■まちづくり
伊藤篤哉氏(自民)は中心市街地活性化に向けての新たな取り組み―豊橋駅西口エリアが区域設定されたことや駅前大通二丁目地区再開発事業での「まちなか図書館」「まちなか広場」の整備事業について取り上げた。
伊藤氏は西口エリアについては「医療と健康・体育のまち」などのイメージを語り、「まちなか図書館」については「ここにこ」「プラット」と結ぶ「知」のトライアングルと意義付けるなどいささか独断の先走り感がないでもないが、議会選出監査委員に徹した一年間の空白を書き消すような熱い思いが詰まっていた。
■広域連合
斎藤啓氏(共産)は4月23日に東三河8市町村長の連名で「合意書」が発表され、12月定例会で広域連合規約の議決を経て、年明けにも県の設置許可を得、来年4月から事業を開始するとする広域連合について、住民からの要望もなく、推進することの是非についての意思表明もなされていないのに拙速すぎないかと食い下がった。
企画部長は広域連合が権限の委譲を受け主体的に行うことで東三河の地域力と自立力の向上につながるとし、12月議会で予定される8市町村議会での規約の議決が住民意思の確認になるとした。
■地方分権改革
93年の衆参両院の「地方分権の推進に関する決議」から20年。「これまでの地方分権改革における豊橋市の総括」について質問したのは星野隆輝氏(まちフォーラム)。
99年の中核市移行、保健所設置をはじめ2600件もの事務権限の委譲などを通じて地域の自主性の向上に貢献し、鳥インフルエンザのような深刻な事態も乗り越えてきた経過を踏まえ、更なる分権改革のために高い政策立案能力を有する職員の育成について論を展開した。
一期生議員が地方政治の根幹に挑む姿は頼もしい限り。
■まちなか図書館
渡辺則子氏(市民会議)は3月末に国の認定を受け、現在、整備基本計画策定委託業務に向け公募型プロポーザルが進行中のまちなか図書館と賑わい創出について問題提起した。
「にぎわいや観光用としての図書館はファッションであり、短命です。落ち着いた豊橋にふさわしいまちなか図書館は持続可能な教育文化施設として長期にわたり情報発信する図書館として取り組んでいただきたい。
その結果としてにぎわいが生まれるのです。そのためにも中央図書館を中心に既存図書館の有機的ネットワーク構築が重要です」。
図書館活動を自らのライフワークにしてきた渡辺氏の主張は、納得できるものである。
■児童クラブ
「私がこの問題を取り上げようとしたのは今年、自分の息子が小学一年生になり、ひとり親家庭の方や、共稼ぎ家庭の保護者の方との対話の中でこれまでの保育園とのギャップや将来への不安などを、まさに我が事として共感したからであります」と切り出し、放課後児童クラブの開設時間の延長と夏休みなどの長期休業中の利用の充実を求めたのは中村竜彦氏(自民)。
ともすれば抽象的な議論に陥りがちな一般質問で、生活現場からの問題提起は新鮮な説得力があり、子育てを男性の側から論ずる事に大きな意味があった。
■認知症対策
古関充宏氏(豊隆会)は超高齢社会をめぐる諸課題の中で認知症高齢者の状況と対策について問題視した。
福祉部長は豊橋市では約12500人の要介護認定者の内、約6割の方が認知症の症状を有していて、認知高齢者を地域の人々と共に支えていくために市独自の施設居住費負担軽減サービス事業を行い認知症対応型のディサービスやグループホームの整備を進めているとした。
古関氏は認知症が原因で行方不明になった人が12年に9607人に上り、死亡して見つかった人は359人いるという深刻な実態から認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けられる体制整備を強調した。
(愛大地域政策学センター研究員)