埋め立てつづけると言う問題が残ります。四日市は三重県が作る灰溶融センターへ運べばいいのですが、豊橋の場合、別途に灰を溶融し、個化する設備の投資も必要になります。これが30億円かかれば、総計100億円前後になり、10年使うと年約10億円と言う事になります。そうすると新焼却炉の184億円の20年稼動での年当たりの負担が約9億円となり、経済的にもどちらが経済的か明白です。
 すると現時点での選択は「導入やむなし」しかなくなります。しかし、実績はありません。一定の裏づけ、すなわち「技術評価書」を取得し、ドイツのフイルト市で引き渡し前の実機によるデータがあり、福岡県の清掃組合が110トン炉を発注し、建設が始まったばかりです。メーカーのデータも冷静に判断する事も必要です。

 すると、あとは失敗させないスキームを作り、随意契約のメリットを生かす担保契約のあり方を考え、プロジェクトを成功させるためにあらゆる努力を傾注させる事しかありません。その意味において、契約に臨むにあたり、また実施設計に取り組む事に当たり、万全を期し総力を挙げられる事を強く要望するものであります。

 その上で、この1年間の次世代型焼却炉についての論議は、提案者、執行権者である市長並びに当局と審議する立場の議会と、そして何よりも市民の皆さんとの関係が問われてきました。正確な情報開示のあり方、更には市の提案し、審議を求める立場にぬかりがなかったか指摘せざるを得ません。また審議の中で議員も正確な情報で真摯な研鑚の姿勢が貫かれたのかも反省しなければなりません。来年からは中核市議会が開かれようとしています。今後の教訓として肝に銘じたいと思います。

 また、代表質問で我が市議団は、このプロジェクトの成功のために、「文字どおり530、即ち徹底したリサイクルで『ゴミを減らす』新たなる530運動」を提唱しました。また平成14年に動き出せば、国内初の200トン次世代型焼却炉であり、資源化センター周辺一帯を『豊橋環境村として整備すべき』とも提案しました。温泉プールや周辺の新鮮な野菜を使ったレストランなどで人が集まるエコパークとし、南部地区発展の拠点、全国への情報発信基地とすべきであります。また技科大と連携し、ゼロエミッションの研究も更に進め、「資源化センター」という名前ももっと親しみやすいネーミングにすることも提案しました。市長は積極的な対応を約し、次期基本構想策定作業の中で具体的な検討を約しましたが、今後の取り組みに期待いたします。

 なお、我が新生公明は他の党に先駆け、党本部にダイオキシン対策本部を設置し、全国3500人の地方議員と25人の参議院議員がそのネットワークで国民の生活環境と生命を守るために、ゴミ焼却場施設の改善、汚染土壌の除去、規制法の制定などに活発な取り組みを展開している事も申し添えます。

 次に本市の行財政改革のあり方について申し上げます。厳しい財政経営の中で、もう一歩突っ込んだ官民の役割分担、嘱託化、委託化をなすべき事を年間24億円削減できるという具体的数字で示しました。この金を新たな財政需要に向ければ、大きく豊橋の活性化に寄与できるわけで、そうした観点からも常に事務事業を見直し、効率的な行政運営を図り、委託化が適当なものについては積極的にその堆進を因って頂きたいと思います。

 来年の中核市移行については「地方分権の担い手」としての気概に燃えて取り組まれるべきでありますし、再来年の介護保険導入については「豊橋らしい介護保険システムの構築に全力で取り組まれるよう強く要請いたします。

 次に豊橋駅周辺整備と市民病院跡地問題については新たな段階を迎えていますが、ダイエー豊橋店の撤退と言う深刻な問題もあるわけでメリハリの利いた取り組みを期待するものであります。

 次に深刻さを増す教育問題です。中学生による凶悪犯罪が相次ぎ「今、必要な教育は何か」をめぐり、さまざまな論議が起きていますが、「一時しのぎ」であってはなりません。子供たちが強く正しく生き抜いていくための「強じんな心をつちかう訓練」と「やさしい心をはぐくむ環境」こそ必要であり、既成概念に問われない柔軟な発想で教育現場に体当たりされるよう願うものであります。

 世紀末を迎えて、社会のすべての分野にわたって様々な矛盾、ひずみ、ほころびが随所に表面化し、経済の深刻さ、国政の迷走は目を覆うばかりです。早川市政も早、1年半。いよいよ執行体制を強固にし、新世紀に向かって豊かな橋をかけるべく邁進されるよう望みます。

 最後に、幹線道路網の整備や駅周辺整備に尽力下さいました山本助役に心から感謝申し上げ、討論と致します。


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