地方政治クリエイト 浜岡原発視察記(上)

緊急対策拠点―オフサイトセンター

 3・11大震災後、菅直人首相(当時)の中部電力への「全面運転中止」要請により、全面運転停止した中部電力浜岡原発。  あれから丸二年が経過した5月24日(金)、東三河地域研究センター主催の「浜岡原子力発電所視察会」に参加した。

■オフサイトセンター

 最初に見学したのはオフサイトセンター(静岡県浜岡原子力防災センター)。ここは発電所の緊急事態発生時に国、自治体及び事業者による事故拡大防止等応急対策の拠点となる施設。

 この施設は浜岡原子力発電所から約2.3kmの場所にあり、原子力安全・保安院は、福島オフサイトセンターが機能不全に陥った反省・教訓を踏まえ、立地地点の基準を5〜30kmに変更したのに伴い、静岡空港近くに移転する予定という。

 3階建ての館内には原子力保安検査官事務所、原子力防災専門官室があり、浜岡原子力発電所の保安規定の遵守状況の検査や日常の原子力防災対策の指導を行っている。

■緊急時用機能ギッシリ

 そしてひとたび緊急時には、2階の原子力災害対策本部室に静岡県の災害対策現地本部及び御前崎市の災害対策本部が設置され、3階には合同対策協議会全体会議が開催される仕組みが用意されている。

 原子力災害対策本部(官邸)、緊急時対応センター(原子力安全・保安院)、自治体の間でのTV会議システムや原子力発電所の運転情報や敷地周辺の環境情報を表示し、事故の進展を予測する緊急時対策支援システム、さらには事業所周辺の放射性物質の大気濃度や被ばく線量等を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)などの設備が用意されている。

■課題は次々

 一か月前の4月10日、原子力規制委員会は原子力災害対策指針の内容充実のため、更なる議論が必要なものとして検討課題とされていたもののうち、緊急時モニタリング等の在り方、被ばく医療の在り方のうち安定ヨウ素剤の配布・服用にかかわる事項についてパブリックコメントの内容を反映中であり、今月中にも同委員会において決定する予定という。

 3階建ての建物の屋上からは御前崎のまちと、その向こうの浜岡原発が見渡せる。屋上は津波からの緊急避難場所になっていて、標高24bの位置にある。150人ぐらいは避難できるのだろうか。それにしても通路階段は狭かった。


 東海地震の震源域に立つ浜岡原発。その原発の緊急事態時には、この建物には対策本部の人で溢れ、懸命な対応がなされるであろうが、その情景は想像を超える。福島原発事故の時に放映された現地対策本部の怒号飛び交う光景を思い出す。(写真上のオフサイトセンター全景は同oscのホームページより転載)


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