地方政治クリエイト 13/06新城市議会傍聴記(下)

新しい城に活発な議論

■障がい児支援

 「安心して子育てができるまちにしたい、障害のある子どもと親の思いに寄り添いたいと、4年前、市会議員になろうと決意した」と切り出したのは前崎みち子氏。

 障害のある子どものための支援を、乳幼児期、修学時期前後、学齢期など子どもの成長に応じて、保健、医療、福祉、教育等関係機関の連携の必要性を説いた。
 すべて費用がついて回ることではあるが、議員任期の区切りの時を迎えて、自らの立ち位置を明確にした真剣な議論は好感が持てた。

■新庁舎建設

 新城市の新庁舎建設問題は約五十億円に上る大事業でもあり、11月の市長選の争点に浮上している。

 市の計画では、現在の本庁舎、東庁舎、仮庁舎などを集約して、隣接する市民体育館も取り壊し、市道の一部も廃止し、敷地を広げて九千平方bの庁舎を建設しようとするもの。

 山田たつや氏はこの付け替え道路は遠回りであり、移動の安全性、地元住民の利便性は図られているのかと図面を示しながら問題視した。
 総務部長は歩行者と車両が交差しないなど県公安委員会と安全策を詰めているとした。

 付け替え道路、敷地内道路の問題は新庁舎の規模の問題であり、鈴木達雄氏はその妥当性を聞いた。

   鈴木氏は、体育館側敷地だけで建築できる1棟約7750u以下で、庁舎の基本機能を満たすことは可能か、現提案で示す床面積約9000uを確保するためだけなら、築20年の東庁舎を残し、2棟とする方法も考えられるが1棟集約の方法を選択した根拠についてなど論点を明確にした。
 総務部長は災害対策や市民活動用スペースなどを整備することから1棟に集約し、合理化と利便性を図ったとした。

 新庁舎にどのような機能を求めるか、まさに新しい城を市民や議会はどう判断するのか、注目したい。

■広域連合

 中西宏彰氏は東三河の地域力を高めるために準備が進む東三河広域連合に「足並みはそろっているのか、北設3町村との連携は図られているのか」と質問した。

 これには穂積亮次市長が答弁に立ち「東三河が一体となって進もうと役員会で決めて、踏み出した以上、8市町村の温度差はもちろんあるが、新城市には積極的に進めていくという以外の選択肢はない」として、新城、奥三河の未来に向けて、広域連合での戦略的なまちづくりへの強い決意を伺わせた。

 6月議会は豊橋、田原、蒲郡、新城と回ったが新城市長の温度は熱い。

■自治基本条例

 滝川健司氏は4月より施行された「自治基本条例」で別に定めるとした「市民まちづくり集会」や「住民投票条例」について取り組みを聞いた。

 企画部理事が答弁に立ち、同集会は8月25日に、市庁舎問題と新城の未来を語るをテーマに行われることや、自治基本条例は制定に向け取り組み中とした。

 同集会と議会との関係、市民自治会議と議会との関係、さらには自治区制度と議会との関係などがどのように整理されているのか、疑問が残った。

■まとめ

 新城市議会では再質問は一問一答で行われるが、事前打ち合わせなしのテッパで行われる。それだけに、議論に熱気がある。

 厳しい財政の中で高齢化、少子化、過疎化とかかえる課題は重いが、議会の真剣さが明るさをもたらしている。


ホームページに戻る 直言メニュー