地方政治クリエイト 14/12田原市議会傍聴記

寒気吹き飛ばす任期最後の一般質問

来年2月1日が投票日と決まった田原市議会議員にとって12月議会は任期最後の議会。二日間で8人が一般質問に立ち、自らの議会活動の締めくくりとした。

■来年度予算編成

 牧野京史氏は来年度予算編成について、特に来年4月末の任期満了に伴う市長選に出馬しないことを明らかにしている市長に対し「次期市長が政策的経費を肉づけできるような骨格予算を組むべきでないか」と質問した。

 市長は「行政は安定と継続が大切であり、地域の自立に向けた通常通りの予算編成を行っていく」とし「財政も明るい兆しが見えてきており、次期市長が政策的予算を組めるだけの財源は充分にある」とした。

■保育園適正化

 鈴木義彦氏は保育園配置適正化の推進計画では現在18園ある保育園が来年度以降は15園とされていることから適正化の現状と今後の展開について取り上げた。

 鈴木氏は様々な要素が絡み合う中で子どもの健全育成を第一義に3歳以上の児童数50人未満の小規模園の解消に取り組むよう要請した。

■ESD

田原市においても地域社会を担う人材育成のために持続可能な開発のための教育(ESD)について質問したのは辻史子氏(公明)。

 辻氏はユネスコの理念に沿った教育を行うユネスコスクールが全国で拡大していることから田原市の小中校も積極的に参加していくべきでないかと提案し、地域ESD活動のために公民館活動の充実なども要請した。

■健康都市

 長神隆士氏は攻めの取り組みによって健康都市をめざし医療費削減にもつながる健康づくりについて問題提起した。

 田原市では肥満や循環器疾患が多い傾向にあることから長神氏は生活習慣病の改善の面からも健康マイレージ事業や歯科口腔ケア、食生活改善事業など地域コミュニティや食生活改善推進員などと連携した身近な健康づくりを強調した。

■観光まちづくり

 太田由紀夫氏は観光基本計画が改定作業中であることから、今後の渥美半島観光の再生について質問した。

 特に半島周遊ルートの中でも三つの道の駅の役割は大きいが、西の玄関口である伊良湖クリスタルポルトの観光客の利便性に向けて改善すべき点が多いことなどを指摘し、東西に長い渥美半島の観光再生のためには様々な取り組みや企画を点でなく、線や面としてまとめる役割は行政主導でなければできないことを強調した。

■不登校ひきこもり

 不登校やひきこもりなどの子ども・若者支援のための取り組みの現状について聞いたのは平松昭徳氏

 教育部長は不登校は小学校で10人、中学校で58人、うちひきこもりは1人であったことを明かし、訪問型アウトリーチ家庭教育支援チームを中心に、他の機関とも連携を強め取り組んでいくとした。
 平松氏は不登校や引きこもりが続くと大きな社会的損失を招くことからも早期発見、早期取組みを要請した。

■地方創生

 大竹正章氏は地方創生についての考え方を質問した。
大竹氏は視察した島根県海士町の大胆な子育てや教育支援策、産業創出の取り組みを紹介しながら、国や県を頼ったり後追いするのでなく、田原市の独自性のある方向性で斬新な総合戦略を打ち出すべきでないかと議論を展開したが意欲的で頼もしかった。

■農産物の安全

 杉浦文平氏(無所属クラブ)は9月末に市内の農地で環境基準値を超えるヒ素が検出されたとのことから農産物の安全について質問した。

 答弁で県の調査においても、市の調査においても、特定有害物質が環境基準値を超える地点はなかったことを明らかにした。

 杉浦氏は産廃業者から運ばれている堆肥そのものを調査する必要があるとし、渥美半島の農業は田原市の根幹産業であり、日本の中心的農業生産地であり、消費者に安全な農産物を提供する責務があると強調し、徹底的調査を要求した。

(愛大地域政策学センター研究員)


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