地方政治クリエイト 14/03新城市議会代表質問傍聴記

穂積戦略はいよいよ実段階

 新城市議会は2月26日開会、3期目に臨む穂積亮次市長が新年度の施政方針及び予算案大綱説明を行った。

 一般会計226億円余を始め、総額441億2994万円の予算案は、市役所新庁舎建設や新東名IC周辺整備、作手地区総合整備を具体化させ、施策・事業を堅実に実施する財源構成となった。

 また、地域自治区制度が初めて予算編成され、市民協働の具体化に踏み出した意味は大きい。

 開通目前の新東名周辺整備や道の駅「もっくる新城」、企業誘致対策やインフラ整備、地域医療充実、子育て・教育支援などを行い、少子高齢化が著しい同地域の活性化を目指す。
これを受けて10日、会派制をとらない新城市議会では議会代表質問の形で3常任委員会の委員長が登壇した。

■総務消防分野

 下江洋行氏が予算大綱の中から市民自治社会創造、自立創造、安全安心の角度から議論を展開した。

 その中で地域自治区制度の定着と拡充に向けて穂積亮次市長は「自治基本条例、自治区制度の定着を図り、合併10周年の時に市民憲章を発表できるように取り組んでいきたい」と答え、「穂積戦略はまだまだこれから」を印象づけた。

 また東三河広域連合については、「地方分権の受け皿として、また高齢社会を乗り切るためにも、今年中には規約を8市町村議会で議決できるよう取り組んでいく」とし、8市町村の住民の総意として進めていくことが重要であると強調した。

 公共施設マネジメントについては、下江氏が提案した「公共施設白書」の作成に取り組んでおり、公共施設の適正配置、適正管理に取り組んでいくと答弁した。

■厚生文教分野

 中西宏彰氏が地域医療体制の充実や教育方針について質問した。

 市民病院の常勤医師が23名まで確保できてきたことを明かし、地域医療を担う医師を育てることに意を注ぎたいともした。また出産可能体制については、まだまだ厳しい状況にあることも明らかにした。

 新城版こども園発足時の保育料の無償化について市長は財源確保のめどが立てば踏み込みたい。無償化の意志は変わらないと答えた。

 中西氏は教育方針で和田守功教育長が提案した教育基本法の学習についても質(ただ)した。
 和田教育長は「それは、日本の教育の原点を確かめ、国の教育の動向に適切な判断をもっていただきたいから」とキッパリ答弁し、国レベルで考えられている教育委員会制度改革に疑問を投げかけ、新城教育の象徴である「共育」の充実に全力を傾注する強い決意を示した。

■経済建設分野

 滝川健司氏が新城インターの周辺の道路整備、観光施策について取り上げた。

 合併以後、観光PRに努めてきたが、成果は不十分であり奥三河との連携を含めた観光戦略や「全国さくらシンポジュウム」について聞いた。

 市長は道の駅は奥三河観光ハブステーションの役割も担っており、広域観光戦略を展開したいとし、「さくらシンポ」に併せ、桜淵公園の改修に取り組み、二度目の同イベントを盛り上げていくとした。

 また滝川氏は新城南部企業団地への企業誘致に関連して、新たな政治課題になってきた産廃中間処理施設について問題視した。
 南部企業団地は製造業、物流業を優先しており、産廃業者の進出は賛同しかねると答え、同企業団地の立地の良さを前面に地域産業振興に取り組む決意を示した。


 折りから、市役所ロビーで「南海トラフ巨大地震のパネル展示」が行われていたが、無造作に針金でパネルが吊り下げてあり、居合わせた市議に話したら、「他所から来た人はこういうところが目につくのですね。新城の人は気がつかないんですよ」と言って、急きょ、職員によって修繕作業がなされた。

 新城IC開通と同時に多くの観光客を迎えたいというのなら、このような「新城のだささ」から抜け出さないと流入どころか流出で地域は埋没していく。その危機感が乏しいのでないか。

 第二東名が御殿場から三ヶ日まで開通して2年、私たちは8つのICの内いくつのICで乗り降りしただろうか。

(愛大地域政策学センター研究員)


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