地方政治クリエイト

「支え合う社会」は足元から

 豊橋市前畑町の「あいトピア」で、27日、豊橋市生涯学習課が主催する地域教育リーダー養成事業の講演会が開かれた。これには旭校区の自治会役員やPTA役員など80人が参加し、椙山女学園大学の武長脩行(たけながのぶゆき)教授が「地域コミュニティ活動の推進」について講演した。

■今、なぜ地域コミュニティか

 明るさが見えだしたとはいえ、長引く景気の低迷と、少子高齢化、人口減少社会の中で、地域での課題解決が、個人の生活の安心・安全に大きく影響するようになってきており、地域の取り組みが進まなければ、どこの地域も厳しい条件に直面することは避けられない。

 そのために必要な条件は、町内会のような地縁型の組織と、専門的なPKOや企業、そして行政機関が連携し、協力し合う関係を作り上げること―これを「市民協働」と呼ぶが、こうした支援体制の整備によるコミュニティ―の充実、推進が大きな課題となっている。

■家族の形が大きく変化

 この変化の下にあるのは、家族の形の大きな変化である。世帯の人数は減少を続け、一人世帯は増えるばかりである。

 以前は世帯の中で、子どもは子ども会、母は婦人会、年寄りは老人会と重層的に地域とつながっていた。ところが、核家族化は進み、今のつながりは自治会だけという世帯が増え、このわずかな糸も細るばかりである。
 自治会加入率は下がる一方で、自治会役員の成り手も少なく、自治会運営もままならないという声も聞く。

 毎年6月に行われる豊橋市自治連合会定期大会では、特別推進事項として「一、自治会活動の充実と活性化の促進。二、市民協働によるまちづくりの推進」が恒例のように掲げられ続けている。

■地域の社会資本

 武長教授は「地域とは、その広がりと歴史・文化であり、地域力を@自助A共助B公助の幅広い視点からとらえよう」と話を初め、「地域の社会資本」を@人と人とのつながりAコミュニティの力B市民活動の活発度C市民と行政との協働の進展度をポイントに挙げた。

 そして「自分の“地域”の良さを発見し、課題を見つけ、人材、財政、モノ、情報などの限られた資源を活かして、住民が自分たちの地域を住みやすくするために活動しよう」と県下各地域の活動事例を紹介しながら話を展開した。

 また、地域コミュニティのリーダーの役割は@決めるA調整するBいろいろな意見を引き出すことであり、そのためにリーダーには、忍耐と楽観主義が求められているとした。

■市民のソフトパワー

 近所に、朝倉川の河川敷がビン、カンやゴミが散乱していることから「朝倉川を守る会」を結成し、この23年間、春と秋に清掃活動を展開してきたボランティアグループがある。
 約20人がゴミ袋を片手に、ゴミを拾いながら回るだけの小一時間の活動である。そこに毎回参加する人たちと長く接してきた。「自然を愛する心、地域を愛する心」がなかったら、継続できることではないと痛感している。「たかが、ごみ拾い、されどごみ拾い」である。

 豊橋の目指すまちの姿―「輝き支えあう水と緑のまち」のためには市長並びに行政のリーダーシップは当然のこととして、市民の側の内発的エネルギーと目覚めたる市民のスクラムが不可欠である。

 おりから、夏休み中でもあり家族と過ごす時間も多いはず。校区夏祭りや、校区体育祭が予定され、準備が進む中で「家族とは何か、地域とは何か、自治会とは何か」を考え、「支え合う社会」について足元からみつめる夏としたい。


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