地方政治クリエイト 14/06田原市議会傍聴記

半年後の改選に向け、総仕上げを

 6月定例田原市議会一般質問が9、10日に行われた。今回は19人の議員の内7人が一般質問に登壇したが、改選を半年後に控え議員活動の総仕上げの面からは寂しい議会となったのは残念である。

■地域包括ケア

辻史子氏(公明)は子ども・子育て支援体制と地域包括ケアシステムについてとりあげた。
 認定こども園の拡充、渥美病院を拠点とした医療介護の連携などの議論が行われたが、田原市には田原市の地域特性からの施策が必要となる。ましてや、地域包括ケアの“地域”とは中学校区単位ぐらいに狭められて考えられている。それだけに地域課題を現場から積み上げる作業があれば、もっと説得力のある議論になるのではないだろうか。

■学校再編

 鈴木義彦氏は津波対策が追い風となって小学校や中学校の再編議論が進むなかでその基本方針、新設小学校の位置やそれに伴う地域コミュニュティのあり方などを問題提起した。
 「旧町(赤羽根町と渥美町)の境を越えた考え方」などを提案する鈴木氏と地元の意向を尊重するとしながらも地元の意見の集約には様々な要素が絡み合うだけに、教育部長が慎重に答えている姿から教育委員会の苦労がうかがえる。
渥美半島の一体化はこうした議論の積み重ねの中から生まれてくるのだろう。

■女性参加

 地域活動における女性参加の取組みについて質問したのは長神隆士氏。
 婦人会の解散などで女性の自治会参加が少なくなって、地域課題に女性の視点が反映されなくなってきていることの具体的な事例を中心に議論がなされると女性の自治会活動への参加促進の糸口が見いだせたのではないだろうか。

■行政改革

 牧野京史氏は「人口減少時代には資源配分の最適化が、今ほど求められる時代はない」と田原市土地開発公社の存在意義、指定管理者制度のあり方、市債の償還計画などから掘り下げ、行政評価のあり方について論及した。
 未利用地や公共施設のファシリティマネジメント、全会計で372億円の市債と7億円余の金利、公共施設の維持費の資金調達、行政評価の客観性などについて自治体経営の面から問題視したが、これらを踏まえた公会計改革にまで議論を進めていただきたかった。

■景観行政

「田原市景観基本計画」が作成されて一年、その成果について質問したのは太田由紀夫氏。
 豊かな自然や歴史資源、活力のある産業群が至る所に分布している田原市のまちづくりにとって、景観行政がどのような役割を果たしていくのか、そのために必要な市民、事業者、行政の責務についてよく整理されていて、わかりやすかった。

■南海トラフ

 杉浦文平氏(無所属クラブ)は国が3月末に発表した「地震防災対策推進基本計画」により「津波避難対策特別強化地域」に指定され、それを受け愛知県も被害想定を発表したことからその防災対策について聞いた。
 最大クラスの、また発生頻度の高い地震を想定して発表された県の被害想定では、田原市の想定死者数は人口の2%以上約1500人に上り、真剣で丁寧な取り組みが要請される。
 杉浦氏は、津波による浸水の上に75%の堤防沈下による浸水も想定され、老朽化した海岸堤防対策などが遅々として進んでいないことなどを指摘した。

■自転車の安全

 赤尾昌昭氏は自転車に関係する交通事故による死傷者が市内で毎年30人前後あり、自転車は車両であり、加害者にも被害者にもなりうることから自転車に係る交通安全の取り組みについて取り上げた。
 学校によっては休日でもヘルメットの着用や、横断歩道は自転車を降りて歩いて渡ることを義務付けたりしている。
   また無事故無違反ラリーなどに取り組んでいる学校もあり、これらの取り組みを市内全域に徹底できないかと提案した。

(愛大地域政策学センター研究員)


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