地方政治クリエイト 14/06新城市議会傍聴記

持続可能へ政策総動員

 6月定例新城市議会一般質問が18日から3日間行われ、16人が登壇した。日本創生会議が発表した消滅可能性都市情報が大きな波動を起こしています。そのなかに愛知県内の市で一カ所だけ名指しされた新城市。その衝撃が議会と議員に緊張をもたらしています。

■持続可能

 「新城市は将来にわたって持続可能か」と切り出した山崎祐一氏。多角度から政策を総動員して、若者、特に若い女性に好かれ、定着できるまちづくりを主張した。
 当局も新城市の人口は今年4月で49475人、9年前の新新城市発足時より8.1%減少し、特に20歳〜39歳の女性が19.5%減少しているとした。

 山崎氏は「ピンチをチャンスに」と幾つか大胆な提案をした。そのなかに、高等教育の可能性にも言及したが、新城大谷短大がわずか12年で閉学した事実から見てもその道は険しい。

■防犯カメラ

 長田共永氏は市内に防犯カメラの設置を要請した。「新城に防犯カメラが必要なのか」と議論を注視したが新東名の開通などにより新城の地域情勢が大きく変化してきていることもあり、プライバシーよりも多様化、スピード化する犯罪抑止の方向に動いていることを印象づけた。

■「道の駅」用地

 加藤芳夫氏は来春の新東名開通に合わせて整備が進められている「道の駅」の土地取得から開設に向けての動きについて質問した。
 特に、平成15年に土地開発公社が先行取得した時点での単価設定の根拠、2億3500万円もの増額補正を行ったこと、事前調査で効果が疑問視された足湯の導入に至った経緯などを問題視した。

 こうした微妙な問題が議会で議論される時に、理事者側は、充分精査し簡潔明解に答弁し、市民の間に少しでも疑問符が残ることを避ける努力をもっとすべきでないか。

■児童クラブ

 耐震に問題がある4ヶ所の児童クラブの代替施設の調査と検討について3月議会以降の進捗を取り上げたのは小野田直美氏。

 所管である子ども未来課と教育委員会の協議がこの間になされていないことについて「子どもたちの命を守るためにも、早急に対策を図るべきだ」とキッパリ。自ら何度も現場に足を運んでの質問だけに歯切れが良かった。

■高齢者対策

 鈴木眞澄氏は一人暮らし高齢者対策としての緊急通報システム、孤立し、ひきこもりがちな高齢者のための見守りの仕組みづくりなどについて質問した。
インターネットも、携帯電話も利用できない高齢者の見守りを地域任せでは事は進まない。鈴木氏は茶の間のテレビの利用を提案したが、具体化にこぎ着けてほしい。

■アマ無線

 デジタル時代だからこそアマチュア無線の情報伝達力が不可欠として、その利用促進について議論したのは山口洋一氏。
自らも無線許可を持ち、経験に裏付けされた提案は説得力があるが、消防本部はその重要性は認めながらも広い新城市内をカバーするための連携の仕組み作りは机上の抽象論に終始した。

■広域連合

 浅尾洋平氏は東三河広域連合に反対する立場から4月に「合意書」を交わしたことなどを問題視し「広域連合により、新城市や奥三河の人口減少に歯止めをかけられるのか」と食い下がった。
 穂積市長は「12月に予定される8市町村議会での規約の議決が住民の総意にあたる」とし、また「広域連合は人口減少時代の行政機能を維持し住民を守るためのものである」とキッパリ。

■人材育成

 打桐厚史氏は魅力あるまちづくりは職員人材育成が最大のポイントだと持論を展開した。
 「最高の市民サービスを提供できる職員集団をめざして取り組んでいる」とした優等生答弁に対して、突っ込んだ議論にするための分析力を身につけてほしい。

(愛大地域政策学センター研究員)


ホームページに戻る 東日新聞記事 議会傍聴メニュー