地方政治クリエイト 13/03豊橋市議会傍聴記(下)

折返し点、楽しみな懸命な議員群

■厳しい果樹類経営

 果樹農家の離農、耕作放棄地の現状について聞いたのは星野隆輝氏(まちフォーラム)。

 産業部長は「次郎柿栽培百周年を来年に控え、柿農家の新品種導入などの検討が急務である」ことを明らかにした。

 自らの生活圏でもある石巻地区の次郎柿について真剣に論ずる姿は好感が持てた。

■浜岡原発問題

 浜岡原発の再稼働には反対すべきだと主張した斉藤啓氏(共産)
「原子力規制委員会で策定中の新安全基準を元に慎重に判断されるべき」とする危機管理官の答弁に「受け身すぎないか」と指摘したが、30分も経ずに降壇。

 時間一杯目一杯の議論を展開するのが共産党市議団ではないのか。これは事件である。

■第三者委員会

 渡辺則子氏(市民会議)は大津市の事件の教訓から教育支援としての第三者機関の調査について取り上げた。

 教育長は従来の「第三者委員会の設置は必要ない」との持論から「いじめ・体罰を巡る社会情勢がめまぐるしく変化している状況から、豊橋市においても第三者機関を設置し調査しなければならない場合もある」とした。

 学校現場で起きた問題の解決を外部に委ねる事例が全国的に目立ってきたが、その背景に学校側の力量というより姿勢そのものを疑いたくなるようなケースもある。教育に万能を求めないが、責任放棄はあってはならない。学校・教師は真正面から生徒と向き合って欲しい。

■有料化・委託化

 牧野英敏氏(共産)がレジ袋の有料化やごみ等収集運搬業務委託について質問した。

 環境部長は「レジ袋の有料化は市民がごみ減量やリサイクルについての意識改革につなげたい。また収集業務については安全で安定した業務が行えるよう、適切な指導をしていく」とした。

 いよいよ長年の課題であったごみ有料化、収集業務の全面委託化へ踏み出したことを印象付けた。

■地域力の強化

 藤原孝夫氏(新政未来)は東三河広域連合で何を克ち得るのかと質した。

 市長は「今後はこれまで以上に広域連携による地域力の強化が重要であり、東三河広域連合では地域の自己決定、自己責任に基づく分権型社会をめざす」とし、三遠南信広域連携のためにも東三河地域の一体性をより強めていきたいとし、市長の強い覚悟が示された。

■高齢者の火災事故

 長崎の福祉施設の火災事故を受けて、社会福祉施設や高齢者の防火対策を取り上げたのは市原享吾氏(豊流会)。

 今では在宅介護や地域包括ケアシステムが構築されていく時代。ところが戸建て住宅の防火は、基本的に自己責任とされ、火災報知機の設置以外に規制はないのが実態。これらの問題に踏み込んで欲しかった。
 最近、公営住宅の火災で高齢者が焼死した痛ましい事件が相次いだのだから。

■政権交代と地方分権

 岡本泰氏(まちフォーラム)は政権交代により大きく変わった、公共投資への予算配分や、一括交付金制度の廃止、地方公務員給与費削減による地方交付税の減額について市長の見解を求めた。

 市長は「防災・減災対策や社会資本の老朽化対策など安全・安心対策が促進される。また、一括交付金制度の廃止や地方の固有の財源である地方交付税を給与削減に充てることは地方分権の流れにとって危惧される」とした。

 国の政権交代、それによる政策の変更を地方自治の観点からきちんと整理し、議論する組み立ては、代表質問に登壇した議員にはぜひ見習ってほしい手法である。

■ベテランの真摯な姿勢  生きる力を育む教育と木材、特に三河材の利用促進をとりあげた佐藤多一氏(新政未来)。

一年半余の副議長から戻って、それ以前と同じように再び一般質問に登壇する懸命な姿勢を一、二期生議員はぜひ見習ってほしい。


豊橋市議会は今期の折り返し点にさしかかった。市民の負託にこたえようと一生懸命に議会活動に取り組む議員も多いが、惰眠をむさぼっているのではないかと思われる議員もいる。市民は、じっと見ている。政治いや政治家を見つめる目は一段と厳しくなってきている。


ホームページに戻る 直言メニュー