地方政治クリエイト 13/12豊橋市議会傍聴記(上)

競争力強化へ多方面から議論

 12月定例豊橋市議会が始まった。一年半後には統一地方選が控えている。来年の今頃からは喜びの春に向かって、市内の隅々で前哨戦が始まっていく。その時に問われるのは、「議員がどんな仕事をしたか」である。その意味から、予算要望活動を含めて、何を主張し、何を提案し、何を具体化するのか。やるのはいつか。“今でしょう!”

■イメージアップ

 12月議会一般質問のトップに登壇した松崎正尚氏(新政未来)はロケ誘致活動や豊橋ふるさと大使から「ええじゃないか豊橋推進計画」をさらに活かす「とよはしイメージアップ大作戦」について持論を展開した。
 若き日の俳優経験からの、ロケのおもしろさ、ご当地タレントの売り込み方など、聞いていて飽きない話が続いたが、これらはしのぎを削る都市間競争の最たるものだという認識で、具体的な取り組みについて経験を活かした議論が欲しかった。

■介護保険制度

 牧野英敏氏(共産)は要支援者向け訪問介護と通所介護については市町村事業に移管する流れにあることから、その対応や負担の軽減策を聞いた。

 福祉部長は「事業運営の中心となる地域包括支援センターを核に円滑に新事業へ移管できる体制づくりが必要であり、介護予防事業の充実とともに、要支援の方を含めた高齢者の自立支援の推進に取り組んでいく。またそのことが介護給付費の軽減を図り、利用者負担の軽減につながっていく」とした。

 厚労省は「ニーズに応じたサービスを提供しつつ、コストも下げられる」としているが、質の低下を招かないのか、何よりも担い手の育成、確保についての議論を深めていただきたかった。

■子育て支援

 平成27年4月からの「子ども・子育て支援新制度」に向けての取組みの中で保育所の老朽化に伴う環境整備や、保育所における看護師はいちの必要性を説いたのは小原昌子氏(豊流会)。

 「改修が必要な園は10園以上あり、一年に一園では10年以上かかります」、「全国的にも看護師配置が促進されているが、民間保育所3園に看護師が配置されているのみであるが、必要性は高まっている。拡大すべきだ」と迫る姿勢は、もはや一期生議員のそれではなく、保守系初の女性議員が一般質問の度に歯切れが良くなる姿は頼もしい。

■来年度予算

 豊田一雄氏(豊流会)は来年度予算編成についてとりあげた。特に産業振興の面から、国の成長戦略への対応、農業における近隣市と連携した国に対する提案について考え方を聞いた。

 「世界市場で生き残るための産業構造転換を急がなければならない」という日本経済の置かれている現状やTPP交渉もどう転ぶかわからない中で、「我がまちの産業の風景を変える」くらいの取り組みが求められている。

 意欲ある中小企業の育成は地域の経済振興や雇用の拡大につながる。しかし、それは国がやってくれるものではなない。今後の同氏の政策提案に期待したい。

■情報提供

 異常気象に伴う記録的豪雨による洪水や土砂災害、竜巻の頻発などにより甚大な被害が出ていることから風水災害時における市民への情報提供について問題提起したのは市原享吾氏(豊流会)。

 特に停電時にはテレビやパソコンが使えないことから「豊橋ほっとメール」や「防災ラジオ」での積極的な情報提供を要請したが説得力があった。

■オリンピック

 山本賢太郎氏(新政未来)は2020年東京オリンピック開催を活かした本市のプロモーション活動の認識と対応について時節を得た議論を展開した。

 オリンピック開催を活かした取り組みには観光振興、スポーツ教育、国際交流、キャンプ地誘致など幅広く、それらに対する、山本氏自身の取り組みの考えを示した。ともすれば認識と対応を聞き出そうとする質問者が多い中で、「私はこう考える」と具体的に私案を示す意欲は大いに評価できる。

■自主防災組織

 山田静雄氏(新政未来)は安全で安心な街づくりに不可欠な地域コミュニュティの取り組みについて取り上げた。

 特に自主防災組織の強化と人材育成については、その目的は「災害時に、いかに迅速で実効性の高い防災活動を自主的に行えるかが総てである」と強調したが、そのために「何をどうするのか」が自主防災組織の共通の課題であり、もっと掘り下げて欲しいテーマである。


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