地方政治クリエイト 13/12豊橋市議会傍聴記(下)

議会は我がまちを切り開く政策力を競え

■教育委員会

 鈴木義則氏(公明)は中央教育審議会において教育行政の執行機関を現在の教育委員会から自治体の首長とする案が検討されていることから「教育の政治的中立性・継続性の確保という教育委員会制度の本来の意義が損なわれることがあってはならない。社会のための教育であってはならない」と問題提起した。

 教育長は「教育とは、子どもの人格を育む息の長い営みであり、その時々の判断で教育の方向性が揺らぐことがあってはならない」として、「教育委員会制度を変えるということは、国の基盤である義務教育を変えることに他ならない。後世に悔いを残さない制度設計を期待する」と持論を展開した。久方ぶりの凛とした教育論が交わされた。

■バイオマス

 渡辺則子氏(市民会議)は、公共下水道処理場から発生する「下水汚泥」と「し尿浄化槽汚泥」や「生ごみ」を集約し、発酵処理することによりメタンガスを回収し、再生可能エネルギーへ利活用する動きについて質問した。
 長い間、生ごみリサイクルを訴え、12年前のガス化溶融炉導入議論の中心的役割を果たしてきただけに質問は整理されていた。

 市長は「エネルギー源として効率よく、安心して取り組める技術だ」と答えたが、設置や運営コストが非常に高いことや、処理工程で発生する消化液の処理が大きな課題であったはず、今後の議論の展開を注視したい。

■特別警報

 特別警報が発表された際、特に表浜海岸の利用者を避難させるための対応などについて質問したのは沢田都史子氏(公明)。

 当局は「伊豆大島の事例を踏まえ、気象庁では『より分かりやすい情報とはどういうものか、どういう表現のものか』ということを議論している」とし、「どういう表現をすれば市民に伝わり、行動に移してもらえるか」勉強し改善していきたいとした。
 質問する方も、答弁する方も答えのみつからない堂々巡りの議論だった。それだけに具体的提案が欲しかった。

■英語教育

 星野隆輝氏(まちフォーラム)は今後の豊橋の英語教育の方向性についてただした。 教育長は「国においては小学校英語の開始学年の繰り下げや教科化が議論されているが、本市は7年間の蓄積を基に、全国をリードし続ける実践を積み重ねていく」とした。

 ともすれば使える英語を身につけるための英語教育が強調されがちだが、「日本人としての誇りや郷土への愛着を深める取り組みにも力を入れていきたい」とした豊橋の英語教育の姿勢を誇りに思った。

■土砂災害対策

 大型台風26号による伊豆大島の土砂災害事故から避難勧告などの発令時期、それにかかわる住民への啓発活動について質問したのは尾崎雅輝氏(新政未来)。

 市内には土砂災害発生の危険がある地域が355ヶ所あり、「危険区域」に指定された地域にはハザードマップを作成しているが「ペーパーだけでなく大事なことは人から人へしか伝わらない。その観点からの防災訓練、防災教育の必要性」を要請した。
 こういうテーマは土砂災害危険区域を歩いて、足で組み立てて欲しい。

■子ども・子育て会議

 斎藤啓氏(共産)は再来年からスタートする「子ども・子育て支援法」における「子ども・子育て支援事業計画」策定のための「子ども・子育て会議」について取り上げた。
 その中で無作為抽出により0歳から11歳までの年齢ごとに1,000件、合計12,000件に調査票を発送し、回収率は43%という結果が報告されたが、関心が低いからこそ計画が必要とするなら、意識啓発にもっと力を注がないと、計画のための計画、そのための会議のための会議になってしまうのではないだろうか。

 肝心なのは自治体独自の「事業計画」です。そこに“現場の声”を的確に反映できるかどうかにかかっている。


 国は、「地方交付税の算定を行革努力と地域経済活性化の成果の2つの観点から行い、頑張る地方を息長く支援する」としています。これからは自治体自らで切り開く政策力が問われていきます。その政策をぶつけあう議会こそ議会改革ではないだろうか。


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