地方政治クリエイト 13/12新城市議会傍聴記(下)

合意形成へ 真剣な議論が続く

■財政運営

 下江洋行氏は今後の大型事業での財政運営や将来負担について聞いた。

 新庁舎建設事業や作手総合施設整備事業などについて市民の負担につながるのではないかという市民の疑問に答える形での質問はそれら事業を段階的に議決してきた議会の責任を議員自ら明確にする意味から評価できる質問だった。

 これに対して、総務部長は丁寧に答え「将来に大きな影響を与えない」とした。惜しむらくはもう少し元気に歯切れよく答弁できないものか、新城市のメッセンジャーなのだから。

■真摯な姿勢

 「名古屋から新城に来て13年、ここに生まれてよかった、ここで生きて良かったというまちにしていきたい」と切り出した小野田直美氏。

   真摯な、落ち着いた質問の姿勢は議場に爽やかな風を吹かせた。小野田氏は新庁舎の進め方に無理がなかったかを質問し、「一方的な説明であってはならない」とクギを刺すことも忘れなかった。

 前議会まで前崎みち子氏のメリハリの利いた質問が印象的だったが、新城市議会に通う楽しみをつないでいただき嬉しい限り。

■安心安全

 鈴木眞澄氏は、山を抱える新城市での安心安全対策のためには独自の対策が必要であることを強調し、土石流対策の必要性を説いた。
 建設部長は市内には土砂災害危険個所は1200ヶ所あり、うち人家などがあり整備が必要な個所は432箇所、整備状況は19%であり、継続整備とともに警戒避難体制が重要であるとした。

   鈴木氏は「防災マップ」をもっとわかりやすいものにし、活用も考える必要があると迫ったが、ここでも情報の伝え方、使われ方が問われた。

■過疎地対策

 菊地勝昭氏は高齢化の中で地域力が低下し荒廃が進んでいる山間部のあるべき姿を問題提起し、地域交通網の見直しと利便性向上を迫った。
ともすれば大型事業に目が行きがちだが、新城市が抱える地味な大きな課題であることを印象付けた質問だった。

■低投票率

 合併以後、3回目の選挙の投票率が一番低い結果となったことを問題視したのは中西宏彰氏。
 当局は高齢化が進む中でバリアフリー対策などの環境づくりや期日前投票の増加の傾向が顕著であることから、期日前投票所の増加を検討するとした。

 選挙投票は政治への市民参加の入り口であり、最大の権利である。その環境整備は極めて重要である。

■庁舎用地選定

 当選後の新庁舎建設事業議員研修会を経て現候補地の議会の追認が必要でないかと迫ったのは柴田憲冶郎氏。
 市長は反問権を使いながらその時の記録を基に「建設地の決定、その後の段階ごとの議会の議決があって進んできた」ことを確認した。

 議員は憲法第八章の「地方自治」の原則、それに基づく「地方自治法」に行動規範があるのだから、同法を徹底して学んでいただきたい。

■市政運営

 市長は12月議会での所信表明で新庁舎建設事業について「合意形成」を二度にわたって強調したが、どのように合意形成を図ろうとしているのかと質問したのは丸山隆弘氏。
 市長は「基本計画の説明会には、経過を尊重し対応できるものには対応し、庁舎建設そのものを後戻りさせる議論には強い意志を持って後退させないようにする」とし「議会での議論の集約のなかで深い合意形成をはかっていく」決意を示した。

■若者施策

 滝川健司氏は第3期マニフェストで示された3つの新機軸、3つの重点政策について質問した。
 特に「若者政策市民会議」については、若者を政策立案に参画させようとすることを評価しながら、志あって働く若手職員の活用や政策コンテストなどについて言及し、市職員の意識改革も要請したが意欲的でおもしろかった。


 議会に苦言二つ
 市長選や所信表明など市長の政治姿勢そのものの質問が続いたが、市長が最初から答弁すべきでないか。企画部長や、総合政策部長が答えたが、違和感があった。

 また、答弁時間が50秒近く残されているのに、議長はなぜ「時間が無くなりました」と打ち切るのだろうか。議員に認められた発言権を、例え数十秒でも議長自ら侵すのはいかがか。


ホームページに戻る 議会傍聴メニュー