地方政治クリエイト 14/03田原市議会代表質問傍聴記

議会力の向上に切磋琢磨を

 田原市議会3月定例会は2月27日に開会、3会計総額466億1590万円に上る14年度当初予算案などを上程した。
 鈴木克幸市長は、予算大綱などを説明し、新年度予算の重点施策として@地域の安心安全の向上Aふるさと人材の育成B地域の活力創出C快適で賑わいのある市街地づくり―の4つを掲げた。

 これを受けて3月3日、代表質問が行われた。


■将来を見据えて

 田原新生会を代表して眞木正五氏が登壇し、平成26年度予算案について質問した。 合併後10年、交付税算定替えが行われえることから税収見通しと財政運営について。
 田原氏の産業の中心は農業であり農業大学校や農業専門学校の必要性や「花き振興法案」提出の動きもあり、花き国際園芸博覧会の誘致などについて質問、提案した。

 鈴木克幸市長は税制改革大綱については、地方法人市民税の依存度が高い田原市にとっては歳入減になり、一方的に行われたことは遺憾とした。

 景気動向により市税収入増のめどが立ったことから積極型予算編成につながり、投資的経費が17.7%となり東三河五市の中で一番高い予算となった。

 合併による地方交付税の特例措置が14年度から徐々に減少し、7年後には4億円程度となり、30億円の減少が見込まれているが、来年度の交付税算定から合併市町村の事情を踏まえて検討されると聞いており、一定の財源措置がなされると期待している。

農業大学・農業専門学校については市町村が担うには、負担が大きすぎる、広域で対応すべきだ。花き生産については「日本一花の生産地から、日本一花を贈る街」に取り組んでおり、「花き振興法案」が今国会で提出される予定であり、期待している。国際園芸博については、国・県と連携して取り組んでいくとした。

■高邁な教育議論

   田原市民クラブを代表して彦坂久伸氏は市の施政方針について多角度から質問した。

 最初に伊良湖―師崎間のカーフェリーの廃止発表は観光プロモーションの懸念材料であり市長の見解を聞いた。
 また、2025年問題‐生産人口減少時代に備える対応について聞いた。さらに、広域連合についてハードルは越えられるのか、その結論はいつかなど質問した。

 鈴木市長は答弁に立ちカーフェリーの航路廃止は名鉄側から一方的になされたことは遺憾とし、「県・南知多町と連携して存続要望に取り組む」とした。
 2025年問題については「地方にとっては大きな課題であり、医療・介護の連携により一体的に提供できる仕組み作りに取り組んでいく」とした。
 広域連合は、規約や予算の新年度中の議会議決に向け取り組んでいるなどと答えた。

 また彦坂氏は教育の諸課題について多くの問題提起をしたが、嶋津隆文教育長が答えた。
 「教育改革は百年の人づくりそのものである。これは米百俵の精神だ」とする彦坂氏の教壇経験に裏打ちされた問題提起と、田原の教育の歴史を大切にし「未来は今にある」とする教育長との真摯な議論は教育への熱い思いが交錯した卓越した時間だった。

 豊川、蒲郡、そして田原と各議会の代表質問を傍聴し取材してきたが、これだけ整理され、中身のある質問は初めてであった。


 市政10周年を記念した三河田原駅や新給食センターなどの大型事業が完了して、未来を見据えて、次の10年に向かう田原市。
 議会も昨年末、20人中17人の最大会派が細かく分裂した。これを契機に議員が切磋琢磨し、次の時代を切り開くエネルギーに変えていただきたい。

 代表質問は17日の豊橋市議会に移るが、ティーズでの中継を始め、FM豊橋でも実況中継され、解説させていただきます。(愛大地域政策学センター研究員)


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