■人口減少社会
人口の減少は生活、経済、都市といった様々な分野に影響を及ぼすことから人口減少社会に対応したまちづくりについて言及したのは佐藤多一氏(新政未来)。
企画部長は「人口の維持増加は全国共通課題であり、これを巡る都市間競争は今後激しくなる」としたうえで、「広域連携の強化を図る中で、移住・定住の促進に努めていく」としたが、佐藤氏はフランスのような、3人目の子どもから、特に手厚い優遇制度などを豊橋市の独自政策として提案したのであり、議論が噛み合わなかったのは残念である。
また女性が働いている国ほど出生率が高いことから就業と育児の両立支援策の積極的な推進を要請したが説得力があった。
■高潮対策
中村竜彦氏(豊流会)は台風30号でのフィリピンでの高潮の発生による甚大な災害から、海岸堤防の強化と三河港における高潮対策の取り組みについて質問した。
当局は愛知県を事業主体に全長5kmに及ぶ堤防耐震補強工事を行っていること、三河港においては約6bの想定高潮と予測浸水範囲の課題や対応について検討が進められていることを明らかにした。
また、100社を超える企業が集積する三河港の「港湾BCP」について検討会が発足し、豊橋市も構成員として参加して計画策定に関わっている事や三河港は、大規模災害時の活動拠点であり、大水深の耐震強化岸壁の早期整備が喫緊の課題であり、国・県に官民一体となって要望活動していることも明らかになった。
■障がい児・者施策
尾林伸治氏(公明)は発達障がい児・者への取り組み状況についてや障がい者への虐待防止の取り組みについて取り上げた。
特に障害者への虐待が福祉施設従事者によるのが半数近くあることから問題視したが、「障害者福祉施設の職員による虐待を防ぐため、来年度から専門員を福祉施設に派遣する」との答弁を引き出した。
尾林氏は昨年6月議会から一年半ぶりの一般質問である。一期生議員レースに大きく後れをとっていることを指摘しておきたい。
■印刷物発注
オンブズマン議員―寺本泰之氏(紘基会)は建設工事等の発注に関しては市内業者への発注を最優先しているが「広報とよはし」の印刷物は市内、準市内業者17社による入札を行っていることを問題にし、「地元の情報誌は地元の業者で印刷したらどうか」と迫った。
これに対して、堀内副市長が議員の発言の趣旨に対する確認を行ったが、寺本氏の入札についての考え方や、議会報告の内容にまで言及したが、「議会基本条例」で規定するいわゆる反問権の範囲を超えていないか。
■グル―プホーム
近藤喜典氏(新政未来)はグループホームの利用促進、既存住宅の活用のために県で「既存の戸建て住宅をグル―プホーム等として活用する場合の取り扱い」が定められる動きから、独自の判断を求められる中核市―豊橋市の現状認識について聞いた。
同ホームの利用者は年々増えており、重度の障がい者の受け入れ、利用者の高齢化が進んでおり、福岡市の整形外科での痛ましい事故を教訓にハード面の要件緩和と安全をどう担保するのかという高齢化社会の弱点を克服していく議論が欲しかった。
■災害協定
廣田勉氏(まちフォーラム)は三遠南信や中核市のくくりで、また単独で尼崎市、横須賀市と災害時総合応援協定を締結しているが、友好都市や姉妹都市との国内提携がない現状を問題視した。
これに対して企画部長は「広域連携の枠組みの中で関係が広がり、そのつながりが、災害時の対応などにおいても役立つ」とした。
しかし、東日本大震災の現場からは「実効性ある災害協定」の要件として、 細部にわたってのきめ細かい取り決め、日頃から交流と連携を深め信頼関係を築いておくこと、提携先を遠隔地にも求め重層的な支援体制が必要という三点があげられている。広域連携というあいまいな枠組みに委ねる姿勢は無責任ではないか、猛省を促したい。