地方政治クリエイト 14/06豊橋市議会傍聴記

明日の豊橋へ、一期生が相次ぎ登壇

■文化振興

 小原昌子氏(豊隆会)は文化振興のあり方について質問した。国で「文化芸術振興基本法」が、同時期に「豊橋市文化振興指針」(文化がみえるまち豊橋)が策定されて13年。時代の大きな変化の中で改定への考え方や次世代の担い手育成について言及した。

 毎日の為替レートや株価が第一義となって経済にすがり、「成長戦略」に依存して生きる今の社会は寂しい。経済成長よりも大事なものを見失わない豊橋のまちづくりを文化振興の面から議論する―一般質問にそういうストーリー性と自己主張が欲しい。

■公共施設

 日本創生会議が発表した人口減少の深刻な状況から、将来を見据えた公共施設のあり方を質問したのは向坂秀之氏(豊隆会)。

 人口減少の中で公共施設のあり方がどのように変化すると考え、それにどのように対応していくべきなのか。そのための尺度は何か。施設維持に係るコストがどのように財政に影響してくるのか。その事を如実に示す貸借対照表などの財務諸表から、議論を展開していく・・。そういう勉強を積み重ねて、議論に厚味を増してほしい。

■熱中症対策

 熱中症対策を取り上げた市原享吾氏(豊隆会)。熱中症が起こるメカニズムから予防法、周知方法を論じたが、今世紀末には年平均気温が3.5〜6.4度上昇し、海面は60〜63a上昇し日本の砂浜の85%が無くなり、今世紀半ばには暑さが原因の死者数は2倍以上に増加するという警鐘をどのように地方行政で取り組んでいくのか。

 今月は環境月間でもあり身近な「熱中症」から議論を展開していただきたかった。

■豚流行性下痢

 山田静雄氏(自民)は昨年秋から豚流行性下痢が発生し、本市においても9例の発生があり、死亡頭数は1710頭。

   その養豚農家経営の影響や、まん延防止策、収束の見通しなどを取り上げたが、それだけでなく豊橋での過去二度にわたる鳥インフルエンザでの経験がどう生かされたのかについても取り上げた。市政に起きてくる事象への対応に歴史の教訓に学び、生かしていくという姿勢は好感が持てた。

■施設の方向性

 都市計画運動公園と避難所等諸施設の現状と将来の方向性について取り上げたのは近藤喜典氏(自民)。
 時代のニーズや様々な災害に対応するために公共施設の統廃合、複合施設化の必要性を後期基本計画のなかで的確に対応していただきたいが質問の主旨なのだろう。
 ならばハード、ソフト、政策面からの問題点を現場から積み上げてこないと理事者側の答弁をそっくりそのままキャッチボールしていても議論は深まらない。

■土地利用

 豊橋市は261平方キロメートルの広い面積を有するが、市街化区域はその23%にしか満たない。
 尾崎雅輝氏(自民)は人口減少と高齢化の中でコンパクトシティへの集約型都市構造を進める時代になってきたが、市街化調整区域における地域拠点を中心にした住宅地の確保などの適切な土地利用はコミュニュティの維持、持続可能なまちづくりの重要な要素であると持論を展開した。

 新所原駅周辺の湖西市の市街地開発と豊橋側の調整区域ゆえの開発の比較は土地利用の問題点を如実に示して説得力があった。


 三日目の一般質問は図らずも一期生議員の競演となった。市議選を来春に控え、これからは一期4年間の仕上げの一年となっていく。同時に、明日の豊橋市政を担う12人の一期生議員の真価が問われていく。それは、そのまま明日の豊橋の発展と無関係ではない。 心して、勉強を!

(愛大地域政策学センター研究員)


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