地方政治クリエイト 14/12新城市議会傍聴記

合併して10年、新たなステージへ

 12月定例新城市議会一般質問が11日から二日間行われた。
衆院選が「最後の三日」に突入する中で、新城市議会では夕方まで熱心な議論が続いた。

■合併10周年

 05年10月に3市町が合併して新・新城市が発足して来年は10年目を迎え、その総括を取り上げたのは山崎祐一氏。

 編入か新設(対等)合併かが何度となく議論され、市長の政治判断で新設合併となった経過を踏まえ、合併して良かったと判断しているか」との質問に企画部長は「市民満足度調査の結果が毎回増加していることから概ね評価されている」とした。
 山崎氏は市民総踊りの「豊橋まつり」を例に市民が一堂に会する一大イベントを提案したが、具体的答弁はなかった。

■広域連合

 白井倫啓氏は自分のまちは自分で守ることが「自治」である。広域連合により大きくなれば自治は遠のく。広域連合と「自治」の関係をどのように考えるか、広域連合のどこに夢を描けるのかと食い下がった。

 企画部長は「たくさん反論いただいたので私も反論させていただきます」と始まった二人の議論は緊張感があった。

 ただ、白井氏が議員になったのは一年前からであり、広域連合議論は8年前からなされてきている経過も踏まえるべきではないか。また市民への説明責任については二元代表制の立場から議会の説明責任も問われるのではないか。

■新東名時代

 柴田賢次郎氏は「新東名」というインフラ整備は非常に大きな転機であるとして、小惑星探査機「はやぶさ2」の開発に新城の頭脳が参加していることを紹介し航空宇宙産業へのアプローチが弱いのではないかと問題提起した。
 柴田氏は「新東名」はまた大きい経済圏に飲み込まれてしまうリスクもある。対策はとられているのかと主張したが共感が持てた。

■産廃対策会議

 今回も新城南部企業団地への産廃施設業者の進出対応について4人の議員が取り上げた。山口洋一氏は田原市における重金属(ヒ素)問題について聞いた。

 環境部長は問題になっている田原市での汚泥発酵肥料については愛知県、田原市で調査しヒ素が基準値以下であったが、指導権限のある農林水産庁の調査を待ちたいとした。 山口氏は市として独自に各素材の重金属含有等の検査を行うべきでないかと主張した。

■作手校舎

 新城東高校作手校舎の存続問題についてとりあげたのは長田共永氏。
教育長は作手校舎には恵まれた教育環境を始め、特筆すべき特色が多くあり、中高連携の成果もあらわれてきており、募集停止基準(新城市内中学校からの入学者が2年連続20人未満)をクリアすることに全力を尽くすことが先決であると毅然と答えた。
 それでも、17年度の公立高校入試制度見直し、高校再編の動きもあり前途は厳しい。

■経済戦略

 打桐厚史氏は景気回復に明るさが見いだせない中で市独自の経済戦略について質問した。
 雇用拡大、定住促進、市民との協働、地域主権型行政改革と抽象的項目が並んだが、新城のそれらの現状と課題を明らかにして議論しないと中身も抽象的になってしまう。

■保育と教育

 小野田直美氏は子どもが生まれ成人する迄の間、保育と教育は両輪となり、連続性のある関わりが必要であるとして保育と教育の複合について議論した。

 「共育」を合言葉に「自ら立ち、自ら律する」を目標に、就学前と義務教育への接続期プログラムを大切にし、保育の面から、教育の面から新城市の未来をどう作っていくのかという教育論はさわやかだった。

■新城市民病院

 鈴木達雄氏は産科など安心して産める医療体制の復活について質問した。
経営管理部長は産婦人科の復活は東三河北部医療圏の切実な声である。産婦人科医師、小児科医師、助産師の新たな採用が必要であり、医師の招へいなどに努力していくとした。
 救急医療体制とあわせ医師不足の中で展望が見いだせないまま推移している厳しい現実が改めて浮き彫りになった。


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