地方政治クリエイト 15/03豊橋市議会傍聴記

とよはし創成予算に4人が代表質問。

 3月2日の予算大綱説明で佐原光一市長は、東三河広域連合の業務開始を4月に控え、「地域の中心都市のリーダーとしての立場を認識し、責任と役割を果たしていく」と述べた。  また、15年度のキーワードに「地方創生」を掲げ、策定を目指す「豊橋版地域総合戦略」には「豊橋のやる気と実行力を示していく」と強調した。子ども・子育て支援新制度、広域幹線道路ネットワークにも強い意欲を示した。  これを受けての本会議代表質問、一般質問が9日から3日間行われた。

■財政のバランス

 自由民主党豊橋市議団を代表して佐藤多一氏が中長期財政見通しなどについて、税収の増加は多くは見込めず、扶助費は年々増加するなかで行政のスリム化・義務的経費削減にどう取り組むのか聞いた。

 市長が答弁に立ち社会保障関係費や既存公共施設の維持、改良、保全経費や投資的経費の増が見込まれるなど見通しは厳しい。よっていかにして財政のバランスを維持していくか、メリハリのある定員管理に努め、公債費、扶助費にもスクラップ・アンド・ビルドで取り組むとした。

 佐藤氏は今後の新築住宅着工数や地価の推移の予測、それらが市政運営に及ぼす影響にも言及したが。木材業界での経験からの問題提起は説得力があった。

■意欲的提案

 豊隆会を代表して堀田伸一氏は人口減少化での公共施設のあり方、豊橋駅西口整備などについて取上げた。市長は公共施設等の利用需要が変化していく中で次世代に引き継げる「総合管理計画」の策定に取り組んでいくとした。

 堀田氏は質問の中で駅西地区を「駅裏」と呼ぶ市民が多いことなどを指摘し、夢が持て、活気にあふれる西駅を強調し、豊橋市が日本一を目指すプロモーションに取組むべきこと、次世代自動車普及に向けた取組みなど意欲的な提案を展開したが、豊橋を思う一生懸命さが伝わってきた。

■地域消費喚起

 公明党豊橋市議団を代表して鈴木博氏は地域産業活性化に向けた取組みについて取上げた。

 市長は「地域消費の喚起や生活支援対策を積極的に実施していく」と答えた。

   鈴木氏はさらに、国の補正予算に組み込まれているプレミアム付き商品券で地元産業の活性化に取り組む事を要請した。

 産業部長の前向きの答弁に鈴木氏はさらに、6年前の地域振興券の教訓から、幾つか提案したが、地域振興券の8割が大型店で使われ、地元商店街の活性化にはつながらなかった、新たに生み出した消費は配った額の3割くらいだったという課題をどう克服するのか問題提起してほしかった。

■豊橋の強み

 芳賀裕崇氏はまちフォーラムを代表して「地方創生」への取組みについて聞いた。

 市長は「豊橋ならでは、東三河ならではの提案を積極的に発信し、国の地方創生に関する新型交付金など最大限の財源獲得に努めたい。総合戦略も豊橋の強みを生かした独自色もあるものとし、スピード感を持って取り組んでいく」とした。

 芳賀氏は「産官学金労」へと金融機関、労働団体を含めた新たな枠組みの具体的な対応、連携中枢都市圏の形成などについて聞き、逆に弱みの部分を克服することが大切であることやビジョンや基本目標は国の数字の比例や按分ではなく、豊橋としての地域性を考慮すべきなど問題提起したが、よく整理されていた。

 傍聴席では背広姿の労組の皆さんが傍聴し、見守った。

■消防体制充実

 向坂秀之氏(豊隆会)は消防団の強化のため、装備・資機材の充実や訓練等の取り組みも重要であるが、担い手である団員の確保の重要性を訴えた。

 消防長は「自らの地域は自ら守るという意識の啓発を図り、福利厚生の充実として消防団応援事業を展開するなど加入促進に努める」など答えたが、地方議員と並んで今や絶滅危惧種と将来が危ぶまれる消防団員確保の責任感と危機感、実態認識が乏しいのではないか。

■介護職の確保

 四期16年、最後の一般質問に登壇した牧野英敏氏(有志会)は介護労働者の確保策を質問した。

 福祉部長は、「人材確保対策として若い世代が入職の契機につながるインターンシップなどに取り組みたい。定着対策では、介護従事者の身体的負担を軽減するため、介護ロボットの導入を支援したい」とした。

 牧野氏が指摘したように人手不足が深刻な介護現場では厳しい労働条件なのに給料が低い実態、具体的には平均賃金でみても、介護職員は月22万円弱で、全産業の平均月約32万円との差は大きい現実が問題なのであり、介護ロボットの話ではないはず。


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