MAILいただきました。東京の御出身とか、豊橋の住み心地はいかがでしょうか。
多分、この地のおおらかな風土と豊かな自然にいち早く慣れていただいたのでしょうか。足を伸ばせば伊良子岬あり、北設楽の山々や日帰りの温泉施設巡りなど休日のすごし方は東京とは違った風情があるかと思います。
さてこの地の水事情について御質問いただきました。改めてこうした御質問をいただくと、さてどのようにお答えしようかとしばし、時間をいただきましたゆえに、御返事が遅れましたことをお詫び申し上げます。
豊川の上流へ行かれたことがあるでしょうか。豊川の流域に住む70万人はこの豊川に生活水源をはじめ農業、工業用水を頼っています。しかし、この豊川は流れが急で、標高1000mの段戸山から77kmで三河湾に流れ込みます。
お話にありました利根川は標高200mから220kmで太平洋に流れ込んでいますから河川勾配がいかに急かわかっていただけますか。よってどこかで水を貯留しないと、大雨が降っても流れ出てしまうという宿命を背負っています。年平均流量は32立方メートル/秒 利根川は230.5立方メートル/秒というデータもあります。
よって宇連ダムが昭和33年に完成したのをはじめ、豊川総合用水事業が続けられてきています。大島ダムがやっと完成し、設楽ダムが計画から具体化に動き出しています。
年間降雨量も昭和35年以降少なくなってきて、山間部では年間2000mm以上の雨を記録したことはありません。地球温暖化もその一因になっているようです。こうして豊川用水の宇連ダムの貯水量は渇水期において極端に低下し、毎年、節水を余儀なくされて恒例的な水不足となっています。
昭和60年1月には宇連ダムの貯水量がゼロとなる異常渇水にも見舞われました。
こうした中で、農業用水は農業技術の進歩と営農形態の急激な変化で水需要が増大し工業用水も企業進出で増大し、都市用水についても人口増と生活水準の向上に伴い、水需要が増大して来ています。
当然、こうした地域での生活体系は節水型社会の構築に進まなければなりません。公共施設において、雨水を貯留し、水洗トイレに使うなどの対策も講じられてきました。また、各家庭においても貯水槽設置の補助金(18000円)も用意されていますが、これはあまり活用されていません。(昨年度で14件、今年は19件の実績)
豊川水系の水源地域の森林は降った雨水を多く貯める機能を持っているはずですが、豊川水系の森林は木材生産目的の山林に作り変えられてしまって、保水力の劣る森林に変わってきているというのが現状です。また涵養林を育てる労働力も高齢化の進む上流域では困難な状況です。
よって豊橋では水源涵養林を水源地の設楽町に求め、下流域の責任で森作りを進めようともしています。
こうした背景で設楽ダム問題があり、環境に十分配慮したダムの必要性が論じられているところです。しかし、これには相当な歳月と費用がかかり、上流村落の水没という厳しい現実もあります。
節水型社会への更なる取り組みと、安定した水供給への豊川総合用水事業の取り組みが望まれるところです。私たちはその方向に向かって取り組んでいく所存です。
<更にいただいたメール>
ご多忙の所返信下さり、誠にありがとうございました。丁寧なご回答に、尊敬と感謝の思いでいっぱいです。
>よって豊橋では水源涵養林を水源地の設楽町に求め、下流域の責任で森作りを進めよ
>うともしています。
> こうした背景で設楽ダム問題があり、環境に十分配慮したダムの必要性が論じられて
>いるところです。しかし、これには相当な歳月と費用がかかり、上流村落の水没という
>厳しい現実もあります。
> 節水型社会への更なる取り組みと、安定した水供給への豊川総合用水事業の取り組み
>が望まれるところです。私たちはその方向に向かって取り組んでいく所存です。
仰るとおりだと思います。人工降雨機というものが効果あるものであれば、是非ご検討いただきたい物でもありますが。
ところで、差し出がましいのですが、節水に関して一つ考えがあります。「節水への啓蒙活動を強化する」と言うのは如何でしょうか?
例えば
1)転入手続き時に、
『豊橋は慢性的な水不足であり、節水が必要である』ことを知らせる紙を渡す
(S60,H13等の実際例も掲載する。S60大渇水時の貯水量の減衰を示すグラフがあると、より良いかもしれません。)
2)公報豊橋、豊橋市HP上などの広報機関に、宇連ダム状況をこまめに掲載する。
・・・貯水量の減衰をリアルタイムで示すグラフがあるとより良いかもしれません。
(3〜9月の半期だけでも良いかもしれませんが)
特に取水制限がなされてからは「大きく」報道する。
と言ったことが考えられますが。私が豊橋へ引っ越してきた2年前、正直「都会から引っ越してきたのだから、これで水不足から解放される」と思ったことは事実です。
しかし、実際は豊橋は慢性的な水不足に悩まされている。そして、私のような転入者はそのことを知らず、長年豊橋に在住している方々は「今年も何とかなるだらあ」と思われている、節水を知らせる広報車は回れど、水不足の深刻さを知る人は少ない、というのが実際の所ではないでしょうか?
水源を求めることに時間がかかるのであれば、節水を強化することが現実的な手法であることは、論を待たないと思います。
もちろん、私の案が単なる素人の思いつきです。ここまで読んで下さり、ありがとうございました。