地方政治クリエイト 15/03豊川市議会傍聴記

山脇市長の最終年、定住・交流の推進

東三河のトップを飾って豊川市議会が始まった。

 山脇実市長は18日の施政方針のなかで来年度の重点施策としては、@人口減少社会への対応Aファシリティマネジメントの推進B福祉、文化、スポーツの盛んなまちづくりC観光の振興D豊川海軍工廠被爆70周年事業をあげ、「輝ける未来を切り開く挑戦の年として市政運営に取り組む」と述べた。これを受けての各会派の代表質問が23日に行われた。

■与党会派こそのメリハリを

最初に登壇した最大会派「とよかわ未来」を代表した中村直巳氏は「激動の4年間の最終年を迎え市長の特別な思いがあるのではないか。予算編成で特に留意した点や予算の特長と重点施策について」質問した。
 これには山脇市長が答弁に立ち「市民との対話」を積み重ね「福祉と文化、スポーツの盛んなまちづくり」をめざし市政運営に取り組んできた。合併後初の第六次総合計画の策定にあたって定住・交流促進にインパクトを与える計画とし取り組んでいきたいとした。
 また海軍工廠被爆70周年記念事業については、悲惨な戦争体験が風化する中で、記念式典会場を市民球場に移し、幅広い市民の参加で平和の尊さを再認識できるイベントにしたいとし、史実に基づいて迫力ある内容になることが明かされた。

 終わってから、中村氏は「市長与党会派でもあり、市長の思いの丈を十分語ってもらった」としたが、最大会派のメリハリのある主張が展開されることなく30分で終わったのは残念であった。与党会派ならばこその切り口があるのではないのか。その緊張感こそ、二元代表制の地方議会に最も要請されていることではないのか。

■医療と介護の連携

 緑風会を代表して大野良彦氏は過去3年間の施政方針演説を読み返して登壇したとし、2期目の市政運営の評価と認識、2期目最終年の市政運営の目標について質問した。
 山脇市長は「市長選に掲げたマニフェストを着実に果たしていくことに全力を挙げてきたとし、特にB1グランプリの大成功、豊川工高の駅伝での優勝や豊川高校のセンバツでの活躍などで豊川の名が全国に轟いた。新年度は住みやすさを実感できるまちづくりをめざしていく」とした。

 大野氏は高齢者福祉について介護予防、住まい、生活支援が不可欠とし再質問したが、要介護5、身障者手帳1級の91歳の母の介護現場からの問題提起は説得力があった。

■児童発達支援

 井川郁恵氏は公明党市議団を代表し、健康・福祉施策に関する予算対応について質問した。
 健康福祉部長が障がい者福祉、高齢者福祉、児童福祉、生活保護、保険事業などの施策について答弁した。  井川氏はさらにそれらの事業を実施する背景・目的について質したので、同部長が、障がい者福祉、高齢者福祉・・の順にその政策意図について説明した。課題を絞らずに、概略を再度質問する井川氏の目的が理解できなかった。
 最後に井川氏は児童発達支援施策の実施における各部署間の連携を強化して早期発見、早期療育の取組の重要性を強調した。当局は「こども発達支援センター(仮称)」組織の整備に取り組む考えを示した。

■跳ね返される提案

 日本共産党豊川市議団を代表して佐藤郁恵氏は、「まち・ひと・しごと創生事業を利用して、住宅リホーム事業・商店リニュアール事業を検討すべしとした。
 また、豊川市で進む公共施設適正配置計画により、支所の転用・廃止が検討されていることから地域の衰退が加速しないかと問題提起した。
 さらに東三河広域連合での介護保険事業での実施は介護難民を増やしかねないとし同計画を撤回する考えについて質問した。

 いずれも当局から跳ね返されたが、なぜ住宅リホームなのか、なぜ地域の衰退につながるのか、スタートもしていない広域連合の介護事業の撤回など説得力に乏しかった。


 豊川市議会代表質問で特に目がつくのは、再質問の答弁者が原稿を見ながら滔々と読み上げることである。またそれを聞く質問者も答弁をメモすることもなく進行する事である。このような全て打ち合せ済みの学芸会議会のあり方が全国で問題になっているのである。

「住みたいまちづくり」より「傍聴に行きたい議会への再生」こそ急務ではないか。


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