伊藤ひであきの市政報告

2000年9月議会 一般質問のポイント

1.21世紀初頭の時代認識と第四次基本構想・基本計画(素案)について基本的な認識と対応を伺いたい。

(1)進化するIT革命と自治体の電子化について

@インフォメーションテクノロジーいわゆる情報技術ITが「自治体経営高度化のカギ」だという認識。そのために「行政情報管理システム」の導入で行政の効率化、迅速化、また行政サービス情報の提供により市民との信頼関係を深めようという。これでは従来のOA化の延長線上の次元ではないのか。

 なぜ、IT革命というのか。なぜITという言葉が新聞に載らない日はないのか。なぜ国もIT戦略本部・IT戦略会議を設置しIT国家戦略をまとめようとしているのか。
 ITによる組織のフラット化、オープン化、その事による住民と自治体の対等な関係、その事による地域社会の再構築、そして21世紀の自治体大競争時代のなかで、生き残り組、勝ち組になって行く。その決定的ツールがITであり、このITを行政自らがどう率先して活用し取り組むのか。ITの活用による体質改善が必要な事は企業も行政も変わりがない。
 そういう戦略性が次期基本構想・基本計画では弱いのではないか。指摘させていただきたい。
 デジタルデバイドという言葉がある。ITを使いこなせる人とそうでない人との間の格差の意味だが、本質は情報を使いこなす能力の事。人を地域に置きかえれば地域間競争の重大な鍵を握っている。市長はこうしたIT革命の動きをどう位置づけているのか、意図するところがあればお示しいただきたい。

(2)地方分権と地域連携・合併推進への動きについて

@昨年4月に中核市となり、多くの権限が県から委譲され、さらに今年4月からの「地方分権一括法」の施行により今まで県や市町村が担当してきた多くの業務は「機関委任事務」として位置づけられ、中央官庁の指揮監督に従って処理されてきた。それが廃止され、国と地方は「対等の関係」になった。「自主性」と「主体性」のある行政経営の時代。

 言い換えれば知事や市町村長が智恵と力を発揮する時代が近づいてきた。その意味で、第四次基本構想・基本計画は今までの三度に渡る基本構想・基本計画とは次元が違うはずである。
 素案を作るに当たって市長はこれらの点をどのように踏まえて取り組んだか伺いたい。

A国は行政評価法の制定を目指し、また大胆に公共事業見直し改革を進めようとしている、同時に市は行政評価制度導入を準備しているが、今年度予算で国の公共事業費は9兆4000億円、そのうち62%の5兆9000億円が地方への国庫補助金。補助事業は地方自治を歪め、特色ある地域づくりにに大きな障害になっている面もある。事業の必要性、優先順位を最も知っているのは地元の自治体であり、地域の実情に応じた公共事業を進めるために段階的に廃止し、その財源を地方に移譲して、地方の単独事業とすべきであり、でなければ地方分権も、地方における行政評価制度も充分に機能しないと思うが市長の考え方を聞きたい。

B次に合併問題について。
a.ご案内の通り豊川市と宝飯郡4町の合併構想が、住民発議で「合併協議会」設置へ署名活動を始めようとしている。また渥美郡三町でも合併への取り組みが少しづつ具体的な動きとなって現れて、三町職員の勉強会が行われている。こうした動きを市長はどのように考えておられるか。

 b.その上で、市長選挙の公約に東三河一市「三河市」をめざした合併問題への取り組みを中長期計画とは言え明確にした事の意図する事は何か。

 c.「東三河は一つ」という行政認識は根づいていると考えるが、何せ相手がある東三河一市「三河市」合併について周辺市町村と話し合った経過があるのか。

(3)医療・保健・福祉のネットワーク作りについて

@今回の基本構想、基本計画で東西に国立病院と市民病院、南北に総合福祉センターと保健所・保健センターの拠点配置と拠点整備が明確になり、地域福祉センターや憩いの家の配置も含め、医療・保健・福祉のハード面での組織的ネットワークが明確に位置付けた事はおおいに評価すべきと考えます。

 その上で、地域福祉の推進のために「人的ネットワーク」をどのように構築していくのかが大きな課題となっていきます。特に、それらをどのようにシステム化していくのか。ここでもIT戦略との統合が増大する福祉需要に木目細かく対応するための有力な手段になり得ると考える。これらをどのように整理されたのか考え方を聞きたい。

Aさらに、住み慣れた地域や自宅で老後の生活をしたいという人々の要望に応えて在宅サービスの充実も重要ですが、シルバーハウジングやケア付き住宅、あるいは大きな反響を呼んでいる旭本町の高齢者用共同居住型住宅などの福祉住宅への大幅な需要増加が考えられます。これらの対応について聞きたい。

(4)エコビレッジ構想の推進と今後のごみ行政について

@エコビレッジ構想については基本構想策定に向け、既に基本構想策定調査報告書が発表になっているが、展開するエリアは余熱供給距離から新資源化センターを中心に半径2km範囲内としている。

 一方で、機能配置や国道23号バイパスなどからの円滑なアクセス、民間による事業運営などを考慮にすれば、国道23号バイパスの「道の駅」の誘致を前提とし、ワン・ストップで連携・一体型の機能配置・施設整備が考えられるが提案しておきたい。

 一宮JCから東海北陸自動車道にはいるとすぐ川島パーキングエリアがある。5haという広大な木曽川河川敷に、環境共生型パーク「河川環境楽園」として整備され昨春開園した。自然と触れ合う水辺の夢空間と高速道路の憩いのオアシスとも連携し多くの市民に利用されている。セガエンタープライズが進出し、国と県、道路公団などのお金を有効に使っている。東海地方で人が集まるベスト3、多いに学ぶべきである。

Aごみ行政との兼ね合いで言えば、エコビレッジの理念が「循環型都市構築の実践の場」であるからには、36万市民のごみ行政もその方向に向かわなければならない。
 所が、昨年、7月から容器包装リサイクル法に従ってプラスチックごみの収集が始まったが、毎週水曜日に130tから140t収集されているがリサイクルに向けられるているのは約1割。それも60%の適合率でt当り60%の引き取り負担が強いられている。その選別保管にかかる人件費、収集運搬費まで計算すれば、ペットボトル、プラスチックは30,000円以上かかる。そして、自治体が集めれば集めるほど費用がかかる仕組みになっている。

 プラスチック類のリサイクルに取り組む自治体が全国で15%に過ぎないのはこの容器リサイクル法がいかに現場にあっていないかを証明している。

 市長は答弁にあったように「廃棄物の発生抑制」と「環境への負荷の軽減」という視点から容器包装リサイクル法を循環型社会形成推進基本法が拡大生産者責任をうたい、その優先順位にまず「発生抑制」を明確にしているように大きく手直しすべく、国に対して声を上げるべきだ。意とするものがあればお答えいただきたい。

Bその上で、エコビレッジが循環型社会のモデルとして位置づけるならば、新資源化センターの中へ持ち込んだものは外に出さない。市民の目に見える形で資源として有効利用すべきでないか。例えば、取り組んでおられる溶融スラグの活用についても、エコビレッジの中の歩道は溶融スラグを使った舗装やレンガを敷き詰める。脱塩残さについても利用法はあるのではないか。考え方を聞かしていただきたい。

Cまた、エコビレッジの農業支援機能・産業支援機能の面から言えば、長年の課題である農業用廃プラスチックの再処理工場も付加機能に加えたらどうか。豊橋の下水道汚泥が関係者の努力により、100%農地還元されているのは、農業粗生産日本一を誇る豊橋ならではの受け皿であり、またノンホイユーキが豊橋の農業を支えている。まさしくゼロエミッションの先駆例である。豊橋の誇る施設園芸農業を支援する農業用廃プラスチックの再処理工場、是非とも加えていただきたい。

(5)財政見通しとPFIなどの新たなスキームについて

@先の第三次基本構想策を見直した平成6年12月時点での平成12年度までの一般会計中期財政見通しがある。6年前の予測でさえ平成12年の市税収入は777億円となっており、現時点での580億円とは実に200億円の差がある。この3年間の市税は△2.7、△0.4、△4.3%とマイナス。当然ながら義務的経費において約100億円、投資的経費で約140億円下回った形になり、公債費比率は13.7の予定が11.6と健全財政を維持している形になっている。  明るさが見えない景気低迷の中で、市税全体では毎年度概ね2%%の伸び率、そうした中での投資的事業が平成16年度からの3年間に集中し、その財源を地方債に依存する見通し、高齢社会のピークに向かっていく中での扶助費の伸び率は152%という設定など、良好で健全な財政運営といえるのか。

A故に効率的な行財政運営が求められる訳だが、この10年、民間企業はバブルの崩壊と価格破壊の中で、終身雇用制度や、年功序列賃金、縦割り型組織などを維持不可能となって放棄した。贅肉を削らねば一瞬で潰れる時代だから。しかし、行政は公務の名のもとに基本的に維持している。

 市民に身近な行政であるごみ処理を例に取れば。ごみ処理は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で「一般廃棄物はまず市町村が処理計画を定めなければならない」とある。ここが政策立案の部分。
 次に「市町村は一般廃棄物処理計画に従って、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障がないうちに収集し、これを運搬し、及び処分しなければならない」とされている。ここが政策の実施。
 そして7条では「一般廃棄物の収集または運搬を業として行うものは、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない」これは、民間のごみ処理業者への許可条件となっている。事実上ここで「民間委託」の道を開いている。

 つまり、一般廃棄物の処理に関しては、市町村の企画立案、および実施、および民間委託が法律上示されているのである。

 私が奇異に感ずるのは、一般廃棄物の収集・運搬・処分が、原則として市町村の実施となっている点である。豊橋においてもしかり。自治体が担うべきサービスとして行われている。

 ごみと並んで自治体が担うべきサービスとされてきた教育。ここでも行政が果たすべき役割が問われるのではないのか。既に国立大学は独立行政法人化の中でこの問いを突きつけられている。特に保育園である。豊橋は先駆けて、実に9割・50の保育園を民間であるが、果たして5園は公立で続けなければならない意味があるのだろうか。園児一人に年間173万円かかっている計算になる。これに対して民間保育費用は園児一人に年間102万円。

 これからはこうした民間委託で行政の質が問われ、行政評価以前に、今の公務から民間が担うべき部分を排除して、もっとスリムにすべきでないのか。いま、行政がになっている実施機能はその大半が民間委託可能であり、またその方が効率的である。残るのが企画立案機能。ごみの例で言えば、ごみ処理の計画作成、ごみの収集・運搬を委託する際の条件など。保育に関して言えば保育サービスをどのように提供するのかの「企画」が問われる。
 そして、ごみは適正に処理されているか、保育サービスに対する親の満足度は高いかなどの評価機能である。
 この企画立案機能と評価機能、この部分こそ質が問われるべき行政の責任である。そしてPFIなどの新しいスキームや民間資源の活用が進めば進むほど行政の能力と質が問われていく時代に入っていくと考えるが、どうか。


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