地方政治クリエイト 13/12田原市議会傍聴記(上)

教育・健康・分権など多彩な議論

 12月定例田原市議会が始まった。田原市の人口は6万3千人、その内、市議会議員は19人。担っている未来への責任は重い。その責任を果たすために現状と課題から、政策施策の活発な展開を期待したい。

■医療費適正化

 毎回トップバッターで登壇する辻史子氏(公明)は国の「日本再興戦略」で「データヘルス計画」が掲げられていることから、レセプトなどのデータ分析による医療費抑制のための取り組みを提案した。

 その効果の実例を広島県の呉市の取組みで説明していたが、呉方式と田原市の取組みの違い、愛知県の「国保データシステム」との違いなど、整理しないと、一問一答の流れがつながらない。

 何度も書くが、論点を明確にする組立て、そのための現状分析作業がおろそかになっていないか。

■学校・校区再編

 学校再編とそれに伴う校区制について質問したのは鈴木義彦氏(田原新生会)。
 田原市と渥美町の合併協定書での取り決めがあるが、学校再編の動きについては堀切小での津波対策、伊良湖小での急速な小規模化などの新しい要因から「教育環境の充実のための再編」であることが確認された。
 その小学校の再編が一段落したら、校区制度を再編していくとした。

 学校の統合、それに伴う校区の再編について慎重な教育委員会と結果にこだわる議員との対比が浮かび上がり、おもしろかった。

■新年度予算

 渡会清継氏(田原新生会)は来年度予算編成方針について聞いた。その中で、消費増税にあわせ、市町村の格差を縮めるため地方税である法人住民税の一部を国がいったん集め、地方交付税として税収の少ない自治体に配り直す仕組みを検討していることなど国の税制改正の動きを問題にした。

 市長は「固定資産税の減免や法人市民税の再配分については、地方の在り方そのものに係る制度改正であり、国が一方的に進めるのは地方分権の観点からも容認できない」とした。

■図書館行政

 田原市図書館の総合的な課題について取り上げたのは牧野京史氏(田原新生会)。
 教育部長は「生涯読書のための読解力を養う機会づくり、地域の情報拠点となるための暮らし、生活などの課題解決力、高齢者や障がい者など図書館弱者への機会の拡大」をあげた。

 6日に豊橋市内のホテルで行われた「午さん会」で豊田高広館長の「トップクラスの田原市図書館」の話を聞いたが、図書館をまちづくりの核にして、生涯読書活動に拡大しようとする取組みは大いに評価できる議論だった。

■健康都市

 仲谷政弘氏(田原新生会)は健康都市の観点からがん検診の受診状況などを聞いた。 今や男性の二人に一人、女性の三人に一人ががんにかかる時代。またがんで亡くなった方の4割が、一度も健診を受けていなかったというデータもある。それだけに受診率はそのまちの健康度でもある。

 田原市のそれは5大がん(乳がん、子宮がん、大腸がん、胃がん、肺がん)の平均で32%と豊橋22%、豊川16%、蒲郡17%と比べて高いが、国が進める「住民台帳を利用したコール・リコール(個別受診勧奨)」について論じていただきたかった課題である。

■観光振興

 渥美半島の観光を考える議員連盟が「提言書」を提出し一年余経過した中でその取り組み状況について質問したのは中神隆士氏(田原新生会)。
当局は、次の地域資源として農林水産業の六次産業化への取組みや花半島プロジェクトをあげてブランド力の向上につなげたいとした。

 いつも、交通アクセスの問題や利便性の向上が課題になり、それを打破するだけの採算性が壁になる半島の観光振興議論である。それだけに斬新な提案が必要でないか。


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