地方政治クリエイト

議員定数問題を考える(3)

 名古屋の市長給与と議員報酬を年800万円に恒久化するという、河村名古屋市長の公約そのものの条例案が、昨日の付託された総務環境委員会で否決され、今日の本会議でも否決される見通し。

 名古屋市議の報酬は20011年4月に全会一致で成立した特例条例ですでに年800万円になっている。

 そもそも「恒久化」を条例で制度化するとはどういうことだろうか。地方政治の原典である「地方自治法」は昭和22年制定以来、どれほど改定が切り返されてきたことか。改正に伴う条文移動を避ける趣旨で条文には枝番方式が多用されており、例えば、「地方自治法」252条と253条の問には「252条の26の6」のように60条以上もの条文が入り込んでいる。また1999年7月の同法改正は、半世紀に一度の大改正で、457本に及ぶ関係法律を一括して改正したほどで「新地方自治法」といわれるほど。

 社会の状況は時代とともに大きく変化していくわけで、政治制度は、その折々で議論し、決定することができるものであるはず。それにもかかわらず「恒久化」ということは何なのか。様々な視点からの見直しも折々に必要です。

 そもそも河村名古屋市長の言う「庶民革命」とは何か。衆議院議員から転身した2009年4月の市長選から、既得権益を守ろうとする「職業議員」らの勢力を批判、市民税減税や議員報酬を半分に減らすというもの。職業議員をなぎ倒して素人が政治に参加する「民主主義のつくしんぼう」を芽吹かせることが、革命の本懐とも考えていた。

 ところが、何の実績もない新人たちを市議会最大勢力に押し上げた市民の期待は、しぼむのも早かった。質問ができない、議論ができない、他会派との調整ができない。そればかりか、政務調査費の公私混同、辞職・・・。

 政令指定都市の議員報酬としては、年800万円は最低です。議員はここから選挙資金などを捻出し、落選したら借金を抱えなければなりません。今の日本のシステムでは自営業などでなければ、仕事を辞めて、立候補しなければなりません。こうした社会制度の中では、報酬を下げると、自営業などで兼業できる人や高齢で退職した後の第二の人生を考える人などが増えることになりかねません。専業議員であってはいけないというなら、今の仕組みの中で副業で議員が務まるでしょうか。

 専業議員でなくても勤まるような名古屋市議会の仕組みを変えることの方が優先されなければなりません。河村市長にはこのことがどえりゃあ欠けとる。

 私は地方議会の定数問題とセットで、生活保護並みの生計を余儀なくされている地方議員の報酬ともセットで考える必要があると考えている。
 明日の米に困っている人が明日のまちの設計審査ができるか!。それでもやってる人たちがいるという地方議員と地方議会の現実こそ、問題視しなければならない。


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