9月定例豊橋市議会一般質問が8日から三日間行われた。
同日から始まった新城市議会の冒頭、質問に立ったある議員が「人口の大都市流出に歯止めをかけるダム装置として地方中枢拠点都市論があるが、豊橋市にその役割を期待したい」と発言した。そのような熱い思いに当の豊橋市と豊橋市議会が応えているのかどうか、一般質問を注目した。
■人事評価
廣田勉氏(まちフォーラム)は地方公務員法改正に伴う人事評価のあり方について質問した。
地方公務員に能力本位の任用制度と人事評価制度が導入されるという事であるが、企業社会では当然のことが、公務員の世界にもやっと標準化されてきた。
廣田氏は地域貢献度を人事評価項目に入れるべきと主張したが当然である。
自治会役員の側から見れば、毎年この時期に避難所要員の顔合わせがあるが、顔合わせしなければならないような関係でいざという時に円滑に運用できるのかと疑問に思う。もっと日常から住民として地域活動に積極的に取り組むべきではないのか。住民が汗だくで資源回収しているそばで、市職員が散歩している姿は何かおかしくないか。
■市民後見人
判断能力の不十分な方の権利擁護のために、家庭裁判所の決定を受け、本人に代わって契約等の行為を行う成年後見人の担い手が親族後見人から、専門職が貢献を行う第三者後見人への比率が高まっている中で、市民後見人の育成に力を注ぐべきと主張したのは牧野英敏氏(有志会)。
急速に進む高齢化の中でどのように人材を育成し、制度利用に結びつけるかは、認知症対策と並行した重要課題である。
■広域連合
杉浦正和氏(自民)は設立へ準備が進む東三河広域連合の執行機関のあり方について質問した。
企画部長は構成する8市町村の長のうちから、間接選挙で執行機関の長として広域連合長を置き、補助機関として副広域連合長、事務局長、事業部及び課室を置きたいと答弁した。
杉浦氏は「単に共同処理事務を行うだけでなく総合的な広域連合を目指すべきだ」と議論を展開したが、住民説明会でも感ずる事だが、抽象的な言葉ばかりで具体的なイメージがなかなか湧いてこない。スタートして4、5年経たないと住民には分からないことなのだろうか。
■土砂災害
芳賀裕崇氏(まちフォーラム)はゲリラ豪雨等大規模自然災害への対応について質問した。広島市の惨状を目の当たりにした夏だけに、注目の質問だった。
消防長は校区住民全てに発令していた避難勧告を町内毎に発令していく方式に改めるなど改善しているが、国においても新しく特別警報制度もできており、「市民の安全を第一として空振りを恐れず対応していく」とし、市民にも日頃から「命を守る」備えを要請した。
■赤ちゃんの駅
沢田都史子氏(公明)は2010年11月の制度スタート以来84ヶ所に拡大された赤ちゃんの駅の進捗状況と課題について取り上げた。
この制度は沢田氏自身が4年前に導入促進しただけに、千葉県柏市まで「地域防災計画」を調べに行ったのであれば、市内の赤ちゃんの駅を回って、利用者の声を聞きながら、自らの足で課題をまとめるくらいの努力をすべきでないのか。現場主義とはそういう事を言うのでないのか。
■消防活動体制
8月末に市が示した南海トラフ地震における被害予測調査結果に基づいて、特に発災時の消防活動体制について向坂秀之氏(豊隆会)が質問した。
消防長は「人的・社会的被害を最小限に食い止めるために、一般車両にも小型動力ポンプを積み込み消防隊を編成し、消防団と組み合わせ順次火災現場に投入する計画である」と答えた。
しかし、消防本部はこのような緊急性のある活動の訓練を一回でもやったことがあるのだろうか。やったこともないことを、本番でできるはずがない。取り組みが甘くないか。
■武道履修
堀田伸一氏(豊隆会)は6年前に改定された「新学習指導要領」で中学一年、二年時に「武道」を履修することになり、特に問題となった「柔道」を選択した場合の安全管理などについて聞いた。
教育長は9校で柔道を行っており、市が独自に策定した「安全な指導のための指針」に基づき、豊橋柔道会の協力のもと、指導者講習会を開催して、安全対策に努めているとし、重大な事故は起きていないとした。
(愛大地域政策学センター研究員)