地方政治クリエイト 14/06豊橋市議会傍聴記

地方議員の白熱の論戦を期待

 6月定例豊橋市議会が始まった。6月8日には豊橋市民球場で「ルーズヴェルトゲーム」の観客エキストラとして参加していたが、何度も何度も繰り返す撮影シーンにプロの仕事の流儀を教えられた。地方議員を職業とする議員諸氏の白熱の論戦を期待したい。

■ごみ減量

 レジ袋が有料化になって一年、またビンカンボックスから資源物を持ち去る行為を禁止する条例が施行されて半年。その効果について質問したのは牧野英敏氏(有志会)。  環境部長は約278dのレジ袋の削減につながり、ごみ減量、二酸化炭素排出の抑制など一定の成果があったとした。資源持ち去り禁止については、条例施行後半年間でアルミ缶が60d増加し、売却額も766万円増えたとした。
 牧野氏は「レジ袋有料化にとりくんでいない業者との客の争奪戦が行われていることや持ち去り行為者は生活困窮者が多く、社会参加に向ける施策の展開」を強調した。

■人口急減社会

 沢田都史子氏(公明)は日本創生会議が発表した人口減少問題、特に若年女性の減少について取り上げた。
 企画部長は豊橋市でも20歳から39歳の女性の人口は2040年には2010年に比べて約3割減少するとして、改めて若者や女性にとって魅力あるまちづくりの重要性を確認した。
 沢田氏は政策を総動員して危機感を持って取り組むべきだとしてその核となる行政組織が必要であると迫ったが、当局は「総合計画に掲げた目指すまちの姿の実現に取り組む」とかわした。

 むしろ、愛知県内では消滅可能性が高い7市町村の内4市町村が東三河に集中していることから、東三河広域連合の大きな役割として、議論を深めていただきたかった。

■入札制度

 寺本泰之氏(紘基会)は今回も入札問題を取り上げ、「公正な競争のもとに、安価で高品質な公契約がなされるべきであり、昨年6月より試行中である低価格失格判断制度は速やかに取り下げるべき」と主張をした。

 財務部長は「地方自治法施行令」に従い低価格入札による品質の低下、労働環境の悪化を未然に防止するために、入札結果を検証しながら継続するとして、平行線のまま終始した。

■広報・情報戦略

 多様化する市民ニーズに対応した市政運営のために、広報力や情報発信力が不可欠であり、そのことによって市民満足度の向上、市民参画につながると持論を展開し、「広報戦略プラン」の策定を提案したのは山本賢太郎氏(自民)。
 その柱である「広報とよはし」と市ホームページのどこをどのように改善すべきかを具体的に議論しないと単なる「自治体の広報戦略論」に終始してしまう。

■地震被害想定

 松崎正尚氏(自民)は3月の国の津波対策特別強化地域指定や5月の愛知県防災会議の被害想定公表を踏まえ今後の対応について聞いた。
   危機管理監は被害予測を踏まえて、年度末をめどに「豊橋市地震対策アクションプラン」を策定し、市民にも「防災ガイドブック」として配布し、広報していくとした。特に堤防の沈下予測を重要視し、静岡県袋井市の取組みを紹介しながら改めて津波避難タワーやエスケープヒル(命山)の重要性を提案したが説得力があった。

■公契約条例

 廣田勉氏(まちフォーラム)は豊橋市においても昨年度一年間の一般競争入札664件のうち80件の入札不調があったことや、委託業務での落札コストが下がり続ける現状が労務単価や労働条件の悪化につながっている現状。
 また指定管理者制度やPFI事業が民間活力による住民サービスの向上と経費節減の目的が果たされ、かつ適正な管理運営がなされているのかなど公契約のあり方について問題提起した。

 地方自治体を取り巻く新たな管理手法や民間資金の活用手法の問題点を精査し、その上で「公契約条例」の制定の必要性を説いていく展開は俊逸だった。

■産業振興

 佐藤多一氏(自民)は地域が持続的に発展していくためには、地域資源の自給率を高める産業の振興が重要であるとして、新たな産業としての農業の振興と新規就農を目指した人材育成、新たな木材需要の創出、木造建築に対する人材育成などを取り上げた。

 佐藤氏は四期目のいわゆるベテラン議員であるが、毎回毎回登壇し、一般質問に取り組む姿勢は特に一期、二期議員は大いに見習ってほしい。

(愛大地域政策学センター研究員)


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