地方政治クリエイト 14/09新城市議会傍聴記

新城創成へ、多角度から議論

 9月定例新城市議会一般質問が8日から二日間行われた。最初の質問に立った山崎祐一議員が「先の6月定例会で同僚議員の不適切発言がありました。二度とこのようなことがないように最大限の注意を払って臨みたい」とした。汚名挽回の一般質問を注目した。

■新城創成

 安倍政権は「日本創成」に向けて具体的に踏み出した。この時に「消滅可能性都市」とされた新城市はどう「新城創成」を図っていくのかと切り出したのは山崎祐一氏。
 山崎氏は「独居世帯」が増えてきて行政が踏み込めない領域であることや、国の都市計画法や農振法の見直しの動きなどから問題提起し、人口減少時代の土地利用のあり方について言及した。

 山崎氏は「広域連合について」「新たな災害について」も質問したが重要テーマを並べ、「時間の関係で」消化不良で終わったのは残念。

■産廃対策会議

 白井倫啓氏は新たに設置に至った産廃対策会議から産廃問題の論陣を張った。傍聴席には関係住民の多くが見守った。

 「進出には反対するが、事業者との話し合いは行っていく」との決議がなされ、住民、事業者、行政が話し合い、情報を共有し課題を明らかにしていく産廃対策会議を設置することになった経過が答弁された。
 白井氏は、法律に基づいて産廃問題が動く以上、法律で対応を迫る以外にないが、買戻し特約の経過のなかに、県企業庁、市の説明責任があいまいになっていると「期間入札の公告」を盾に厳しく迫った。

■地方再生拠点

 新城市が「消滅可能性都市」のレッテルが張られているなかで、計画している新庁舎は3階建30億円計画が市民私案として出てきたがどうかと迫ったのは加藤芳夫氏。
 転入よりも、転出が多く、特に若い世代が転出していることから若い世代が住みにくいまちになっていないかと問題提起し、5階建50億の庁舎建設を立ちどまって見直せと迫った。

 市長は「今までの庁舎関連議案に加藤議員は賛成してきたのではないか」と切り返し、「新庁舎は増加する行政需要に応え、地方再生の拠点づくりだ」と毅然と跳ね返した。

■大規模災害

 柴田賢冶郎氏は広島での土砂崩れ災害を教訓に、予想を超える大規模災害への対応について質問した。

 柴田氏が問題視した「ブラインド訓練」について消防長の明快な答弁に比べ、「議員が言われる訓練に該当するのかどうかわからないが」と答えた総務部長のあいまいさは、何のために答弁に立ったのかわからなかった。

■子ども・子育て

 小野田直美氏は来年から始まる子ども・子育て新制度について、新城市の実情に応じた独自の体制を作り上げていくべきだと主張した。
特に児童クラブや3才未満児保育、病児・病後保育などについて問題点を整理して、詰めていった。

 豊富な子育て経験からのきめ細かい質問は好感が持てた。

■産業力強化

 地域発展の原動力には産業力の強化が重要であるとして、基幹産業の継続的な形成、地域内循環経済の形成について質問したのは村田康介氏。

 企業家精神にあふれた地元企業を育てていく事が肝要として、その環境づくりを提案していたが、行政をあてにし、補助金に頼った企業は発展しないことは歴史が証明している事を明記しておく。

■警戒区域指定

 鈴木眞澄氏は全国で起こっているゲリラ豪雨被害が新城でも起こり得ることを危惧するとして、そのポイントとなる土砂災害警戒区域はどのように指定されているかを質問した。

 鈴木氏は最近雨が降ると豊川が土色で濁ることを紹介しながら、上流域から起きてくる土石流の構造から、現況調査のあり方について言及していたが、新城の特に山間部を足で歩いた質問は重みがあった。

(愛大地域政策学センター研究員)


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