地方政治クリエイト 14/09豊橋市議会傍聴記

市民はジッと見ている、聞いている

■まちなか図書館

 渡辺則子氏(市民会議)は今回も再開発ビルに計画されているまちなか図書館について多角度から論陣を張った。

 近年、本の貸し出しや閲覧にとどまらず、新しい取り組みを行う図書館が増え、地域を支える情報拠点として、その役割に期待が寄せられている。
 それだけに、基本計画段階での渡辺氏の議論をリードする姿勢は評価できる。

 渡辺氏は議論の中で、しばしば「市民代表による検討会議」を提案するが、多様な市民の意見を反映する最高の場が議会なのであり、議会の中で活発に議論することが第一義なのではないだろうか。

■被害予測調査

 古関充宏氏(豊隆会)は県防災会議の報告を受けて本市の防災の取り組みについて、特に海抜ゼロメートル地帯である三河湾側における津波避難ビルなどのハード・ソフト対策について質問した。

 危機管理監は「既に50ヶ所の民間や公共の施設を津波避難ビルとして認定し、新たに津波防災センターの建設に向け計画を進めている」と答えた。
また、海岸堤防については県により、吉前・神野新田地区の堤防沈下対策事業が行われており杉山地区の事業化についても要望を行っているとした。

 災害はまちがいなくやってくる。臨戦態勢で、市民の命を守るために政策を総動員すべきだ。

■地域格差

 中心市街地と郊外地域との格差について問題提起したのは田中敏一氏(自民)

 企画部長は「中心市街地には都市拠点として必要な機能を集約し、郊外地域では日常生活の核となる地域拠点を中心に地域特性を生かしたまちづくりを行ってきた」と答えた。

 田中氏は更に格差意識への対応について聞いたが、「地域住民の格差と感じる意識が少しでも小さくなるように努めていく」と答弁は抽象的。そのために不可欠なのは公共交通網と情報通信インフラではないのか。

■総合動植物公園

 中村竜彦氏(自民)は駐車場料金や、遊園遊具の低料金化、売店・レストランなどのリニュアールした影響について取り上げ、来園者100万人戦略について聞いた。

 当局はこれらの取組でむしろ集客増に結びついているとし、今後も継続的な魅力度の向上に努めていくとした。

 また、100万人を達成するために質の高いサービスを提供していくとともに、戦略的なプロモーション活動を展開していく事が重要であるとしているが、その具体策として、週末夜のナイトガーデンやエサやり体験では説得力が弱い。

■人口減少社会

 伊藤篤哉氏(自民)は人口減少社会に、地域外から「人・モノ・資金」を呼び込むための方策や若い世代を惹きつける取り組みについて質問した。

 企画部長は「ええじゃないか豊橋推進計画」の見直しなどで定住人口、交流人口の増加につなげていきたいとし、「子育てにやさしいまち」を築き、若い世代を惹きつけたいと答えたが、抽象的。政策は具体的でなければならない。

 「市民総踊り2万人が頓挫している」と聞くが、思い付きのような計画を「プランプラン」という。

■余裕教室

 地域コミュニティの核とした学校施設における余裕教室の利活用について取り上げたのは星野隆輝氏(まちフォーラム)。

 教育部長は「余裕教室は小学校で164室、中学校では119室あるとして、少人数指導や外国籍児童への対応などに有効に利用し、放課後児童クラブでの活用も行われている」とした。

 星野氏は教育の場としての学校と、ファシリティマネージメントの観点からの施設運営のあり方について言及したが議会人としての研鑽の跡がうかがえ、頼もしかった。


  地方議会はこの数年、「議会基本条例」や「議会報告会」、インターネット中継などで「開かれた議会」めざして改革に取り組んできたが、開いたことによって露呈した議員の意識と住民意識とのズレ、議員の常識と世間の常識とのズレが、昨今の議会不信を招いている。

 議員諸氏は「市民の皆さんの声を届けるために再び市政壇上へ押し上げてください」と来春の市議選で叫ぶのであれば、それにふさわしい普段の努力が今ほど要請されている時はない。

 市民は見ている「おらがまちのセンセイ」の言動を!

(愛大地域政策学センター研究員)


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