地方政治クリエイト 15/03豊川市議会傍聴記

多角度から一問一答で活発な議論

 豊川市議会の一般質問が24日から二日間行われ、9人が任期最後の一般質問に登壇した。

■多文化共生

 豊川市内に暮らす4900人余の外国人市民が定住化の傾向にあることから多文化共生のまちづくりについて質問したのは早川喬俊氏(緑風会)。
 早川氏は教育現場において外国人子弟が不登校や不就学児童にならないような取組みや、町内会加入率が22%という実態から地域コミュニュティのあり方などの課題について議論し、策定中の来年度からの「多文化共生推進プラン」に期待した。

■選挙のあり方

 倉橋英樹氏(清廉の志)は今年が知事選挙から始まる選挙の年であり、その運営について質問した。
 特に公募や若い世代の投票立会人の採用、期日前投票所の増設などを提案した。総務部長は立会人は投票区の選挙人名簿に登録されている必要があることから町内会に任せていること、また増設には費用がかかることなどを説明した。

 倉橋氏は選挙ポスター作製費や遊説用自動車の借り上げ料などについても問題提起し、今年の市議選での各候補者の公費の使われ方についてチェックするとした。

■児童館の管理

 市児童館の管理を指定管理者制度から直営に切り替えるよう提案し続けてきた二村良子氏(緑風会)は来年度直営になることを評価し、これからの児童館運営について取上げた。

 二村氏は子ども・子育て支援新制度の中で児童館は地域の子育て支援拠点として位置づけられており、関係機関と連携して妊娠、出産から子育てまで家族を支援続けるフィンランドの育児支援サービス「ネウボラ」を紹介し、豊川市の児童館が「日本版ネウボラ」を目指すよう要請し、音羽町議から16年間の議会活動を締めくくった。

■災害対策

 松下広和氏(緑風会)は昨年5月末に愛知県が発表した南海トラフによる被害想定に基づき豊川市が取組んでいる小学校区別被害予測調査や津波対策などについて質問した。 消防長は小学校区別説明会ではわかりやすい説明に留意し、大きな地図で様々な情報を丁寧に説明していくとした。

 また松下氏は三河湾沿いの津波被害については過去地震最大想定モデルで被害想定区域が拡大したことを受けて、避難経路の見直しや避難訓練の実施の必要性を強調した。

■観光資源

 石原政明氏(緑風会)は来年度から6年間の観光基本計画では観光入れ込み客数を13年の751万人から800万人にするとしていることから観光資源を活かす開発ビジョンについて問題提起した。

    特に本宮山麓の観光戦略について、スポーツや農業と観光を組合せ、点から面へ拡大していくルート設定などの持論を展開した。

■ふるさと納税

 冨田潤氏(とよかわ未来)は新年度税制改正で利用の拡大がなされようとしているふるさと納税について、今後の取組みについて質問した。

 企画部長は、「市外から1万円以上寄付される方には地産米『稲荷の里』を送付しているが、税まで投入して返礼中心で寄付額増額は考えていない。豊川の魅力を向上させることが大事」と答えた。

■雨水排水

 雨水排水について取上げた堀部賢一氏(緑風会)は、西小坂井地区で大雨時に浸水被害をもたらしていることから、隣接する企業が所有する排水路で雨水排除を負担させることができないかと迫った。

 上下水道部長は「側溝新設には地形の問題もあり、民間所有ではあるが企業との調整を通じて縫殿地区の浸水被害軽減に取り組んでいく」とした。

■平和行政

 安間寛子氏(共産)は戦後70年の今年、豊川海軍工廠被爆の歴史を持つ豊川市は、市民球場で「平和祈念式典」を行うが、二度と悲惨な戦争を繰り返さないために平和行政に取り組む市の認識を伺うとして、特に市長に「日本国憲法第9条についてどのような考えか」と聞いた。

 これに対して副市長が「憲法9条の関係については国で議論すべきことである」とする答弁に傍聴席から「質問に答えよ」などとの声が飛び、議長は傍聴者に退場を命じ、一時混乱した。

   安間氏は「東洋一の軍都であった豊川市こそ平和行政の先頭に立つべきだ」と強く主張した。

■スズキと日立の撤退

 鈴川智彦氏(とよかわ未来)は造成が行われて47年が経過する35fの豊川工業団地で豊川市の雇用と財政を支えたスズキと日立が昨年、相次いで撤退することを表明したことについて取り上げた。

 産業部長はスズキは18年7月に、日立は16年3月に閉鎖することを明らかにした。
 鈴川氏はスズキの工場に伴い廃止になった旧蔵子線を復活すべきことや工場用地を公共施設エリアにすべきと主張して6期24年の議会活動を締めくくった。

 これには多くの支援者が傍聴席を埋め、鈴川氏の最後の質問を見守った。


ホームページに戻る 東日新聞記事 議会傍聴メニュー