地方政治クリエイト 14/03蒲郡市議会代表質問傍聴記

60周年を意義付ける議会の役割

 2月21日、稲葉正吉市長は2014年度の予算大綱説明を行った。  新年度は、市制施行60周年の節目の年であることから「先人の知恵と努力によって築かれた歴史と文化に感謝し、60年のあゆみを次の世代に引き継いでいくとともに、子どもたちが夢や希望をもって未来に向かって前進していける環境づくりを進めなくてはならないと考えております」と活気や元気のある蒲郡の実現に向けた意気込みを話した。  そして、新年度の重点施策は、@堅実な行財政運営A安心してお産・子育てのできるまちづくりB働く場の確保・産業の振興C市民病院の安定経営と住みやすいまちづくり―の4点を掲げた。  これを受けての本会議代表質問が3日、行われた。

■経験と重み

 最大会派蒲郡自由クラブの鎌田篤司氏は「予算大綱」や「堅実な業財政運営」について質問した。

 その中で市制60周年記念事業として開催する藤原俊成卿生誕900年「蒲郡のあゆみ」については、俊成卿は「蒲郡開発の祖」であり冷泉家と蒲郡との深い縁などは蒲郡ならではの歴史でありしっかりPRし、丁寧に行うことを要請した。

 また新規漁業就業者支援事業については蒲郡の漁業がこの23年間で漁師が23%減の185人、漁獲高が76%減の13億円という深刻な事態を打開するために、意欲的に取り組む市の姿勢を評価しながら、受け入れ漁家などを尋ねた。
 蒲郡には県下唯一の水産高校もあり、漁業の高付加価値のための議論をもっと掘り下げていただきたい課題である。

 鎌田氏は七期の重鎮であり、中部ペンクラブ会員として、また「蒲郡地名考」などを著わし歴史に造詣が深いだけに、発言に重みがあった。

■PDCAは質問者にこそ

 公明党蒲郡市議団を代表して伊藤勝美氏は、市長が掲げる4つの柱の目標を達成するための主な事業について質問し、次に各事業の具体的内容や期待される効果などについて質問し、次に各事業が実行されていく過程で、どのように評価されていくのかを順次質(ただ)した。

 「各施策の期待される事業効果は、そのまま施策の目標であり、そのためにPDCAサイクルを回して、目標達成=事業効果を着実にあげていくべきであり、意識改革がポイントである」という持論から「質問の仕方に工夫をした」という。

 そうであるならばこそ、当局の答弁に、伊藤氏自身がPDCA手法で問題提起して切り込み、チェックすべきだ。それがないので、行政側の業務改善発表会に終始してしまい、伊藤氏はその講評をしていることになってしまった。

 一般(代表)質問は技術だ。その技術は磨かなければ身につかない。

■この二年間が大事

 蒲郡至誠クラブの喚田孝博氏は「再来年度の職員大量退職による退職金問題、浜町港のマイナス11b岸壁の供用開始、R247供用開始、さらには子ども・子育て支援制度や介護保険制度改革があり、この二年間が蒲郡は一番大事」という視点から、約2時間、多角度から質問した。

 特に県企業庁と連携した企業誘致活動や、市内の企業が外へ出ていかないための「企業再投資促進補助事業」を利用した小規模開発、中小企業支援などの質問は説得力があった。
 質問のベースに「行政評価は予算に連動すべき」という尺度があるからだろう。

 地域包括ケアシステムの4つのモデル、減塩による健康づくり、市民後見人問題などは視察や研鑚の跡がうかがえた。

 また、名鉄西尾・蒲郡線への県の財政支援が4分の1に減額されたことについては、長年の課題だけにその根本的な要因を分析し、改善策を提案して欲しかった。


 蒲郡市議会の代表質問は一問一答方式で長時間なされる。内容は「ゆりかごから墓場まで」広範囲にわたり、それだけに代表質問では会派のカラーや稲葉市政への姿勢が出てくるはずだ。そのためには会派で時間をかけて議論し、政策評価がなされているかどうかが重要になってくる。

「堅実な財政運営」の中で、いかに「活気や元気のある蒲郡」に向けて、60周年を意義づけるのか―そんな議会議論を期待したい。


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