地方政治クリエイト 13/06豊橋市議会傍聴記(下)

質問者に初の趣旨確認、議会に緊張走る

■入札制度

 今回も、寺本泰之氏(紘基会)は入札制度、特にこの6月からコンサル・設計業務にも失格判断基準が導入されたことから、「市民の血税で特定業者の利益供与をするような制度改正をなぜ行ったのか」と切り込んだ。

 答弁にあたって堀内一孝副市長は「今回の議会から(議会基本条例により)質問の趣旨確認の機会が付与されましたので、質問者に確認したい。適正価格とは何を指すのか。公共料金は上がり続け、入札で10億円は無駄にしているとの根拠を伺う。議会で取り上げては訴訟を繰り返されているが、今回も同じ考えか」と豊橋市議会史上初の確認行為を行い、市議会に緊張感が走った。
 寺本氏は、この三つのボールをきちんと返すべきだった。

 公共事業は、限られた財源を効率的に使って国民生活に豊かさをもたらす社会資本を整備することが目的である。そのための入札制度については様々な試行錯誤が行われ、様々な議論があっていい。
  しかし、その議論は、丁寧に、真摯に、言葉の定義を明確にして行われるべきではないか。

■情報化施策

 廣田勉氏(まちフォーラム)は策定から10年の「豊橋市情報化基本構想」の総括から、自治体クラウド、マイナンバー制度などに議論を展開した。

 予算書を見るまでもなく、近年の情報通信技術のめざましい発達の中で、情報システム費は5年前には6.7億円余であったのが、今年度は10億円を超えるなど急激な増加傾向にある。

 問題なのは、この予算に対してきちんとした審議がなされているのかということである。ともすればブラックボックスであり、ITの進化についていけず、何が何だかわからないが賛成しているような傾向にあるのが実態である。
 それだけに廣田氏の明解な質問は勉強になった。

■防災・減災

 国の中央防災会議の作業部会は5月28日に「南海トラフ巨大地震」対策の最終報告を発表し、愛知県防災会議も30日に市町村別の被害想定を公表した。それによれば豊橋市の最大震度は7、死者数は2800人と重い数字である。
 それだけに沢田都史子氏(公明)の防災・減災対策質問は大いに注目された。

 地域防災力の向上については、身近な実践例からもっと説得力ある組み立てで臨んでいただきたい重要項目であった。

■斎場

 佐藤多一氏(新政未来)は昭和51年に供用開始以来37年経過する市斎場は、高齢化の進展でまちがいなく増加する死亡人口にどのように対処するのかと問題提起した。

 福祉部長は年300日稼働で、3371件の火葬件数であるとし、今後、炉の増設と施設の老朽化が課題であると答えた。

 佐藤氏は、豊橋では火葬に2時間もかかることから、最近の火葬炉では75分で可能とし、現在地は市東部にあり、西部方面からは相当な時間がかかることから複数設置を提案したが、同部長は「一カ所で集中運営していく方針である」とした。

■男女共同参画

 小原昌子氏(豊流会)は新たに策定した「男女共同参画計画」をどのように推進していくのか訊ねた。

 そのための基本目標や推進体制の議論は、「現状の改善には何が必要なのか」という踏み込んだ問題提起がないと抽象的な言葉で終始してしまう。
 市内には多方面で活躍する女性は多い。そうした声を集約して質問を組み立てると面白いのではないか。まちを歩いて欲しい。政策と課題は現場にある。

■まとめ

 一般質問は技術である。現状の解析、問題点の絞り込み作業が十分なされていないと議論は深まらない。勉強してほしい。そして技術を磨いて欲しい。市民の声を議会に届けるために。


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