地方政治クリエイト 13/06田原市議会傍聴記(下)

防災、少子化、医師不足など課題山積

■定住促進

 平松昭徳氏(田原新生会)は田原市が掲げる人口関連指標として定住人口6万4千人、交流人口1万2千人、活動人口30%を平成34年の目標人口フレームに掲げていることから、それらの取り組みについて質した。

 特に定住促進を図る上で働く場の確保や移住者の優遇策、他地域との差別化、結婚支援などの施策を戦略的な促進計画としてまとめる必要性を提案したが、当局は「総合計画の各施策がそれにあたる」として、「その意思はない」とした。
 具体的なロードマップ無くして、目標達成など望むことができようか。

■高規格道路

 赤尾昌昭氏(田原新生会)は新東名高速道路の一部開通などで浜松三ヶ日・豊橋道路への期待が高まる中で、伊勢湾口道路を含めた渥美半島の高規格道路整備の考え方について取り上げた。

 市長は「東名、第二東名の横軸によって東三河が分断されてしまうという危機感がある。そのためにもその骨格として、東三河縦貫道の必要性がある。
 また、国の道州制議論の中で、静岡・三重を結ぶ、伊勢湾口道路は不可欠な道路になる」との認識を示した。

■学校の再編

 教育委員会が示した「防災・少子化に伴う小中学校の再編について」の概要について取り上げたのは彦坂久伸氏(田原新生会)

 教育部長は「堀切小学校を安全な地域に移転する防災津波対策を念頭に、小規模校を統廃合し、伊良湖小の複式学級を回避するためにも小中学校の再編に取り組む」とした。

 彦坂氏は、再編・統廃合にはスピード感を持って取り組みながらも、当事者である子どもの気持ちに配慮するよう、また学校がなくなることで地域の衰退につながらない取り組みを要請した。

 キメ細かな歯切れの良い質問だった。

■医師不足

 杉浦文平氏(無所属クラブ)は田原市内の医療体制について、高齢化、後継者不足で、渥美半島の医療体制の危機を訴えた。

 人口千人当たり医師数は国が2.19人、県が1.92人、田原市は1.15人。開業医29人の平均年齢64.3歳。一次医療が破たん状態になるのは時間の問題という深刻な実態。
 これに対して医師確保修学資金などによる医師確保策が十分に機能していないことも浮き彫りになった。

■成長戦略

 「農業所得を10年で倍増する」と国は農業を成長産業として位置づけ、「農林水産業・地域の活力創造本部」が設置されるなどの動きの中で、田原市の取り組みについて大竹正章氏(田原新生会)が質した。

 産業振興部長は地域ブランドの推進、環境に配慮した農業技術の導入、農工商連携による6次産業化、輸出の推進の4点を柱に取り組んでいくとした。

 大竹氏は「海外に販路を求めることは賢明か、その主体は誰が担うのか」と迫ったが、「それを担うのが豊橋田原広域農業推進会議である。輸出実績はアールスメロン344箱、次郎柿100箱がある」との答弁は説得力が弱かった。


 二日間の一般質問で特に農業についての議論が目立ったが、TPPを契機に成長産業に転換する突破口を田原の農業がどう開くのか。それはそのまま日本の農業の将来をも左右するだけに、大いに注目したい。


ホームページに戻る 直言メニュー